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2021.01.29

【特集】急成長のインド女子! 期待の一番手ビネシュ・フォガト(53kg級)は5つの国際大会をこなして東京オリンピックへ挑む

(参考文献=WrestlingTV)

2018年アジア大会でインド女子初の栄冠を勝ち取ったビネシュ・フォガト=撮影・布施鋼治

 2016年リオデジャネイロ・オリンピックでサクシ・マリク(58kg級)が初めてメダルを取り、成長著しいインド女子。東京オリンピックでは、53kg級のビネシュ・フォガット(26歳)が男女を通じてインド初の金メダル獲得を目指す。

 当初は、昨年12月の個人戦ワールドカップ(セルビア)への参加を視野に入れていたが、日本(向田真優)や中国、米国の強豪が出場しないことが分かって取り止めた。代わって、コロナ禍がおさまらないインドを脱出し、ハンガリーで練習を積み、今週から2月4日までポーランドで始まった数ヶ国参加の合宿に参加した。

 東欧での練習のあとは、2月26~28日のウクライナ・グランプリを皮切りに、東京オリンピックまで5つの国際大会を経験する計画を立てており、インド・レスリング界の悲願に挑む。

 出場を予定しているのは、ウクライナ・グランプリのほか、3月4~7日のマリオ・ペリコネ国際大会(イタリア)、4月13~18日のアジア選手権(カザフスタン)、6月8~13日のポーランド国際大会、7月3~4日のスペイン・グランプリ。ビネシュは「私は自分のレベルを知る必要があります。優れたレスラーと闘うことは、私がどこに立っているかを知るのに役立ちます」と話し、実戦によって自身の技量を確認し、実力アップをはかる腹積もりだ。

53kg級へアップし、1年も経たずに結果を出す

 ビネシュは、2016年リオデジャネイロ大会の最終予選48kg級で優勝してオリンピックに出場。メダルも期待されたが、ひざの負傷もあって3回戦で敗退。その後、2018年アジア大会で優勝し、インド女子初のアジア大会チャンピオンに輝いた。

昨年2月のアジア選手権、向田真優からポイントを取る!

 2019年から53kg級へ。4月のアジア選手権(中国)は3位だったが、7月のスペイン・グランプリヤシャ・ドク国際大会(トルコ)で優勝。8月のメドベジ国際大会(べラルーシ)で2位と階級アップを順調にこなし、東京オリンピックの出場枠がかかった10月の世界選手権(カザフスタン)では3位に入賞。東京オリンピックへのキップを手にした。

 世界選手権での同級の上位4選手は、自身を含めてすべてアジアの選手。東京オリンピックでもアジア選手の金メダル争いが予想され、昨年2月に地元インドで開催されたアジア選手権は格好の前哨戦のはずだった。

 しかし、新型コロナウィルスのため、世界チャンピオンのパク・ヨンミンのいる北朝鮮が出場を辞退。同3位のパン・キアンユ(龐倩玉)がいる中国はコロナの発生地ということでビザが下りなかった。向田と闘いは実現し、敗れながらも3位に入賞。

 向田との対戦は、2019年4月のアジア選手権での初対戦は第2ピリオド、0-10のテクニカルフォール負けだったが、同年10月の世界選手権では0-7、昨年2月のアジア選手権では2-6。「闘うたびに、向田に近づいています」という手ごたえに偽りはあるまい。

ノルウェーで思いがけずに日本選手と練習

 そんなビネシュは、アジア選手権のあとノルウェー・フレデリクタへ向かって現地選手との練習に臨んだ。そこで遭遇したのは、2017年に55kg級で、2018年に53kg級で、それぞれ世界一に輝いた奥野春菜(至学館大)。兵庫・芦屋学園で指揮する坂本涼子監督(1993年世界チャンピオン)が現役時代にライバルだったグドルン・ホイエからの依頼を受けて日本の強豪選手を送り、その一人だった。

アジア勢が上位を占めた2019年世界選手権53kg級。だれが東京で栄冠を勝ち取るか(左から向田真優、パク・ヨンミン、パン・キアンユ、ビネシュ・フォガト)

 打倒日本がオリンピック優勝のひとつの道であろうが、その合宿にビネシュと奥野が参加することはお互いに知らなかった。双方にとって、思いがけずに願ってもない練習ができた。ビネシュは「日本選手との練習は、とても役に立ちました。日本選手相手の恐怖心を克服でき、日本選手のスタイルへの対応ができました」と振り返る。

 ビネシュをマンツーマンで指導するウォラー・アコス・コーチは、現在のビネシュを「(コロナ禍によるブランクから復帰し)少しずつですが実力を戻しています。今は体力の強化と基本技の習得に力を入れています」と説明。「すでに東京オリンピックの出場権を持っているので、オリンピックを目標に強化できます。東京オリンピックのときを最高にもっていきたい」と話した。

 男子ではフリースタイル65kg級のバジラン・プニア、女子ではビネシュが期待の一番手のインド。全体の実力もさることながら、人気も急速に上昇中。2018年冬に行われたプロ・リーグのテレビ放映は、のべ8億5000万人(インドの人口は約13億2400万人)が視聴。同国で最も人気の高いクリケット(野球の原型のスポーツ)には及ばないが、もうひとつの人気競技であるカバディを超えたとも言われている。

 熱狂的な応援を武器に、インド・レスリング界が初のオリンピック・チャンピオン輩出に向けてまい進する-。







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