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2021.01.25

【特集】目指すは前人未踏の「両スタイル世界王者」、レスリング界の“大谷翔平”を目指す…成國大志(ゴールドキッズ)

(文=布施鋼治)

 一昨年(2019年)12月の全日本選手権に出場して以来、成國大志(青山学院大~ゴールドキッズ)は実戦のマットに立っていない。卒業を機に引退したという話も伝わってこない。所属する東京・荻窪のゴールドキッズで理由を聞くと、成國は「完全にコロナのせい」と話し始めた。

雌伏(しふく=耐え忍ぶこと)の時期を迎えている成國大志(ゴールドキッズ)。蓄えたエネルギーを爆発させるのは、いつ?=撮影・布施鋼治

 「本当はフリースタイル70㎏級で全日本社会人選手権に出て、全日本選手権にも出場して優勝を狙うつもりだった。でも、社会人選手権は中止になってしまった。全日本選手権は各階級とも8名しか出場が許されなかったので、(資格審査で)9番目の僕は落ちてしまった」

 昨年春、青山学院大を卒業し、母・晶子が切り盛りするスポーツクラブ「ゴールドキッズ」に就職した。現在は自分の調整をしながら、レスリング、体操など全部で80~90人くらいの子供たちの指導をする日々を送る。

 「当初は体育会系と企業をつなぐ人材系の企業への就職を狙っていて、就活もしていました。でも、ゴールドキッズの人出が足りなかったのと、母と一緒にやりたかったというのもあったので、ここで働くことにしました。ずっとレスリングを続けてきたので、この競技を活かした仕事につきたかったという思いも強かったですね」

 今年は、5月27日(木)~30日(日)に開催予定の明治杯全日本選抜選手権のフリースタイル70㎏級での出場を狙う。

 「去年の全日本選手権で優勝した基山仁太郎(日体大)は、高校(三重・いなべ総合学園高)の後輩なんですよ。自分がどこまでやれるか楽しみ。明治杯で優勝できたら、世界選手権(10月、ノルウェー)での優勝を目指します」

 成國の野望はひとつのスタイルだけに止まらない。フリースタイルで世界の頂きに立つことができたら、次はグレコローマンでも世界一を目指すと言う。歴史をひもとけば、朝倉利夫が両スタイルで日本代表となり、グレコローマンで3位に入賞し、その後、フリースタイル優勝している。世界では、戦前にオリンピックの両スタイルで優勝した選手はいるが、戦後はオリンピック、世界選手権とも両スタイル制覇選手はいない。

2024年パリも目標だが、それ以上に強い気持ちを持つ両スタイル制覇

 全日本学生選手権で両スタイルの王者に就いている成國は「オリンピックより、世界選手権で両スタイルの王者になりたいという気持ちの方が強い」と打ち明ける。

2019年8月の全日本学生選手権(フリースタイル74kg級)は圧勝優勝した=撮影・矢吹建夫

 「もちろんパリ・オリンピックも目指すけど、今まで世界選手権で両スタイルのチャンピオンになった人はいない。僕の中ではそっちの価値の方が高い」

 周囲からは「絶対無理」という意見も聞こえてくるが、成國の決意に揺らぎはない。「大谷翔平さん(大リーグ・エンゼルス)ではないけど、両方とも極めることができたらカッコいいじゃないですか。朝倉先生にも一度お話を聞いてみたい」

 成國は練習方法でも我が道を行く。現在の練習は筋力トレーニングが主流。それを9割とするならば、レスリングのスパーや打ち込みは1割程度しかやっていない。「以前、協会ホームページで記事にしていただいたけど(関連記事)、あれから練習方法は変わっていません。両スタイルで世界を制覇することと同様、練習方法も周囲から『絶対無理』と言われている。でも、『無理』と言われるなら、逆に『やってやる』という気持ちの方が強くなりますね」

ドーピング違反のつまずきで、前向きな性格に変わった

 先日、ある大学に出げいこに行き、全日本選手権上位入賞者を相手に納得のいくスパーリングができ、いま自分がやっていることに対してさらに自信を深めた。

2017年全日本学生選手権は両スタイルで優勝。世界選手権での再現を目指す!

 「ただ、僕も自分を完全だとは思っていないので日々勉強中。自分の体を実験台にしながら、何が一番いいのか模索しています」

 成國は、大学時代に医師が処方した禁止薬物を含む薬の服用がドーピング違反とみなされ、1年8ヶ月の出場停止処分を受けたことでも知られる。当初は「なぜオレだけがこんな思いをしなければいけないのか」と苦しんだことを吐露するが、現在は「いまの自分があるのは、あのドーピングの一件があったからだと思う」と冷静に受け止めている。

 「もしあの一件がなかったら、普通の選手で終わっていたんじゃないですかね。その前の僕は、どちらかといえば後ろ向きの性格だったけど、うまく気持ちを切り換え、前向きなそれになることができた。いまは筋トレだけをやっているレスラーがどこまでできるのかにかけたい。みんなをびっくりさせたい、という思いは出場停止期間のときと一緒ですね」

 並外れた反骨心を胸に抱きながら、孤高のレスラーは前人未到の荒野を目指す。







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