(文=保高幸子)
10月2~10日にノルウェー・オスロで行われる世界選手権で、女子65kg級に出場する森川美和 (日体大)。これまでカデットで1度、ジュニアで2度、U23で1度、世界選手権に出場して、そのすべてでメダルを手にしているが(優勝は1回)、シニアでは初の世界選手権。
2019年のワールドカップ(千葉・成田)以来、約2年ぶりの国際大会の舞台に向け、「自分がどこまで通用するのか、楽しみです」と胸を高鳴らせている。
東京オリンピック代表を目指し、68kg級で挑んだ2019年全日本選手権では、2016年リオデジャネイロ・オリンピックで金メダルを獲得した土性沙羅(東新住建)を準決勝で破り、優勝する殊勲を挙げた。しかし、後日のプレーオフで惜敗し、東京オリンピック代表の夢は絶たれた。
その当時について「体重はぜんぜん足りていなかった」と言う。約4ヶ月前の世界ジュニア選手権は65kg級で出場し、約1ヶ月前のワールドカップでは62kg級での出場だった(計量は2kgオーバーの64kg)。オリンピック出場を目指し、62kg級では減量がきつかったため68kg級を選び、全日本選手権を制したが、体重不足は否めなかった。
現在は通常体重が68kgにまで増えた。「まだ68kg級では難しいと思うけど、65kg級なら通用すると思う。目標は金メダルです」と力強く語る。
日体大独自の強化指定選手制度があり、森川はその対象の1人。松本慎吾監督からのアドバイスで、2020年10月ごろからその制度を利用し、マンツーマンでウエートトレーニングのサポートを受けてきた。
その成果だろう、この1年間で筋肉量が増えたという。「以前は外国人選手と組むと、軽量級が相手でも耐えるのに精いっぱいでした。3分で腕がパンパンでした」だったのが、仲間からも「組んだときの力が強くなった」と言われ、その実感もある。
自分のレスリングに自信があるのは瞬発力。それに加え、パワーにも自信をつけ始めている。「目標とするパリ・オリンピックに向けて、パワーが必要と感じていました」と言い、3年後に向けて着々と力をつけている。
8月の東京オリンピックを見て、「プレーオフに負けて出られなかったので、悔しい気持ちがあった」と森川。金メダルを獲得した50kg級の須﨑優衣(早大)と53kg級の向田真優 (ジェイテクト)は、同じ東京・安部学院高の同級生と先輩。
「2人が頑張っている姿を見たし、勝利への強い思いをすごく感じた」とかみ締めるように話す。身近にロールモデルがいるのは大きいだろう。周囲の期待にこたえる姿にも、思うところがあった。
森川が日体大の学生として出場するのは、今回の世界選手権のあと、12月に予定されている全日本選手権が最後の試合になる。「周りの期待にこたえたい。日体大生としても日本代表としても、その名に恥じない試合をしっかりやりたい」-。
森川のステップアップに期待したい。