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2022.03.16

【特集】日体大&日大の“強力タッグ”誕生! 強豪2チームの融合で世界を目指す…長谷川敏裕・吉田ケイワン(三恵海運)-(下)

 

《上から続く》

学生二冠王者だが、全日本王者とは大きな実力差

イラン人の父・エスファンジャーニ・ジャボさんのもと、一家でレスリングに取り組んでいる吉田ケイワン家=ジャボさん提供、関連記事

 吉田ケイワンは卒業を待たず、今月1日付けで三恵海運に入社。すでに社会人選手としてスタートした。日体大OBが多い同社レスリング部だが、監督は日大OBの藤本健太さん(2003年全日本大学選手権2位など)。入社するにあたり、藤本監督から「ひとつのチームにこだわらず、いろんなチームに行って、いいところを吸収しならがやった方がいい」とのアドバイスを受け、日体大のレスリングを学んで実力アップを目指すことを決めた。

 日体大の強さと層の厚さは、誰もが認めるところ。吉田も伊藤飛未来ら日体大の選手に上位進出を阻まれたこともある。あえてその中に入り、ライバルと競い合いながら実力アップを目指すわけだが、グレコローマンで強い選手が多いことも、差しから攻撃を展開することが多い自分に必要な環境と認識している。「吸収するべきことはたくさんあると思います」と、新しい環境に期待している。

 大学2年生のとき(2019年)、学生二大会と国体で優勝。2020年は、コロナ禍で帰省を余儀なくされたりして思うように練習ができず結果が出なかったが、昨年、再び学生二冠王者に輝いた(全日本大学選手権は125kg級)。しかし、全日本選手権決勝では石黒峻士(新日本プロレス職)に第1ピリオドのテクニカルフォール負け。全日本王者との実力差を痛感させられた。

パワーはあるが、その効果的な使い方が分かっていない

 石黒は埼玉・花咲徳栄高校時代からの先輩。「峻士先輩がいたから、ここまで来ることができた」と、目標としていた選手だ。だからといって萎縮したわけではなく、先輩を立てる気持ちがあったわけではない。「純粋に実力差があっただけです」と話し、この差を埋めない限りオリンピックの道はないと思っている。

初めて全日本選手権決勝のマットに上がった吉田。王者との実力差を思い知らされた

 この石黒ですら、昨年の世界選手権では2戦2敗。そのうちの一人は無敵のオリンピック&世界王者のアブデュラシド・サデュラエフ(ロシア)ということを差し引いても、予選を勝ち抜いてオリンピックのマットに立つことは至難の業であることが分かる。

 重量級の場合、日本選手と外国選手とは骨格など根本的な肉体(骨力、パワーなど)が違い、その差が大きいと言われる。吉田は、父がかなり大型のイラン人(市川コシティのエスファンジャーニ・ジャボ代表)だ。遺伝子的に日本人離れしたパワーを持っているのではないか。その問いには、「あるんじゃないかな、とは思いますが…」という答えだったが、「まだ、そのパワーの使い方がしっかりしていないところがあると思います」と続けた。

 「開かない扉を強引に開けようとしている。どこかをうまい技術でいじれば開くのに、ただ力だけを入れている感じだと思います」と分かりやすく説明し、技術を覚えることで持っているパワーを効果的に使えるはずと感じている。

オリンピックへの思いがなければ「強くなる」という気持ちは出てこない

 社会人になってこれまで以上に食費に金を費やせるようになるので、羊肉を中心としたイラン流の食事を取り入れ、食事面からの肉体改造にも着手するつもりだ。機会があれば、イランに長期留学して鍛えたいという気持ちもあり、父の母国に対する敬意の念は十分に持っている。

2014年全国中学生選手権59kg級で3位入賞の吉田ケイワン(右端)。優勝は井筒勇人(現拓大)、2位は基山仁太郎(現日体大)、もう一人の3位は米山凌(現早大)

 全日本選手権優勝を逃したため、アジア選手権とアジア大会の出場はなくなった。一方で、王者の石黒がアジア大会を選んだことで世界選手権出場のチャンスが広がった(今年の場合、両大会には出場できない)。世界選手権はスマホでしか知らない世界。「出ないことには始まらない」と、まずは出場してそのレベルを体で知りたい。王者のサデュラエフ(前述)とも「やってみたい」ときっぱり話す。

 小さい頃からオリンピック出場の憧れを持つ選手は多く、吉田も父の影響もあってその一人だ。だが、現実の厳しさに直面して、その気持ちを簡単に表に出せなくなるのが普通だ。「憧れ」と「現実的な目標」との間には、大きな隔たりがある。

 吉田も「世界に出ることができない今のレベルでは、簡単に(オリンピックを)口にはできないです」と言う。しかし! 「思いがなければ、もっと強くなる、という気持ちは出てこないでしょう」とも口にする。「オリンピックへの思いが途切れたことはなかったです。無理にでも思い、その気持ちによって強くなりたい」と言う。

 オリンピック選手を輩出したい日本重量級。日体大と日大のパワーの結集で、その壁を破ることが望まれる。

《完》







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