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2022.01.03

【新春対談(3)】ネット社会の到来! 時代に対応することが必要…富山英明会長&日本陸連・瀬古利彦副会長

 

《第1回》 《第2回》

(司会=布施鋼治 / 対談撮影=保高幸子)


少子化への対応は、どのスポーツでも重要課題

── スポーツ界全体に関わってくる問題ですが、少子化についての話をお聞きしたい。

瀬古 こればっかりは、仕方ない問題。東京オリンピックで大迫傑(同オリンピックでは6位入賞)が引退したけど、オリンピックのあと、10ヶ所くらい地方を回って小中学生向けの陸上の普及活動に励んでいます。現状に危機感があるんでしょうね。陸連としても、彼の活動をできるだけバックアップしていきたい。

年々盛んになっているキッズ・レスリング。全体の隆盛につなげなければならない

富山 すでに先を見据えた活動をしているわけだね。レスリングは、特に地方の高校にレスリング経験者が採用されていない。あと10年はなんとかいけると思うけど、20年後はどうなってしまうのか? 指導者がいないのだから、レスリングをやる子はいなくなってしまう、という危機感はあります。ただ、キッズ・レスリングは非常に盛んなんです。

瀬古 ちびっ子レスリングは人気があるんだ。

富山 全国にクラブチームは300ちょっとある。そのおかげで、小学生までは指導体制が整っているんだけど、中学にレスリングの受け皿はほとんどない。中学に進学したら辞めざるをえない子が多い。そこが一番の問題になっている。

瀬古 もったいないね。

富山 先生たちは授業を教えるのが本職だから、ものすごく重労働。学校教育とクラブ・スポーツは分けて考える方向に来ている。試行錯誤しながら、いい方向に持っていかなければならないと思っています。

瀬古 中学でも学校教育にうまく取り込むことができたらいい。

普及のため、スポーツクラブで「フィットネス・レスリング」

富山 マラソンは生涯スポーツ、健康スポーツとして成り立っているのがいい。歳をとってからでもできるのが大きな強み。格闘技は、歳をとってからやるのはなかなか難しい(苦笑)。

瀬古 ボクシングとか、女性進出が顕著な格闘技も出てきた。

旧知の間柄だけに、話は弾んだ

富山 フィットネス・ボクシングみたいな形でも普及し始めたよね。レスリングでも、競技人口を増やすために「フィットネス・レスリングはどうか」という意見が出てきた。ボクシングでもやっているわけだから、レスリングでも絶対できる。いま広告代理店の方と具体的に協議中で、いろいろシミュレーションしているところです。

瀬古 (声を大にして)これだけオリンピックで金メダルを取っている競技なんだから、もったいないですよ。知名度自体は高い。それをいかさない手はない。

富山 全国にフィットネスクラブはいっぱいあるので、その中でうまくやっていければいい。クラブの中のカリキュラムにフィットネス・レスリングがあると、引退後の選手の受け皿にもなる。選択肢のひとつとして、そういう道を作ってあげたい。

瀬古 引退後の道を作ってあげるのは、協会としても仕事のひとつですよ。

富山 レスリング界には、永田克彦君(2000年シドニー・オリンピック銀メダリスト=現在WRESTLE WIN代表)や宮田和幸君(同代表=現在BRAVE代表)ら、現役を終えてからジムを立ち上げ頑張っている人間がいる。彼らをお手本にして普及を考えていけば、もっとうまくいきますよ。

ネット社会の到来! ついていかなければ淘汰されてしまう

── マスコミとの接し方についてお聞きします。新聞を軸とした紙媒体は部数減を余儀なくされ、地上波もネットメディアの台頭で押されている。こうした中、メディア対応を見直す時期に来ているような気がしてなりません。

瀬古 スマホが出てきて、若い人はみんなそっちを見る。ウチにも大学生の息子がいるけど、テレビは見ないで、ずっとスマホを見ている。スマホは好きなときに好きなコンテンツを見られるのに対し、テレビは番組が始まるまで見ることができない。これが時代の流れ。ついていかなければ淘汰されてしまう。

協会機関誌「月刊レスリング」1991年5月号で対談している両者。約30年7ヶ月ぶりの対談となった

富山 時の流れについていくしかない、という意見だね。

瀬古 メインニュースはスマホで即座に知ることができる。私はよく記者会見に出席するけど、5分後に「瀬古リーダーは○△と言っていた」というニュースがネットにアップされている。最初は「エッ! もうアップされているんだ」とびっくりしましたよ。スピード感が全然違う。今までのやり方にこだわっていたら、世間に受け入れられない。マラソン大会もそうなんですよ。

富山 どういうこと?

瀬古 「三大マラソン」のひとつだったびわ湖毎日マラソンが去年2月の大会を最後になくなって、福岡国際マラソンも終わった。参加者が100人の大会でも3万人の大会でも、かかる経費は一緒。道路を封鎖するだけでも莫大なお金がかかります。仮に3万人のランナーが出場する大会だったら、3万人分の出場費が集まる。観客を含めたら10万人もの広告効果が見込める。スポンサーは、(エリートによる)100人規模のマラソンではなく、3万人が参加する市民マラソンにお金を出す。

富山 それだけのギャラリーがいたら、それだけの宣伝効果があるよね。

瀬古 福岡国際マラソンなんて75年の歴史があったんですよ。私が現役の頃には、なくなるわけがない、世界一を決める、未来永劫続くと思われた大会だったのに…。

富山 (驚いた面持ちで)そんなに長い歴史を持つ大会でも終わってしまうのか。

新しい血を積極的に受け入れ、時代に対応することが必要

瀬古 今の流れだと、社会からテレビがなくなってもおかしくない。テレビがなくなれば、マラソンも中継してもらえなくなる。そのうちネット中継しかやらない世の中になってしまうかもしれない。

富山 世の中、ネット社会という話をよく耳にするけど、本当にそうなってしまうのかね。

瀬古 新しいメディアに乗っかっていかないと、陸連もレスリング協会もどんどん世の中から遅れるだけですよ。

世界レスリング連盟(UWW)のウェブサイト。ネットのおかげで、世界の情報がリアルタイムで入ってくる

富山 この間、普通は車で通勤している東京から日大藤沢キャンパスまで電車で移動したんですよ。車内で新聞を読んでいる人なんていない。僕だけ読んでいて、周りからは「時代に取り残された昭和のオジさんだ」と見られていたんだろうね(笑)。

瀬古 現役時代、福岡国際マラソンで勝った翌日、電車に乗ったら私の記事が一面に大きく掲載されたスポーツ新聞を読んでいた人がいたんです。その人がちょっと視線をずらしたら、たまたま私と目が合った。そうしたら、「エッ!?」と驚いた表情を浮かべていたんです。新聞に載っている人が目の前にいたらビックリするよね。

富山 ある生物学者が「強い恐竜が滅びたのに、なぜ人類のように生き延びた生物がいたのか。それは環境にマッチしたから生き延びることができた」と言っていました。人間社会も一緒で、環境にマッチしていかないと淘汰されてしまいますよ。これが世の常です。

瀬古 富山さんは恐竜より強いんじゃない? 恐竜にもバックドロップするでしょ!(笑)?

富山 いやいや、そんなことはない(笑)。新しい血を積極的に受け入れていけば、病気にも寒さにも強くなる。時代に適応していかないとならない。

《続く》







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