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2021.12.25

【2021年全日本選手権・特集】非オリンピック階級であっても世界一を目指す!…男子フリースタイル・成國大志(株式会社ゴールドキッズ)

 

(文=布施鋼治 / 撮影=矢吹建夫)

 2021年全日本選手権・第1日。激闘の証というべきか、男子フリースタイル70kg級を制した成國大志(株式会社ゴールドキッズ)は、頭に絆創膏を貼った姿で会見場に現れた。母・息子の全日本チャンピオンは日本で初となる。

 「決勝で相手の歯が刺さってしまい、ちょっと血が出てしまいました。2針縫いました」

ドーピング違反のブランクを乗り越えて日本一に輝いた成國大志(ゴールドキッズ)

 成國は、決勝で高田煕(日体大)を7-3で撃破。全日本選手権初優勝を遂げた。「今日は全試合とも相手が素晴らしかった。ひとつも気を抜かないように闘いました」

 初戦の2回戦では、全日本大学選手権2位の坂野秀尭(日大)を押し出して先制し、ローリングであっという間に7-0と追い込んだ。その直後に左脇腹を負傷。4点差まで追い上げられたが、最後は復調し14-2でテクニカルフォール勝ちを収めた。

 成國は「脇腹の痛みはすぐ治りました」と振り返り、「その後の試合には影響なかった」と言う。

 準決勝をテクニカルフォールで勝ったあと、高田との決勝では再び押し出しによって試合の主導権を握る。そして組み合うや、サイドからの崩しで追加点を取る展開に。成國のレスリングはスピード勝負ではない。どっしりと構えたうえで、フィジカルの強さを活かした組み手で相手を崩していく。体の筋肉の付き方も、他の選手とは明らかに違っていた。

 なぜか。それは、普段の練習はフィジカルトレーニングのみで、レスリングのスパーリングは行なわない“オンリーワン”というべきメニューで鍛え続けているからだろう。

優勝したとはいえ、決勝戦の自己採点は「0点」!

 レスリングの打ち込みを取り入れたのは大会1週間前だったと打ち明ける。かつてゴールドキッズでしのぎを削った石黒隼士(日大=86kg級)や、同い年の山﨑弥十朗(サイサン=86kg級)に来てもらい、いろいろ練習してもらったが、「それまでは、ずっとトレーニングだけでした」

世界チャンピオンの母・晶子(前列)とともに。後列中央が石黒峻士(97kg級)、右が石黒隼士(86kg級)のゴールドキッズ同窓生。

 成國は、医師が処方した禁止物質を含んだ薬の服用でドーピング違反となり、2017年10月から2019年6月まで出場停止処分を受けている。苦難を乗り越えての全日本初制覇だけに喜びもひとしおと思われるが、「決勝の試合内容は(自己採点では)0点」と厳しい。

 早くも世界を見据えているからだ。

 「全日本は初優勝だったのでうれしいですけど、正直、この内容だと世界では勝てない」

 成國の目標はフリースタイルとグレコローマンの両スタイルでの世界選手権制覇だ。オリンピックではなく、そこにこだわるのはなぜなのか。

 「母(晶子=旧姓飯島)は元世界チャンピオンだけど、僕は今まで全日本選手権3位が最高。今、ゴールドキッズで子供たちに体操を教えている。親御さんから『成國晶子先生(の実績)はすごい。それに比べて大志は…」という声が聞こえてくる。それがめっちゃ悔しいし、コンプレックスにもなっている。だから非オリンピック階級であっても世界一という称号にこだわりたい」

 レスリングの世界では異端というべき練習を積み重ね、世界の両スタイルを制覇することができるか。







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