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2021.08.04

【2021年東京オリンピック・特集】オリンピックは素晴らしい舞台。戻って来られたらいい」…皆川博恵(クリナップ)

 

(文=布施鋼治)

 8月2日に行なわれた女子76㎏級の3位決定戦。勝負は第1ピリオド1分22秒から動いた。アクティビティ・タイムを受けたジョウ・チエン(周倩=中国)はスピーディでパワフルな片足タックルでテークダウンを奪い、そのままニアフォールへ。絶体絶命のピンチを迎えた皆川博恵(クリナップ)は、回避しようと必死に抵抗したが、最後はフォール負けを喫した。

銅メダルをかけてアジア大会チャンピオンに挑んだ皆川博恵(クリナップ)

 「相手がああいうスピードのあるタックルを持っていることはわかっていたけど、うまくやられてしまった」

 ジョウとは過去に幾度となく闘い、負け越している。それだけにリベンジする絶好の機会だったが、ジョウの方が一枚上手だった。

 さらに皆川は複雑な心境を吐露した。

 「6分間、闘うことができなかったので、すごく情けない。ただ、最初からすごく前に出ることはできたかなと思います」

 前に出て闘う-。前日に行なわれた第2シードのアライン・フォッケン(ドイツ)との準決勝では全くできなかっただけに最大の課題としていた。

 「きのう(の準決勝では)何もできなかったので、最初から悔いが残らないように最初からプレッシャーをかけて試合を進めようと思っていました」

「これが私の全力」と、強い後悔はなし

 最重量級では2008年北京大会で浜口京子が銅メダルを獲得して以来のメダル獲得を狙ったが、かなわぬ夢に終わった。この日、テレビのリポーターとして会場を訪れていた浜口からは「よく頑張った」とねぎらいの言葉をかけられたという。「本当にたくさんの方々に応援してもらったと思います」

タックルを受けてしまい、粘ったものの…

 皆川はコロナ禍の中自宅でのトレーニングに付き合ってくれた元レスラーの夫・拓也さんへの感謝の言葉も忘れない。「7月に入ってからはずっと合宿だったので、家にも帰っていない。そうした中、夫は家事を全部やってくれたし、精神面の支えにもなってもらいました」

 今大会の代表の中で皆川は最年長(33歳)ながら、オリンピックには初出場という立場だった。今後について聞かれると、明言を避けた。「オリンピックは本当に素晴らしい舞台だった。どういう形になるかわからないけど、また(この舞台に)戻って来られたらいいと思います」

 念願のメダル獲得とはならなかったが、皆川は「これが私の全力」と後悔はしていない。それは、これまで紆余曲折あった、彼女のオリンピックロードと無関係ではあるまい。2015年には翌年のリオデジャネイロ大会の出場をかけた世界選手権の直前、練習中に左ひざの靱帯断裂。オリンピック初出場を断念せざるをえなかった。

 それだけに、オリンピックに対しては人一倍熱い思いを抱き続けてきた。あと一歩。今後の去就が注目される。







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