【2022年インターハイ・特集】5人のメンバーでベスト8進出！ 「最低限度の目標は達成」…高知南・国際／櫻井優史監督

（文＝布施鋼治／撮影＝矢吹建夫）

　「いろいろな方々が頑張ってくれたおかげで、これだけ素晴らしい舞台が整っていた。地元のチームとして、学校対抗戦の２日目（最終日）に残ることは、私の中で最低限の目標でした」

　2022年インターハイ第２日（８月２日）、学校対抗戦の準々決勝で日体大柏（千葉）に3－4で敗れたあと、高知南・国際（高知）の櫻井優史監督はホッとした表情を浮かべた。

ベスト8に進出、地元チームの意地を見せた選手をねぎらう高知南・国際（高知）の櫻井優史監督

　最終的に2大会ぶりに優勝した日体大柏の印象を聞くと、「いやぁ、強かったですね。やっぱり強かった」と復唱しながら、健闘した教え子たちの頑張りをねぎらった。「ウチのチームには、55㎏級に下田瑛太、80㎏級に米津秀亮と１年生が2人いるので、勝ち抜くのは簡単ではないと予想していました。３年生が本当に頑張ってくれた」

　その３年生とは、60㎏級の西内悠人、65㎏級の上村律心、71㎏級の高橋侑臣の３人を指す。51㎏級と125㎏級は最初から不在なので、この３人と１年生のどちらかが勝たなければ対抗戦を勝ち抜くことはできない。

　そうした中、初戦となった２回戦や３回戦をいずれも５－２で突破したのだから、櫻井監督が目を細めるのもうなずける。

団体戦における流れと勢いの大切さを再認識

　「下田が全国大会に出場するのは約３年ぶり。地元開催のインターハイで『自分が負けたら終わり』という逆境の中で、一発目（２回戦）から勝ってくれて流れができた。下田や３年生の活躍に乗せられるように、米津もあとに続いてくれた。彼は全国大会で勝つことはおろか、ポイントすら取ったことがないような選手だったので、大きな成長です」

日体大柏戦、60kg級の西内悠人が勝って流れをつくった

　白眉（はくび＝数ある優れたものの中でも、特に優れているものや人）は、日体大柏との準々決勝で西内、上村、高橋が３連勝をマークし、一度は3－2と今大会の優勝校をリードしたことだろう。声を出しての応援は厳禁だったが、そのときの場内の盛り上がりは間違いなくピークに達していた。

　櫻井監督は「55㎏級の下田で勝負したかったけど、彼の対戦相手の松村祥太郎選手は日体大柏のエースで、やはり強かった」と振り返る。

　「その時点で厳しいという気持ちもあった。（続く60㎏級の）西内も序盤まではリードを許していたけど、気持ちを切り換えて逆転勝ちを収めてくれた。あそこから、３年生たちが自分たちの方に流れを引き寄せたことは、たいしたものだと思いました。団体戦というのは流れや勢いが大事だとあらためて感じました」

躍進の原動力は強いチームワーク

　目標のベスト４にはあと一歩及ばなかったが、地元チームが存在感を見せつけたことは確か。その要因のひとつとして、櫻井監督は「もともと55㎏級から71㎏級までの４人は小さい頃から同じクラブチームで育ってきた」という強いチームワーク力をあげる。

選手を激励する櫻井優史監督

　「去年までは、中高一貫教育の高知南高校と中学の選手と一緒にやっていました（現在は、高知西高と統合して高知国際高に）」

　さらに大会直前、ＯＢ１人を含む日体大レスリング部の選手３人が高校を訪れ、９日間ほど強化合宿を張ったことも個々の仕上がりをブラッシュアップさせた。

　「そこで本当にいい練習ができた。選手たちは（心身ともに）グッと上がった形で本番を迎えることができました」

　コロナ前は関東地区の大学に出げいこで足を運ぶなど、強くなるための努力を怠らなかったが、コロナ禍になってからは瀬戸内海を渡っての遠征は難しくなってしまった。それでも「絶対にあきらめない」というチーム一丸となった結束力を見せたところに、団体戦ならではの醍醐味があった。

▲65kg級の上村律心が勝って、チームスコア2－2へ

▲71kg級の高橋侑臣が勝って、この時点で3－2とリード

▲地元チームの活躍を報じる高知新聞