2021年内閣総理大臣杯全日本大学選手権は11月13日(土)~14日(日)に栃木・足利市民体育館で行われ、大学対抗得点では、昨年圧勝した日体大が2年連続22度目の優勝を目指す。優勝すれば、グレコローマンとともに3年ぶりの大学二冠制覇となる。
大学対抗得点と各階級の見どころをさぐった。(優勝=12点、2位=9点、3位=6点、5位=3.5点、7位=2点、8位=1点)。
《大会日程》11月13日(土) 57・61・65・70・74kg級(1回戦~敗者復活戦・ファイナル)
14日(日) 86・97・125kg級( 同 )
(注)各大学のエントリー選手の過去の成績をもとにした予想です。コロナ禍によるブランクや直前の負傷による実力ダウン等は勘案しておりません。
昨年は日体大が軽量3階級を制して対抗得点「71点」をマーク。2位に25点の大差をつけて優勝した。今年は70kg級・大野恵太郎、86kg級・白井達也の全日本学生選手権王者のほか、65kg級に世界選手権代表の山口海輝、57kg級にアジア選手権3位の竹下雄登、61kg級に全日本選手権2位の小川航大がいて、5階級で優勝を狙える布陣。昨年並みの得点もありうる状況だ。
74kg級で全日本学生選手権2位だった小柴伊織、125kg級で前年2位のアビッド・ハルーンも優勝を狙える位置。多少の取りこぼしがあっても、「60点」は下がるまい。
一昨年の覇者、山梨学院大も全日本トップレベルの選手がそろっている。74kg級・佐藤匡記、97kg級・大津拓馬の世界選手権代表(大津は92kg級代表)に、61kg級で全日本学生選手権優勝の榊流斗、86kg級で2020年アジア選手権優勝の山田修太郎が優勝を狙える。この4人で「48点」(12点×4)を取り、65kg級で東日本学生春季新人戦優勝の青柳善の輔、70kg級で東日本学生選手権優勝の飯田翔真らの奮戦によって、「60点」は確保し、さらに上積みしたい。
拓大は61kg級の森川海舟に優勝の期待がかかる。57kg級の山根典哲、86kg級の田中勝大、97kg級の井筒勇人、125kg級の山本壮太が続きたい。個人優勝は少なくとも、まんべんなく上位に行けば団体優勝できるのがこの大会。総合力で得点を伸ばすことができるか。
国士舘大、日大、中大、早大、中京学院大、徳山大にも優勝の可能性を強く持つ選手がいる。それらの選手が力を発揮すれば、前記3大学の得点は下がり、優勝の行方は混とんとしてくる。「0点」が2人いれば、優勝は遠のくのが、この大会だ。
《大学別エントリー選手》
青学大・育英大・大体大 / 神奈川大・関大・九州共立大 / 近大・慶大・国士舘大 / 専大・大東大・拓大 /
中大・中京学院大・東農大 / 同志社大・東洋大・徳山大 / 日大・日本ウェルネススポーツ大・日体大 /
日本文理大・福岡大・法大 / 明大・桃山学院大・山梨学院大 / 立大・立命館大・早大 / 天理大
【57kg級】
昨年優勝で、今年のアジア選手権3位入賞の竹下雄登(日体大)、10月の全日本学生選手権で竹下を破って3位入賞の山根典哲(拓大)の争いか。10月の対戦は山根が9-7で勝つ大接戦。実力は拮抗している。
2019年世界カデット選手権55kg級3位で昨年3位の菅沼碧久(青山学院大)、西日本学生の新人戦と選手権を勝った二宮健斗(日本文理大)、6月の東日本学生春季選手権2位の菊地颯斗(山梨学院大)、グレコローマンで学生王者に輝いた荒木瑞生(九州共立大)らが優勝争いに浮上できるか。
【61kg級】
10月の全日本学生選手権の決勝を争った榊流斗(山梨学院大)と森川海舟(拓大)が再度激突するか。榊が勝ったとはいえ、実力差は感じられない試合だった。昨年優勝で全日本選手権も制したの小川航大(日体大)の実力も、両者と伯仲している。
全日本学生選手権3位の藤田颯(早大)、同57kg級2位の鴇田昇太(明大)、東日本学生選手権2位の山口叶汰(神奈川大)が3選手の争いに加われるか。
【65kg級】
今年の世界選手権代表の山口海輝(日体大)が2年連続優勝(2018年61kg級を含めて3度目の優勝)を狙う。昨年2位で、山口のいなかった10月の全日本学生選手権を制した諏訪間新之亮(国士舘大)が、山口を倒して真の大学生の王者となれるか。安楽龍馬(早大)は昨年12月の全日本選手権決勝を山口と争い、1-2で敗れた。学生最後の大会を飾りたいところ。
全日本学生選手権3位の徳力貫太(専大)と深水小鉄(東洋大)、6月の東日本学生春季新人戦優勝の青柳善の輔(山梨学院大)、西日本学生選手権3連覇の秋山拓未(九州共立大)が優勝争いに加われるか。
【70kg級】
全日本学生選手権優勝の大野恵太郎(日体大)に、同2位で西日本学生王者の永松麗(徳山大)、同3位の佐長拓未(同志社大)、6月の全日本選抜選手権優勝の鈴木歩夢(早大)が挑む図式。初の学生タイトルを手にした大野が、その位置をキープできるか。
昨年3位の坂野秀尭(日大)、6月の東日本学生選手権を制した飯田翔真(山梨学院大)らが、優勝戦線に浮上できるか。
【74kg級】
全日本選抜選手権を制して世界選手権出場を果たした佐藤匡記(山梨学院大)が、その経験をいかして勝ち抜くか。佐藤のいなかった全日本学生選手権を制した深田雄智(早大)、同2位の小柴伊織(日体大)が、その勢いを止めることができるか。
全日本学生選手権3位の金子将大(専大)、西日本学生選手権79kg級優勝の竹内祐斗(徳山大)らの奮戦はいかに。
【86kg級】
昨年2位で全日本学生選手権優勝の白井達也(日体大)、同2位の内田貴斗(専大)、同3位の市川アンディ(神奈川大)と河津佑季(日本文理大)がそろった。インカレの激戦が再現されるか。
忘れてはいけない存在が、2020年アジア選手権優勝の山田修太郎(山梨学院大)。白井に分が悪く、昨年大会と全日本選手権、今年の全日本学生選手権での上位入賞を逃している(ただし、今年の全日本選抜選手権は3-3ながら勝利)。“天敵”を破れば優勝の可能性は十分の実力を持っている。
全日本学生選手権79kg級3位の奥井真吉(国士舘大)、6月の東日本学生春季新人戦79kg級を制した田中勝大(拓大)が階級アップを乗り切れるか。
【97kg級】
昨年優勝で今年の世界選手権92kg級代表の大津拓馬(山梨学院大)と、昨年86kg級優勝で今年の世界選手権86kg級代表の石黒隼士(日大)の2人の日本代表がそろった。世界レベルの闘いを制するのは、どちらか。
全日本学生選手権2位で西日本学生選手権優勝の村田優(中京学院大)、同3位の品田陽平(法大)のほか、同92kg級2位の井筒勇人(拓大)らが両者の牙城に迫れるか。
【125kg級】
中大から出るのは、全日本学生選手権優勝の出頭海か、6月の東日本学生選手権優勝の武藤翔吾か。同大学から1999年以来の王者誕生を狙う。
阻止を目指すのは、全日本学生選手権決勝で出頭に敗れた森右秀(中京学院大)、同3位の山本壮太(拓大)。ほかに、全日本学生選手権97kg級優勝の吉田ケイワン(日大)、同3位のアビッド・ハルーン(日体大)らが階級差を乗り越えて殊勲を目指す。