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2022.04.28

【2022年JOC杯・特集】一つずつ望みを咲かせて全国王者へ…男子グレコローマン77kg級・堀北一咲望(日体大)

 

 高校選手と大学選手の登竜門と言えるJOCジュニアオリンピックカップ。キッズ時代から優勝を何度も経験し、さらに栄光を積み重ねる選手もいれば、ようやく全国王者にたどりつく選手もいる。

無冠の高校時代を経て初の優勝を達成した堀北一咲望(日体大)=撮影・矢吹建夫

 今年のU20(旧ジュニア)の優勝20選手のうち、全国大会または東日本学生新人選手権で優勝の経験がなく、この大会で初の全国王者になった選手は4人。その中で、決勝の舞台に立った経験もなく、今回が初の決勝、そして初の栄冠となった選手が、男子グレコローマン77kg級の堀北一咲望(いさみ=日体大)

 中学時代までは柔道を中心にしてレスリングをやっていたので、上位入賞はなし。部員は一人だけだった兵庫・西宮香風高時代は、ベスト8が最高(ただし、3年生のときはコロナで大会が軒並み中止)。日体大に進み、昨年の東日本学生新人選手権(春季)と全日本学生選手権で3位になったものの、決勝のマットに立つことはできなかった。

 初の決勝進出、そして優勝に、堀北の口から最初に出てきた言葉は「毎日、日体大の先輩にボコボコにされています。決勝のマット、という感覚はなかったです」-。試合に臨む緊張や怖さより、屋比久翔平(ALSOK=東京オリンピック銅メダル)日下尚(昨年の学生二冠王者)との練習の方が、よほど身が引き締まる思いなのだろう。

大学入学後の練習の量と質では負けない自信あり

 優勝の要因を問われると「自分よりずっと強い相手と毎日やっているからだと思います」と、日々の練習の成果を強調。「自信はありました」ときっぱり話し、やられる中から実力をアップできたことを繰り返した。

やや崩れたが得意のリフト技を爆発させて勝負を決めた=撮影・矢吹建夫

 相手をなめていたわけではない。決勝の相手の茂野吏玖(和歌山・和歌山北~国士舘大)とは、高校時代の近畿大会を含めて何度も顔を合わせ、負け越している同期生。試合は最初に1点を取られて追いかける展開となり、簡単に勝てる相手ではなかった。

 しかし、大学入学後の練習の量と質では負けない自信があり、焦りはなかった。「最後、パッシブを取って決めるという、思っていた通りの展開ができました」と振り返った。

 堀北の父は日体大の強豪選手だったが(後述)、茂野も学生重量級の両スタイルで活躍した茂野充宏さん(国士舘大~現和歌山県協会理事)の長男。二世選手同士の決勝だった。もちろん当事者には二世対決ということでの特別な意識はなく、負けることが多い相手だったので、その点で意識する相手だった。

 決め手となったリフト技は、先輩の稲葉海人(全日本選手権60kg級2位)のリフト技を見本にし、「真似をしながら」マスターした技だと言う。リフト技には定評のある昨年のアジア王者、下山田培(67kg級)の技術も目にし、接していたので、身近なところに強豪がいる環境は大きかった。

「レスリングを嫌いになってしまっては意味がありません」(父・和久さん)

 父は兵庫・須磨翔風高の堀北和久監督。佐賀・鳥栖工高の小柴健二監督や和歌山・和歌山北高の森下浩監督(全国高体連専門部・強化委員長)らと日体大での同期生。1990年東日本学生春季選手権優勝などの成績を残している。

2020年8月、兵庫県のインターハイ代替大会で優勝(中央)=提供・兵庫県高体連専門部

 だが、父からレスリングを強制されることはなく、中学までは柔道をやりながら、時にレスリングに出る程度。柔道も本格的に打ち込んでいたとは言い難く、厳しい練習をやっていたわけではないそうだ。堀北さんは「レスリングをやらせたい気持ちはあったんですけどね…。厳しくして、レスリングを嫌いになってしまっては意味がありません。好きになってこそ続きますから」と、自由気ままにやらせる中から気持ちがレスリングに向くのを待った。

 柔道をやらせたのは同僚に名監督がいたことと、自分がグレコローマンの選手だったので、「レスリングをやらせるならグレコローマン。柔道なら投げ技を覚えられる」との理由から。こうした姿勢が当たり、高校に進む頃にはレスリングに打ち込むようになったと言う。

 「中学のときに詰め込んでいたら、高校では積極的にやらなかったのではないでしょうか」と堀北さん。幼少の頃からひたすら勝利を目指させるのもいいが、そのやり方がすべての選手に当てはまるものではない。

県外への遠征も自分で決めて実行した高校時代

 堀北は、進んだ高校にレスリング部がなかったので、当時、父が監督をやっていた六甲アイランド高の練習に加わり、練習を積んだ。一人だけの部員というのは不都合も多いだろうが、自主性を持った選手なら伸び伸びできるなどのメリットがあり、自分で考えて行動する能力も身につく。堀北さんは「何も言わなくても練習はやり、鳥栖工高などへの遠征も自分で決めて実行した」と振り返る。

昨年の全日本学生選手権で3位入賞(右端)。階段を一歩ずつ登ってきた=撮影・保高幸子

 昨年の全日本学生選手権82kg級で優勝した樋口徹心(日体大)も、レスリング部のない神港学園高にいて六甲アイランド高の練習に加わり、国体3位を経て日体大で花開いた選手。一人部員の出げいこ専門選手であっても、気持ちと環境次第で飛躍はできる。曽我部京太郎(グレコローマン67kg級学生王者=愛媛・今治西高~日体大)もそうだが、樋口に続いて堀北もそれを証明した。

 ようやくたどりついた全国王者。これで国際舞台へ飛躍するキップも手にした。今年は全日本学生選手権と世界ジュニア選手権の日程が重なっているので、世界を辞退してアジア・ジュニア選手権を選ぶ可能性も口にする。世界が怖いということではない。国内とアジアで地固めしてから世界へ挑むという方法も間違いではない。

 「一咲望」という名前は、「ひとつずつ望みを咲かせてほしい」という願いからつけられた名前。その由来どおり、一歩ずつの道を歩むか。天才的な早咲き選手や、環境に恵まれた選手でなくとも、栄光を引き寄せることはできる。







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