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2020.12.26

【2020年全日本選手権・特集】ラスト48秒で逆転! 目指すは2024年パリ・オリンピック金…女子76kg級・鏡優翔(東洋大)

(文=東京スポーツ新聞社・中村亜希子 / 撮影=矢吹建夫)

本来の階級に戻り、日本一に輝いた鏡優翔(東洋大)

 ずっと試合がしたかった――。新型コロナウイルス感染拡大の影響で多くの大会が中止、延期になった2020年。練習の成果を発揮し、ライバルと真剣勝負ができる喜びを爆発させたのが、女子76kg級を制した鏡優翔(東洋大)だ。決勝で松雪泰葉(至学館大)を6―4で下し、2018年の72kg級以来、2年ぶり、最重量級では初めて日本の頂点に立った。

 「コロナで大変な中、この大会を開いてくださったからこそ、自分は優勝することができました。運営の方に感謝します。金メダルが取れてうれしいです。去年の大会(68kg級)は負けて終わっていて、6月の明治杯(全日本選抜選手権)に向け頑張ろうと思っていたところでコロナだったので…」

 昨年は東京オリンピック代表が内定していなかった68kg級に下げて勝負し、7位。そのあと、本来目指してきた最重量級に戻すことを決意した。悔しさをぶつけようと猛練習に臨んだところ、新型コロナウイルスが猛威を振るい始めた。

軽量級男子とのスパーリングでスピードを養成

 4月に東洋大に進学したものの、練習ができない。味の素ナショナルトレーニングセンターも閉鎖された。仲間と互いの部屋からオンラインをつなげ、チューブトレーニングの数を数え合って汗を流したり、児童公園で遊具を利用し、構えの確認をしたりもした。

松雪泰葉(至学館大)の攻撃で4点を先制されてしまったが…

 全体練習が可能になると、練習の強度をグンと上げた。「足りないところはないかと、かなり追い込んで練習した。本当にきつかった」。フィジカルの強化はもちろん、パワーに勝る海外勢に対抗できるスピードを身に着けるため、軽量級男子とのスパーリングも取り入れた。

 「やられっぱなし。自信をなくし、メンタルが追い込まれたこともありました」。いつ、試合ができるか分からない不安とも闘いながら、“ヘビー級”で勝てる肉体を作り上げた。

 新型コロナウイルス感染再拡大で、目標にしてきた全日本選手権の開催は直前まで不透明だったが、念願がかない、マットを踏んだ喜びはひとしおだった。

「やってきた練習は負けていない自信があった」

 松雪との決勝は、相手に優位に試合を進められ、1―4で折り返す。前年チャンピオンの松雪がこのまま流れを持っていくかに思えた第2ピリオド、鏡の反撃が始まった。相手を外に出して1ポイントを返すと、残り48秒、タックルからローリングで合計4点を奪い大逆転。優勝が決まった瞬間は、拳を何度も振り上げガッツポーズを決めた。

逆転で勝利を引き寄せ、チームメートへガッツポーズ

 「(試合中)自分の中でも嫌な思いがよぎったのですが、やってきた練習は負けていない自信があった。気持ちを落ち着かせて、それを出すことができました」。辛かった1年を思い出し、涙を流した。

 2021年の目標は全日本選抜選手権で優勝し、世界選手権代表の切符を得ること。最大の目標は2024年パリ・オリンピックだ。インタビューでは、「最重量級でオリンピック金メダルを絶対に取りたいです!」と声を張り上げた19歳。レスリングが大好きだ、という思いが心底から伝わってきた1日だった。







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