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2022.06.11

【2022年明治杯全日本選抜選手権にかける】大横綱・千代の富士の闘志を支えに、けがを克服して世界一を目指す…女子65kg級・源平彩南(アイシン)

 

2018年世界選手権で銅メダルを獲得した源平彩南(アイシン)。けがを克服して再浮上を目指す

 若い世代に「千代の富士」(2016年に死去、享年61)と言っても、ピンとこない人の方が多いかもしれない。ある程度の年齢以上の人なら、知らない人はいない大横綱だ。その生きざまに感銘を受け、2018年にU23世界チャンピオン、そしてシニアの世界3位にまで駆け上ったのが女子65kg級の源平彩南(アイシン)

 1996年生まれなので、1991年引退の大横綱の勇姿を見たことはないが、「心技体そろっている神のような存在」と、その姿を目標にして努力を重ねた。

 負傷で東京オリンピックは断念。長いリハビリを経てマットに戻り、世界選手権出場を目指している。弱気になる自分を励まし、支え続けてくれたのが、けがとの闘いを克服した千代の富士の強じんな精神力。「だれにでも通用する体づくりをし、技と精神をつくって臨まなければならないと思って、ここまで来ました。万全を尽くして頑張りたい」と話し、4年ぶりの晴れ舞台へ向けて燃えている。

独特のフェイント、結果が出る前の声は気にしない

 昨年の全日本選手権では、周囲が目を見張るようなアクションを披露した。フリースタイルの構えで相手と向き合ったとき、前に出した両腕をぐるぐる回し、上半身を左右に大きく振って相手を翻ろう。その間隙を見計らって攻撃を仕掛けテークダウンへつなげる。

独特のフェイントで攻撃のすきをうかがう源平=撮影・矢吹建夫

 相手を惑わすための「フェイント」は、格闘技に必要な技術。フェイント力の優劣こそが攻撃力でもある。ここまで独特なフェイント攻撃を見せた選手はいなかっただろう。

 「子供の頃、鬼ごっこでどうしても捕まえられない友だちがいました。その動きをヒントに、動物の動きや、他の武道・格闘技の動きも参考にし、組み合わせてレスリングの動きとして取り入れました」。人と違うことをやると、笑われたり、「何やっているんだ」と言われるのが世の常。そうした声も耳に入った。

 しかし、勝つために取り入れたこと。結果が出る前の声は気にしない。至学館大の栄和人監督も常識や定石にとらわれない新しい挑戦を後押しし、時にアドバイスしてくれると言う。

 現実問題として、1回戦と準決勝は通用したが、決勝の森川美和(日体大=現ALSOK)戦は、その動きを読まれていたように見えたが? これに対しては、「あのときは首を痛めてしまい、思うように動けませんでした。まだ練習の途上ですし…」と話し、精度を高めて全日本選抜選手権に挑む腹積もりだ。

けがで約2年のブランク! 不撓不屈の精神ではい上がった

 2018年の世界選手権で銅メダルを獲得。準決勝で欧州チャンピオンのペトラ・オッリ(フィンランド)に6-6で惜敗し(終了間際に逆転負け)、この選手が優勝という悔やまれる結果と内容だった。世界一は目前…。しかし同年末、左ひざのじん帯を断裂し、その周囲の筋肉の部分断裂や半月板のひびなども併発。戦列を離れざるをえなくなった。

オリジナルの攻撃は発展途上中。精度に磨きをかける

 マットに上がって練習できるまで約2年。ブランクがここまで長くなると、気持ちが萎えても不思議ではないが、「自分だけの問題ではないです。会社の人やサポートしてくれた人がいますので、みんなのために頑張りたかった。やめるわけにはいかなかった」。いろんな人の思いがこもっての復活だった。

 その過程で支えになったのが、千代の富士の相撲人生だ。千代の富士は、幕内の平均体重が140kgという時代に125kgの小兵力士だった(初期の頃は100kgいかなかった)。押し相撲では勝てないので、まわしをつかんでの投げが多く、最初は強引なことが多かったためか、肩の脱臼ぐせとの闘いがついて回った。

 19歳で十両に上がる才能を発揮しながら、「最年少記録」の類と無縁だったのは、けががスピード出世を妨げていたため。「入幕後、幕下まで陥落」「三役昇進後、十両まで陥落」という“経歴”も持ち、その相撲人生は、まさに不撓不屈(ふとうふくつ=どんな困難にあっても強い心を持ち、くじけないこと)。

「2018年のピーク」の声に抵抗、これからピークを迎える!

 けがの克服は、徹底した筋力トレーニング。生前、「腕立て伏せを最低でも1日500回はやった。あれにつきる」と述懐したことがある。現在では、力士がダンベルやバーベルを使うことは普通だが、その先駆者は千代の富士。相撲ではあまり見かけなかったトレーニングも取り入れ、“筋肉の鎧(よろい)”をつくった。

世界選手権の銅メダルをかけた試合で見せた闘志あふれる姿。再び見ることができるか=2018年世界選手権

 源平は「心技体そろった、本当の横綱だと思います」と話し、自らが世界3位にまで駆け登れた原動力は、千代の富士の闘争心を見習ったからだと振り返る。土俵の中での闘争心だけではない。度重なるけがと向き合い、信念を貫いて肉体づくりをした千代の富士の姿勢は、負傷による戦線離脱から戻り、常識にとらわれない独特の闘いに挑んでいる源平の源流なのだろう。

 「2018年のピークのときに、痛恨のけがだったね」という言葉に、源平は首をひねった。ピークとは「頂点」のこと。そこを過ぎれば、あとは下がるだけなので、この言葉に抵抗を持ったようだ。「これから頂点に向かうんです」と言わんばかりの表情に、源平の本気度があふれていた。

 2度のU23世界選手権優勝より、シニアの世界選手権3位の方が、はるかに胸が震えたという。世界一なら、倍以上の感動があるだろう。「アイシンを背負い、絶対に勝たなければいけないと思っています」。勝負をかける全日本選抜選手権だ。







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