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2021.02.06

【特集】2024年ヘ向けての闘い、激戦階級で幸先いいスタート…男子フリースタイル74kg級・木下貴輪(クリナップ)

 

木下貴輪(クリナップ)=同社提供

 昨年12月の全日本選手権・男子フリースタイル74kg級を制した木下貴輪(クリナップ)は「素直にうれしかったです。これまで(全日本レベルの大会で)決勝に行ったことが2度ありましたが、勝てなかった。こうした舞台の決勝で勝てたことは、とてもうれしかったです」と振り返る。同級の東京オリンピック代表は乙黒圭祐(自衛隊)に内定しており、木下のオリンピックへの道は閉ざされている。それでも「優勝」はうれしい。激闘を勝ち抜いた選手の偽りのない気持ちだろう。

 勝因として「自分の形で攻めることができたこと」を挙げたほか、新型コロナウィルス感染の影響で全国的に活動がストップした中、山梨県は感染者数が少なく他地域の選手より練習が積めていたことを挙げた。試合はできなかったが、技術を見直し、基本から修正できたことがよかったと言う。

 エントリー選手には、オリンピック代表内定の乙黒圭祐と同代表を争った奥井眞生(自衛隊)がいなかった。「だれが相手でも勝つつもりで臨みます。乙黒にはこれまで2回負けていて、リベンジしたかったのですが」と前置きしながら、「(乙黒が)いない以上、優勝するしかないと思いました」と、強豪不在の状況が優勝への思いに拍車をかけたことは否定しなかった。

70kg級で世界大学選手権を制覇、満を持して74kg級へアップ

 山梨学院大時代は主に70kg級で活動。全日本学生選手権と全日本大学選手権で2度ずつ優勝し(2016年の全日本大学選手権は74kg級で優勝し、通算3度優勝)、2018年には世界大学選手権(ブラジル)を制した。オリンピック階級の74kg級に定着したのは、ブラジルでの優勝のあと。オリンピック予選の時期を考えると、ちょっと遅いような気もするが、「そういう気持ちはなかったです。74kg級で通用するパワーはあったと思いましたから」と話す。

母校・山梨学院大で練習する木下。2024年パリに照準を定めた

 70kg級でしっかりとした実績をつくり、それからオリンピック階級へ挑んだ形。こういう挑戦方法があってもいい。ただ、74kg級に上げてから結果を出せたのは2019年国体(優勝)だけ。「相手からしたら、体重のない分、プレッシャーが少なかったのかもしれませんね」と分析する。

 昨年10月に予定されていた地元・鹿児島での国体がひとつの目標だった。東京オリンピックを逃し、鹿児島国体が終われば、「もういいかな、という気持ちになっていたかもしれない」と言う。鹿児島国体が2023年に延期となり、地元からの引き続きの期待があった。会社の支援も続くことが分かり、地元国体を目標にする気持ちが出てきた。

 「この優勝をきっかけにしたい。5月の明治杯(全日本選抜選手権)にも勝って世界選手権(10月・ノルウェー)にも出たい」と、東京オリンピックは逃したものの、世界へ飛び出す気持ちは十分。2年かけて74kg級として十分な肉体になったことを感じただけに、これからが勝負だ。

練習相手・乙黒拓斗のスピードと攻撃力が目標

 鹿児島国体のある2023年秋までやれば、おのずと2024年パリ・オリンピックが視野に入ってくる。「パリを目指す?」という問いに、力強く「はい」と答えた。今度は4年というスパンで、しっかりと鍛えて挑むオリンピック。焦る必要はないが、まず必要なことは何か。「先制の力です。最初にポイントを取れていない。最初のアタックを確実なものにしないとなりません」と言う。

激しい闘いとなる乙黒拓斗とのスパーリング

 高谷大地(自衛隊)との全日本選手権の決勝は、最後は7-3で勝ち、スコア的には快勝と思えるが、2点を先制されて盛り返した内容。「試合動画を見て、先制点を取ろうと思えば取れるシーンはたくさんありましたね」と分析し、攻めるタイミングに課題を残した。「片足タックルにこだわりすぎて視野が狭くなっている」とも感じ、修正すべき点はたくさんある。

 現在の見本は、同じ道場で練習しスパーリングも数多くこなす65kg級の乙黒拓斗。「スピードがあって、最初からの攻撃力がすごい」と評し、その先制能力と攻撃能力を身につけたいと言う。

 4月のアジア選手権(カザフスタン)は、オリンピック代表の乙黒圭祐に優先権があるので、出場できるかどうかは微妙だ。このままなら、全日本選抜選手権で勝って世界選手権(ノルウェー)の代表になっても、国際大会を経験せずに臨むことになる。「シニアでは74kg級の国際大会を闘ったことがありません。一度は試してみたいですね」と言う。

86kg級アジア王者と練習できる環境で実力アップを

 2014年のアジア・ジュニア選手権は74kg級に出場して2位に入っているが、決勝のイラン選手には完全に力負けした記憶がある。シニアの74kg級なら、パワーはもっとあることが予想される。それを知るためにも国際大会の経験がほしいところだが、実力の世界の序列があり、大会日程の関係もあるのでやむをえまい。これまでの経験を活かして74kg級の国際大会に対応するしかない。「基礎的な体力を上げていきたい」と言う。

喜怒哀楽をさほど表に出さない選手だが、初優勝では歓喜のガッツポーズ=撮影・矢吹建夫

 幸い、練習する山梨学院大には昨年2月に86kg級でアジア王者に輝いた山田修太郎がいる。山田はグレコローマンで大学王者に輝いた選手で、差しの技術も持っている。グレコローマン的な動きをする選手もいる外国選手を想定した練習は積めそうだ。

 2024年へ向けては、乙黒圭祐奥井眞生の壁のほか、今回の全日本選手権で勝った高谷大地志賀晃次郎(拓大=2019年世界選手権70kg級8位)は74kg級にアップしてから日が浅く、これから伸びる可能性がある選手。途中から70kg級と79kg級の強豪選手が階級を変えてくる可能性もあり、4年後の勢力図はまったく分からない。

 ひとつ言えることは、選手数も多く激戦階級であること。そのスタートをいい形で切れた木下。パリ・オリンピックを目指す闘いの主役に踊り出ることができるか。







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