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2022.06.04

【2022年明治杯全日本選抜選手権にかける】順調に結果を出している階級アップ、世界への飛躍を目指す鶴田峻大(男子グレコローマン97kg級=自衛隊)

 

階級を上げて最初のアジア選手権で銅メダルの鶴田峻大(右から2人目)。グレコローマンの90kgを越える階級では2015年の斎川哲克以来のメダル獲得=UWWサイトより

 今年4月のアジア選手権(モンゴル)・男子グレコローマン97kg級で、階級を上げたばかりの鶴田峻大(自衛隊)が銅メダルを獲得。厳しい闘いが続いていた男子グレコローマン重量級に明るい兆しが見えてきた。来月16日(木)からの明治杯全日本選抜選手権(東京・駒沢体育館=同級の試合日は16日)では、昨年12月の全日本選手権に続く優勝、すなわち世界選手権出場の切符獲得を目指す。

 階級アップ直後にもかかわらず全日本選手権を制することができた要因は、勝ちパターンの“体力で勝つ闘い”が当たったことと分析。「相手にとっては、減量が少なくて元気ある選手にスピードで挑まれ、闘いづらかったのでは、と思います」と振り返る。

 3試合で無失点。「防御の強さがよかったのでは?」との問いは、意外にも肯定しなかった。「防御に自信がないので、スタンド戦で攻めて相手にグラウンド攻撃の機会を与えないのが自分の闘い方です」と言う。「攻撃は最大の防御」を貫いての優勝だった。

 それはグラウンドにも当てはめたいこと。決勝は、最終的には6-0で勝ったが、第1ピリオドは1-0で終わっていた。「グラウンドのチャンスでポイントを取っていれば、もっと楽に勝てました」と反省する。

奈良勇太を破っての日本代表を目指す!

 昨年の世界選手権までは87kg級で出場しており、全日本選手権で97kg級へアップした。体重的に限界を感じたからではない。チームメートでもある82kg級世界選手権代表の向井識起が階級を上げ、87kg級は角雅人阪部創を含めて自衛隊選手があふれてしまうことや、97kg級で活躍していた先輩の志喜屋正明がマットを去ることになり、同級に自衛隊選手がいなくなったことを理由に挙げる。

高校卒業後にレスリングを始め、7年をかけて初の天皇杯制覇! 感激に浸った=2021年12月、撮影・矢吹建夫

 「大きな選手と闘うことは苦ではなかったです」とも言う。当初は、区切りとして全日本選手権は87kg級に出場し、第一人者の角雅人や2020年全日本王者の阪部創を破り、日本のトップを証明してから階級を上げることも考えた。だが、周囲の「パリ・オリンピックまで時間は少ない。早い方がいい」とのアドバイスに従った。

 97kg級の世界選手権代表を目指すにあたり、破っておかねばならない選手がいる。この階級の世界選手権代表を続けていた奈良勇太(警視庁)だ。全日本選手権では、学生二冠王者の仲里優力(日体大=現佐賀県スポーツ協会)が奈良を3-1で破り、その仲里を6-0で破っての優勝。奈良との対戦はなかった。

 だが、順位では上へ行っても、直接対戦で破らない限り、「上回った」とは思いづらいのが対人競技。奈良に勝たずして日本代表では、気持ちがすっきりしない。奈良は、一発の投げ技やがぶり返しなど日本の重量級にはあまりいない豪快なレスリングをする選手。「そのあたりを十分に注意して闘いたいと思います」と、打倒を誓う。

「攻撃は最大の防御」を貫けたアジア選手権の3位決定戦

 奈良を破ることと並行し、世界で勝つための強さも身につけなければならない。アジア選手権では、1回戦で2019年世界選手権87kg級3位のルスタム・アスカロフ(ウズベキスタン)のリフト技を受けてしまい、0-1から一気に8点を奪われた。やはりグラウンドの防御の強さは必須。

パワートレーニングに励む鶴田。後方はグレコローマン130kg級で全日本V4の新庄寛和トレーナー

 しかし、カザフスタン選手相手の3位決定戦は、スタンド戦で押し負けないという自らのレスリングができた試合だった。かわされて場外に出るなど空回りしてしまい、一時は0-5とリードされたが、冷静に試合を進め、最後は6-6のスコアながら勝利。コーションを取られることも、体力負けをすることもなく、最後まで前へ出ていた。

 セコンドについた清水博之コーチ(自衛隊)も、この試合を「最初から最後まで前に出ていた」として、その攻撃精神を評価。勇み足のような形で場外に出てしまうことは修正課題で、場外際での相手の小手投げなどへの対応が必要となるが、「攻撃は最大の防御」の姿勢には合格点を与えた。もちろん、グラウンドの防御の強さも「絶対に必要」との言葉も忘れない。

3月に第一子が誕生、家族のパワーが後押しする

 沖縄・沖縄尚学高時代は柔道の選手で、自衛隊に進んでからレスリングを始めた。高校や大学で基礎を学び、自衛隊体育学校で世界へ飛躍させてもらったわけではない。それだけに、「体育学校へ恩返ししたい」という気持は強い。また、昨夏の東京オリンピックで、77kg級の屋比久翔平(ALSOK)が沖縄出身の初のオリンピック代表となり、銅メダルを取ったことも刺激材料。「よく練習していました」と振り返る。

昨年10月の世界選手権(ノルウェー)で闘う鶴田。無念の初戦敗退に終わったが、これがエネルギーとなる!=撮影・布施鋼治

 マットを離れた部分での刺激材料もある。今年3月25日、2020年3月に入籍した友莉香夫人(旧姓伊藤=2014年アジア選手権など国際大会の優勝多数)との間に、長男・桜士郎(おうしろう)君が誕生したことだ。「頑張れる活力になります。その証を結果として残し、将来、伝えてあげられたらいいなと思います」と言う。

 友莉香夫人は大阪・吹田市民教室で幼少の頃からレスリングに取り組んでおり、マット生活のキャリアは鶴田より長い。「自分よりたくさんの経験を積んできているからこそ、試合前など様々な場面でかけてもらう言葉は安心感があって心強いです」と話し、家族のパワーが鶴田を後押しする。

 初戦敗退で終わった昨年の世界選手権。「1試合しかやらずに日本へ帰るあの気持ち、もう味わいたくありません。二度とこんな思いはしない」と心に誓って帰国した。日本代表になっただけで満足することはないが、まず日本代表になることが必要。階級アップ直後から結果を出している鶴田が、世界へ飛躍する。







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