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2021.11.29

【特集】不撓不屈の18年! レスリング王国復活と発展を振り返る…福田富昭・前会長インタビュー(下)

 

《「上」から続く》

レスリングのオリンピックからの除外を報じるスポーツ紙と、急きょ開かれた記者会見=2013年2月

――2008年北京大会でも金メダルを取り、2012年ロンドン大会では男子の金メダルを復活させました。しかし2013年2月、ものすごい衝撃に襲われました(国際レスリング連盟=IOC=理事会で2020年オリンピックからレスリングを除外決議)。あのとき、東京オリンピック招致委員会のメンバーでもあったわけで、二重の労力が必要だったのではないでしょうか。

福田 地元開催のオリンピックなんて、人生に一回あるかどうか。多くの人の思い出になるだろうと思い、東京開催を実現したかった。結果として無観客になってしまったわけですが、政財界とスポーツ界とが一体となって招致を目指したことで、横のつながりができたような気がする。まさかコロナに襲われるとは思わなかった。何のために東京に持ってきたのか、という気持ちにはなった。

――レスリング除外の問題では、世界のレスリング界が一致団結したと思います。

福田 実は、責任をとって国際レスリング連盟(FILA)の会長を辞任したラファエル・マルティニティー会長も裏で頑張ってくれました。IOCの本部があるスイス在住ですので。そのとき思ったのが、世界で通じる言葉を話せる必要性です。新しいネナド・ラロビッチ会長は5ヶ国語を話せ、IOCの首脳と交渉してくれました。言葉を話せなければ、外交の舞台で要人とやりあうのは難しいことを感じました。

辞任は「責任逃れにもなる」、立て直しに全力を尽くした2018年

――その5年後、今度はパワハラ問題で協会の屋台骨が揺らされました。マスコミの矛先が権力側に向くのは仕方ないのですが、あのときは辞任などを考えたのでしょうか。

福田 考えました。ただ、ここで頑張らなければ、だれがやるんだ、という思いもあった。悔しい思いもしたが、辞任は責任逃れにもなる。頑張って立て直さないとならないと思った。内閣府やいろんな役所に行って頭を下げました。会長が出て行かなければ誠意は伝わらない。

福田会長就任後のオリンピック成績
開催地
2004年 アテネ
2008年 北  京
2012年 ロンドン
2016年 リオデジャネイロ
2021年 東  京
合  計 17 7 7

――取材した記者も含めて多くの人が誤解しているのですが、弁護士3人で構成された第三者委員会は、内閣府に提出された告発(パワハラと不正経理)のすべてを「パワハラではない」「経理に不正はない」という結論を出しています。調査の過程で、告発とは別に浮かび上がってきた4点に関して「パワハラ」と認定したわけです。世間の大勢は「告発の言い分が全面的に認められ、協会が謝罪した」と解釈しました。

福田 パワハラと認定されたことがあった以上、姿勢を改めなければならない。「告発状にはない」という言い訳は通用しない。

――事実に基づかない記事・番組もあったように思います。

福田 抗議したい記事、番組はたくさんあった。抗議したら、それをネタにされて、さらに火が広がるだけ。裁判で勝てることであっても、何年もかけてやり合うことはしたくなかった。頭を下げて協会が変わっていくことをアピールし、騒動をおさめ、東京オリンピックへ向けての強化に力を注げる状態に戻したいという気持ちが強かった。

――その行動が東京オリンピックの「金5個」につながったと思います。

競技団体運営に必要なことは「トップのエネルギー!」

――福田会長のやろうとしたことのひとつに総合格闘技とのリンクがありました。残念ながら尻つぼみになっていますね。

福田 プロ総合格闘技の人気をレスリングにつなげ、人気獲得を目指した。いろんなことがあって、ウチらとプロとは違う世界ということを感じた。新執行部は、総合格闘技とどう関わっていくかを考えてほしい。

格闘技の大同団結を目指してスタートした日本格闘競技連盟=2009年10月

――グラップリングやパンクラチオンは、世界レスリング連盟(UWW)のスタイルと認定され、世界選手権も実施されている。オリンピック・スタイルだけではなく、それらの振興にも力を入れるべきでは?

福田 選手を発掘し、世界へ派遣してほしい。オリンピック入りを目指す格闘技は多い。傘下の日本格闘競技連盟(2009年10月設立)を再編し、一致団結して格闘技全体の発展につなげてほしい。これも新執行部の課題になるでしょう。

――協会運営に一番必要なことは何でしょうか。

福田 上に立つ人間のエネルギーです。ナショナルトレーニングセンター(NTC)を建設してもらうとき、何度も役所に行って交渉しました。選挙に出るわけでもないのに、頭の下げ通し(笑)。全競技団体の会長から署名をもらって陳情書をつくり、文部科学省などに出しました。最終的には、そうした行動が認められたのだと思います。スポーツ庁ができようが、超党派の議員連盟が何をしようが、競技団体の人間のエネルギーがなければ、物事は動かない。現場の状況を知っているのは、現場の人間だけなんです。役所と正面切って闘う野人がいないと駄目ですね。

(完)







2023年世界選手権/激戦の跡
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