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2021.09.17

【2024年パリ・オリンピックへのスタート】先輩・乙黒拓斗に続けるか…男子フリースタイル74kg級・佐藤匡記(山梨学院大)

 

佐藤匡記(山梨学院大)

 東京オリンピックが終わり、2024年パリ・オリンピックへの闘いがスタートするスポーツ界。新顔の台頭が望まれる中、20歳の佐藤匡記(山梨学院大2年)が10月の世界選手権(ノルウェー)男子フリースタイル74kg級に出場し、世界への飛躍を目指す。

 大学2年生での世界選手権出場と言えば、3年前に日本男子最年少の世界王者に輝いた乙黒拓斗(山梨学院大~現自衛隊)を思い出す。佐藤は乙黒と同じJOCエリートアカデミー~山梨学院大のコースを歩んでいる。乙黒のインターハイ3連覇には及ばないが、高校2・3年生でインターハイ王者となり、実績もあって期待度は高い。

今年5月、全日本王者の木下貴輪に連勝して世界選手権代表権を取った佐藤

 初の世界選手権に臨むにあたっては、「緊張の気持ちが強くなっています」と、一抹の不安がある様子。最後の国際大会が3年前の世界カデット選手権(クロアチア=7位)で、試合間隔が空いていることのほか、ジュニアを飛び越えてシニア最高レベルの舞台という状況も、強気一辺倒にはなれない理由でもあるようだ。

 だが、5月の全日本選抜選手権は、初めてのシニアの試合であり、ブランク後の試合だったにもかかわらず優勝する非凡さを見せた。高校3年生のインターハイで優勝したあと、痛めていた右ひざの手術に踏み切り、新たなけがも見つかって再手術。約1年10ヶ月ぶりの実戦だった。

 ジュニアを飛び越え、試合間隔が空きながらも実力を出せたのだから、ハンディを乗り越えるだけの資質と勝負強さ、そして勝利を呼び込む運は持っている。

乙黒拓斗から学んだレスリングに取り組む真摯な姿勢

 全日本選抜選手権を振り返ってもらうと、「試合勘も鈍っていたでしょうし、優勝できるとは思っていなかったんです。自分でもびっくりしました」と謙そんする。初戦で2020年アジア選手権3位の高谷大地(自衛隊)を破って波に乗ったことが大きかったようだ。

山梨学院大道場で木下と練習する佐藤。毎日が“全日本決勝”の闘いだ

 このときの高谷は、兄・惣亮(ALSOK)のオリンピック予選の練習相手として海外へ行き、帰国後の隔離期間が明けた直後の試合。コンディションはよくなかったことが推測される。しかし、どんな理由があってもビッグネームを破った事実は自信につながる。

 「そのあとの試合に勝てたのは、その勝利が大きかったですね」と、この1勝で波に乗ったことは否定しない。1回戦で隔離明けの強豪と当たったのは、最高の“幸運”だった。勝利の女神は、見込んだ選手には、こうした運を与えることがよくある。

 もちろん、運や勢いだけで優勝できるものではない。戦線離脱後にもかかわらず優勝できた要因は、「ブランクの最中も、体力づくりや組み手の練習など、できることをこつこつやってきたからでしょうか」と振り返った。1年間だったが、乙黒拓斗に接した影響もあるようだ(注=アカデミーでも1年間、重なっている)。「強さはもちろん、チーム練習以外でも一人で練習をやり、私生活もしっかりしている」と、世界一に輝く選手のレスリングへ取り組む姿勢が、マットワークができない期間でも気持ちが途切れなかった要因だった。

全国V5仲間の山田脩、塩谷優と切磋琢磨

 東京・AACC 所属の2013年全国少年少女選手権で5連覇を達成した。教室までは片道約1時間。強くなりたくてその移動に耐えた。中学2年生の全国中学選抜大会で2位に入賞したのを機に、翌年からJOCエリートアカデミーへ。江藤正基コーチの朝夕にわたる親身な指導によって実力がアップした。ほかに、洗濯も自分でやらなければならないなど、私生活での大変さも自立心の養成につながり、「成長に役立った」と振り返る。修練の場は、マットの上だけではない。

2013年全国少年少女選手権で5連覇を達成した3選手。左から山田脩、塩谷優、佐藤

 2013年の全国少年少女選手権では、他に山田脩(愛知・ゼントータル=現日体大)と塩谷優(東京・ゴールドキッズ=現拓大)がV5を達成した。この中で最も早く世界に飛び出したのが塩谷で、2016年の世界カデット選手権に出場、今年4月には日本男子最年少のアジア王者に輝いた。

 山田は2017年世界カデット選手権に一緒に参加。翌年、世界カデット選手権2位、ユース・オリンピック3位へ躍進。世界のメダルを手にしてないのは佐藤だけで(アジア・カデット選手権では銅メダル獲得)、「追いつきたい、という気持ちはあります」と言う。だが、インターハイ2連覇を達成したのは佐藤のみ。3人の先頭を切ってシニアの世界選手権への挑戦だ。

 山梨学院大の小幡邦彦監督は「デフェンスが強くて粘る力があり、我慢の中から反撃できる選手」と評価。「オリンピックが終わったばかりのこの世界選手権はチャンスが大きい」として結果を望む一方、「今の自分の世界での位置を知るために、勝ち負けを意識せずに思い切ってやってほしい」と望んだ。乙黒拓斗の歩んだ道に続けるか。







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