2週間前に来日したという山梨学院大の留学生アビレイ・ソビィット(カザフスタン)が2022年東日本学生リーグ戦で“デビュー”。日体大戦ではキャリアの浅さを露呈して伊藤飛未来に敗れたものの、3勝1敗の成績を残した。差しを中心としたグレコローマンのような試合展開や強烈な足払いは、今後の同チームを支える潜在力を感じさせた。
日本の生活は「まだ慣れていない」とし、右も左も分からない状況だが、この大会が東日本の学生チームのナンバーワンを決める大会ということは聞いていた。「チームが多くて、いい大会ですね」という感想。
唯一の黒星を喫した伊藤は、2017年アジア・カデット選手権85kg級にともに出場した偶然を持つ相手(対戦はなし)。自らより身長が高く、攻めづらさがあったのは事実。差しで有利な体勢を作ることができず、タックル失敗からローリングを受けてしまい、4点をリードされて最後までペースをつかめなかった(最終スコアは1-6)。日本に自分より長身の選手がいるとは思っていなかったのか、「準備が足りなかった」と話し、「次に闘うことがあれば勝ちます」と気を取り直した。
「柔道出身か、グレコローマンが専門かな?」と思わせるスタイルだが、柔道やグレコローマンはやったことがないとのこと。山梨学院大にいたカザフスタンからの留学生の先輩となるオレッグ・ボルチン、バグダウレット・アルメンタイとは違うスタイルで、「これが私の闘い方です」と言う。
ボルチン、アルメンタイとも全日本大学選手権で4連覇を達成し、学生レスリング界を席巻する活躍をしていたことは聞いている。当然、それと同じ活躍が目標。昨年のカザフスタン選手権では3位決定戦まで進み、そこでアルメンタイに敗れたという。「日本で強くなってカザフスタンで勝てる選手となり、アジア選手権やオリンピックで勝ちたい」と希望を話す。
日本語はまったく分からず、日本での第1外国語(?)である英語もほとんど話せない。それでも日本行きを決めたのは、日本のアニメが好きで、日本という国に好印象があったから。イスラム教徒のため豚肉は食べないが、それ以外は何でも大丈夫。「周りの選手がよくしてくれるので、少しずつ慣れていきたい」と話す。
生活が落ち着き、日本のレスリングが見えてくれば、さらに本領を発揮するか。