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2021.09.27

【2024年パリ・オリンピックへのスタート】最強女王からの伝言「今年、一緒に世界一になろうよ」…女子57kg級・南條早映(至学館大)

 

南條早映(至学館大)

 2度のオリンピックを含め世界5連覇を達成した女子57kg級の川井梨紗子(注=同級では2連覇。現姓「金城」だが、当ページでは「川井」と表記)。川井の階級で世界選手権(10月2~10日、ノルウェー)に挑むのが、2019年に世界ジュニア選手権(59kg級)とU23世界選手権(57kg級)を制した南條早映(至学館大)だ。

 5月の全日本選抜選手権は3試合とも無失点のテクニカルフォールで圧勝。オリンピックへ向けて川井を練習パートナーとして支え、川井から「今年、一緒に世界一になろうよ」と激励されている。

 南條は「ずっと目標にしていた大会。絶対に優勝したい、という気持ちです」と話し、気持ちは上昇中。新型コロナウィルスの感染拡大がおさまらず、開催が危ぶまれる状況ではあったが、「絶対にあると信じて練習してきた。たとえなかったとしても、目標は次のオリンピック。それに向けて頑張る気持ちでした」と、気持ちがぶれることはなかった。

オリンピック直後だが、2人の強豪がエントリー

 7月には、東京・味の素トレーニングセンターで行われていたオリンピック・チームの合宿に練習相手として参加。オリンピックを目指す選手の中に混じって練習していたことも、気持ちが途切れることのない要因だった。川井が世界一をキープしたことで、南條にも世界一が見えてきたことは間違いあるまい。

世界選手権へ向け、川井梨紗子との連日の練習で鍛える南條

 世界レスリング連盟(UWW)から発表された同級のエントリーには、2016年リオデジャネイロ大会53kg級優勝のヘレン・マルーリス(米国)や、オリンピックで第2シードだったオデュナヨ・アデクオロイェ(ナイジェリア)の名前が、オリンピック直後であるにもかかわらずあった。

 だが、南條の表情や言葉からは、緊張や恐れはまったく感じられない。「自分の力がどれだけ通じるか楽しみです。『通じるか』という楽しみというより、『絶対に勝つ』という楽しみの方が大きいです」ときっぱり。

 川井とオリンピックの決勝を争うと思われたアデクオロイェは、1回戦で2019年世界5位のモルドバ選手(南條とは1勝1敗の選手)に逆転フォール負けし、敗者復活戦にも回れない結果に終わった。下馬評通りにいかないのが勝負の世界。名前負けすることなく挑むことが望まれる。

川井梨紗子から学んだ「気持ちの切り替え」の重要さ

 マルーリス、アデクオロイェの両選手と闘ったことのある川井からは、対策をしっかりと伝授されている。川井は新婚にもかかわらず、毎日のように至学館大のレスリング場に顔を出し、オリンピックへ向けて自分をサポートしてくれた南條や花井瑛絵(59kg級代表)の練習相手を務めている。

道場にいるもう一人のオリンピック金メダリスト、川井友香子とも練習

 教えているのは、技術や戦術もさることながら、「気持ちの切り替え」の重要さ。川井は決勝こそ危なげない強さで快勝したが、1、2回戦は意外にてこずっており、明らかに格下のギニア選手にテークダウンを奪われてもいる。本人の口から「体がふわふわして自分の動きではなかった」ことを聞かされた。

 だが、2回戦から準決勝までの空いた時間に気持ちを切り替えることに専念。それによっていい動きが戻り、マルーリスとの“オリンピック女王対決”を制することができたと言う。川井ほどの実績とキャリアの持ち主でも、大舞台ではコンディショニングの歯車が狂い、動きが悪くなってしまうことがある。そのとき、どう気持ちを切り替えるか。

 それも、ふだんの練習で経験できること。南條は「いい練習ができなかったとき、どうやって立て直すか。それを意識して練習していくことが必要だと思います」と、川井の経験談を胸に刻んで練習を重ねている。

すでにシニアの国際舞台で実績を残しているが…

 もうひとつの発奮材料となっているのが、同じJOCエリートアカデミー出身の2人(向田真優、須﨑優衣)が優勝したこと。「やっぱり悔しいですね」。特に向田は、南條と同じく“オリンピック金メダリスト製造機”栄和人監督の指導と吉田沙保里らのいる環境を求め、アカデミーから至学館大に身を投じた先輩。「自分は何をやっているんだ、という気持ちにもなってしまって…」。その悔しさは、2024年パリ・オリンピックには絶対に出場して金メダルを取る気持ちにつながっている。

17歳で出場した2017年アジア選手権で優勝。2位はインド女子の期待の星となったビネシュ・フォガト=撮影・矢吹建夫

 アカデミー出身では乙黒拓斗も優勝している。「自分の歩んできた道は金メダルへの道、という気持ちは?」という問いには、「アカデミー(出身)だから勝てる、というものではないでしょう。みんな、努力した過程があると思います」と話し、アカデミーで培ったベースに、努力を積み上げることが必要と強調した。

 これまで、シニアの国際舞台では、17歳のとき(2017年)にアジア選手権で優勝したのをはじめ、2度のワールドカップに出場。「ヤリギン国際大会」(ロシア)と「クリッパン女子国際大会」(スウェーデン)で優勝するなどの実績を残している。それでも「オリンピックに出るほどの選手とはやっていないですから」と気を引き締め(注=インドのビネシュ・フォガトなど、東京オリンピックに出た選手とは何人か闘っている)、ビデオで参加選手の研究を重ね、勝つための準備は怠らない。

 川井が「100パーセントの力を出せれば、世界一になれると思います」と太鼓判を押す逸材。ともに闘ってくれた南條を世界一に押し上げてこそ、“川井の東京オリンピック”が終わり、57kg級の新たな闘いが幕を開ける。それは、もしかしたら川井と南條の“最強決定戦シリーズ”のドラマかもしれない。







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