2021年東京オリンピック／男子グレコローマン60kg級展望（8月1・2日実施）

《エントリー選手》　

《第1シード》文田健一郎 ／ 《第2シード》セルゲイ・エメリン（ロシア） ／ 《第3シード》ケリム・カジム・カマル（トルコ） ／ 《第4シード》アリレザ・アヤト・オラ・ネジャティ（イラン）

2019年の世界一を争った文田健一郎とセルゲイ・エメリン（ロシア）。東京での再現はあるか

　2019年世界選手権優勝の文田健一郎が第1シード、同決勝を争った2018年世界王者セルゲイ・エメリン（ロシア）が第2シード。ともに勝ち上がって、両者の激突の再現なるか。エメリンは、コロナ禍明けでは、今年1月のロシア選手権と4月の欧州選手権で優勝と好調だったが、6月の「ベービ・エムレ&ハミト・カプラン国際大会」（トルコ）では、1回戦で2019年アジア選手権10位のイラン選手に敗れる不振。巻き返しなるか。

　ロシアを除く欧州勢で要注意の筆頭は、欧州予選優勝でオリンピック出場を決めたケリム・カジム・カマル（トルコ）だろう。2017～19年世界ジュニア選手権で優勝して台頭した選手。したがって文田との接点はない。エメリンがつまずいた「ベービ・エムレ&ハミト・カプラン国際大会」を制しており、その勢いを持ち込めるか。

　エメリンが第2シード、カマルが第3シードなので、文田は両選手のどちらかと闘うことになる。

台頭してきたケリム・カジム・カマル（トルコ）。欧州予選を1位で突破した＝提供・UWW（撮影：Dogukan Karadag）

　2019年世界選手権3位は、アイラムベク・アイナグロフ（カザフスタン）とアリレザ・アヤト・オラ・ネジャティ（イラン）のアジア勢が占めた。同5位のエルムラト・タスムラドフ（ウズベキスタン）とともに、オリンピックでアジアのグレコローマンが躍動するか。

　アイナグロフは、2017年世界選手権59kg級決勝で文田に敗れて銀メダルの選手。ネジャティは、2019年世界選手権で文田にテクニカルフォール負けしており、国際舞台では多くの実績のある選手ではない。ただ、今年2月の「ウクライナ国際大会」を制した若手選手で、大きく成長している可能性はある。

　2016年リオデジャネイロ大会59kg級3位のタスムラドフも、2019年世界選手権で文田がテクニカルフォールで勝っている選手だが、2018年世界選手権63kg級2位、2020年アジア選手権63kg級優勝などの実績を持っている。67kg級で闘ったこともある。体重調整がうまくいけば、あなどれない存在になると言えよう。

　アジア予選優勝で出場してくるのは、ジョラマン・シャルシェンベコフ（キルギス）。2020年アジア選手権決勝で文田に0－4で敗れているが、2018年世界選手権55kg級2位のあと60kg級に上げた選手。昨年12月の個人戦ワールドカップではステパン・マリャニャン（ロシア＝2018年63kg級世界王者）を破って優勝。今年6月の「ベービ・エムレ&ハミト・カプラン国際大会」はケリム・カジム・カマル（トルコ＝前述）に次いで2位（決勝は負傷棄権）。階級アップをしっかりこなしており、昨年2月時点での実力ではあるまい。

　2018年世界選手権3位のサイリケ・ワリハン（中国）、世界予選を勝ち抜いた2018年世界選手権2位・2019年欧州選手権優勝のビクトル・シオバヌ（モルドバ）と2019年U23世界選手権優勝のアルメン・メリキャン（アルメニア）の台頭はあるか。

文田健一郎と主な強豪選手の対戦成績

※フォールのスコアは文田から見たスコア