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2021.08.05

【2021年東京オリンピック・特集】2連敗中の相手にリベンジ! パリでは優勝のウイニングランを…男子グレコローマン77kg級・屋比久翔平(ALSOK)

 

(文=布施鋼治)

銅メダルを決め、勝利の雄たけびをあげる屋比久翔平=提供・UWW(撮影:Kadir Caliskan)

 「2回戦で負けたけど、(敗者復活戦で)チャンスが転がってきた。この悔しさを糧に何とか銅メダルを取ってやる、という気持ちで挑んで取れたのでよかったです」

 8月3日、男子グレコローマン77㎏級代表の屋比久翔平(ALSOK)が3位決定戦で2018年のジア大会優勝のモハマダリ・アブドルハミド・ゲラエイ(イラン)を13-3のテクニカルフォールで撃破し、銅メダルを獲得した。

 屋比久は前日に行なわれた2回戦で2019年世界王者タマス・ロエリンツ(ハンガリー)に敗れたが、ロエリンツが決勝に進出したことで敗者復活戦へ。ここで対戦予定だった選手が棄権したことで、労することなく3位決定戦へ進んだ。運も実力のうちだ。オリンピックの個人競技で、沖縄出身者のメダル獲得は初めての快挙だった。

 「沖縄で(レスラーとして)頑張っている高校生、中学生、ちびっ子たちにも夢を与えられたんじゃないかと思います」

父の教えの「前に出るレスリング」を実践

 ゲラエイとは、2018年にアジア選手権とアジア大会で対決。いずれも大差で敗れている。言ってみれば、リベンジしたい対戦相手の一人だったが、試合前の予想では「不利」という声の方が大きかった。案の定、第1ピリオドではゲラエイにパーテールポジションからの攻撃を受けて3点をリードされた。

豪快なリフト技を決めて勝敗を決定づけた

 しかし、第2ピリオド、スタミナに絶対の自信を持つ屋比久は、父・保さんの教えである前に出るレスリングでゲラエイの消極性を誘って1点を返す。さらにパーテールポジションを選択すると、リフトに成功して大きく投げ落として5点。6-3と逆転に成功した。屋比久は「相手の闘い方は分かっていた」と振り返る。

 「スタンドでは点を取られないようにし、前に出ることが作戦。グラウンドは、ひとつ返されてしまったけど、最小点に抑えられたのが良かった。研究の成果が出たと思う。イランの選手は後半ばてる選手が多いので、後半に勝機があると思っていました」

 ゲラエイのパンチに近い攻撃が反則を取られて、屋比久にさらに2点。試合終了間際、大逆転を狙ったゲラエイはジャンプして組みついてきたが、これを屋比久はボディスラムの要領で切り返して5点。テクニカルフォールでゲラエイから初勝利をあげるとともに、日本オリンピックのグレコローマン史上最重量のメダリストとなった(これまでは1968年メキシコ・オリンピックで金メダルを獲得した宗村宗二の70㎏級が最重量)。

会場で長男の首にメダルはかけられなかったが…

マット1周のウイニングランはパリ大会の目標

 「僕が日本のトップになってから、アジアのメダルを取ったことはあったけど、世界のメダルは長年取れなかった。そういうことも含め、今回のメダルは価値のあるものかなと思います」

 奇しくも8月5日は長男・紫琉(しりゅう)君の1歳の誕生日。父親として最高の誕生日プレゼントを用意できた。

 「本当は会場で見てもらって、誕生日プレゼントとして(首に)かけてやりたかったけど、(無観客試合になったので、それはかなわなかった)。それは家に帰ってからやりたいと思っています」

 コーチから日の丸を渡されたが、ウイニングランはやらなかった。審判に止められたこともあるが、それは金メダリストの特権だと思っていたからだ。パリでは、屋比久のウイニングランが見られるか。







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