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2021.04.18

【特集】オリンピック出場を目指す伝説の格闘一族の末裔、世界最終予選にかける…アビッド・ハルーン(パキスタン=日体大)

 

 【アルマトイ(カザフスタン)、文=布施鋼治】4月11日、カザフスタン・アルマトイで行なわれた東京オリンピック・アジア予選の最終日。男子フリースタイル125㎏級に、アビット・ハルーン(パキスタン=日体大)がエントリー。初戦でブカクバゲレル・ムンクツル(モンゴル)にテクニカルフォール負けを喫し、敗者復活戦では接戦の末、キルギスの選手にフォール負けという結果に終った。

シニア初の国際大会はほろ苦い結果に終わったアビッド・ハルーン(パキスタン=日体大)=撮影・保高幸子<UWW>

 日本では97㎏級を主戦場とするハールは、なぜひとつ上の階級で闘ったのか。「国にいろいろな事情があって、僕は97㎏級に出たかったけど、今回は125㎏級に出ることになりました。敗者復活戦は勝てる相手だった、ちょっと油断しているうちに負けてしまいました」

 来月の世界最終予選(ブルガリア)にはベストウエートの97㎏級でエントリーする予定という。「僕にはまだ実績がないけど、これからパキスタンに戻ってから精いっぱい頑張って練習し、東京オリンピックに出たい」

 この4月から日体大の4年生になったが、アジア予選と世界最終予選に出場するため、3月半ば、1年半ぶりに母国に戻った。「コロナのせいでずっと帰れなかった。家族に会えたことはうれしかったですね」

世界最終予選のあとは日体大に合流

 現在のパキスタンのレスリング事情を聞くと、ハルーンは「もともと、そんなに盛んではない」と打ち明けた。「今回は母国でもいい練習ができたと思うけど、日本の方が練習する環境は整っている。僕の場合、日体大で練習する方が強くなれるでしょう」

 世界最終予選が終れば、その結果に関わらず日本に帰国する予定。「4年生なので、レスリング部の寮に戻ります」

日本でレスリング・デビューしたハルーン=2017年全国高校選抜大会

 ハルーンは、異種格闘技路線を進めていたアントニオ猪木さんが1976年にパキスタンで闘ったアクラム・ペールワンの親族として知られている。1979年に猪木さんと闘って勝利をおさめ、会場を熱狂の渦に包んだズベール・ジャラは、ハルーンの父親の兄弟、つまり叔父にあたる。

 「私の一族はずっとレスリングをやっていました。僕のお父さんはやっていなかったですけどね」

 1991年のジャラの急死をきっかけに、一度は途絶えたペールワン一族のレスリングの灯を再び灯すきっかけを作ったのは、2014年に久しぶりにパキスタンを訪問した猪木さんだった。一族の伝統が遺えたことにショックを受けた猪木さんは「一族の誰かを日本に送ってくれ。レスリングをやらせる。生活の面倒は見る」と声をかけた。

 そこで、当時14歳だったハルーンに白羽の矢が立った。猪木さんの金銭的支援を受けて来日したハルーンは、東京・日体大荏原高校を経て千葉・日体大柏高校へ。そこでレスリングに専念し、日体大でも重量級のポイントゲッターとして活躍していることは記憶に新しい(関連記事)。

今はパキスタン代表が目標、将来は日本国籍を取っての活動が希望

 それから8年、ハルーンは最近SNSにアップされている猪木さんの病状が、気が気でない。「僕に声をかけてくれた猪木さんは具合が悪いようで、ちょっと心配です」

日本でレスリングを続ける希望を持っているハルーン=撮影・布施鋼治

 取材は流暢な日本語で行なわれた。パキスタン語と日本語のほかに英語やヒンディー語も喋れるという。「日本語は来日してから1年以内に覚えました。日本人は日本語しか話さないので、できるだけ早く覚えたいと思い、いろいろな人と話すうちに話せるようになりました」

 生まれ故郷はロックダウンのため満足な練習ができないので、ハルーンは同国のもう一人の選手とともに別の場所に移動しての調整に励む。「いまはパキスタンのために闘いたい。でも、将来的には日本国籍を取りたい」

 伝説の格闘一族の末裔(まつえい)は、これから日本でどんな格闘人生を歩むのだろうか。







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