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2022.08.07

【2022年インターハイ・特集】「自分との闘いに負けた」…美しい涙を流し切ったU20アジア女王・池畑菜々(兵庫・芦屋学園)が再起を目指す

 

(文・撮影=ジャーナリスト・粟野仁雄)

 女子高生選手が青春をかけて臨む大舞台も、個人戦で勝ち残るのは各階級ただ一人。必然、敗れ去って泣く選手を会場で多数見かけるが、ひときわ印象的だったのが女子62kg級の池畑菜々(兵庫・芦屋学園)

坂本涼子監督(手前)の励ましにもかかわらず、涙が止まらない池畑菜々(兵庫・芦屋学園)

 準々決勝で小野こなみ(東京・日体大桜華)に主導権を握られ、一時は追いつきかけたがとらえ切れなかった。「あああー」、「うわあー」、「どうして、なんで」と泣き崩れて床にへたりこんだまま立ち上がれない。体育館の廊下に座り込んで膝を抱えてタオルで顔を覆って泣き続けた。 

 同校の坂本涼子監督に抱きしめられ、慰められたが、自分だけでは悔しさを抱えきれなくなったのだろう。顔をくしゃくしゃにしたままスマホで知人に無念さを必死に伝えていた。 

 その姿を、大阪の朝日放送(ABC)のテレビカメラが追う。筆者は監督に「ちょっとお話聞けますか?」と声をかけた。「少し後なら」だったが、意向を聞いた池畑は「ありがとうございます」と、その場で礼儀正しく応じてくれた。

U20アジア選手権優勝がプレッシャーに…

 開口一番「自分の悪い所が全部出てしまったんです」

U20アジア選手権で優勝した池畑。気持ちは乗っていたはずだが…=UWWサイトより

 「U20アジア選手権で優勝して注目されたけど、試合が近づくとプレッシャーになってしまいました。協会も私に期待してくださり、シード選手になって、本当にうれしかった。でも、負けた時のことが試合前にフラッシュバック(思い浮かんだり)したり…。自分との闘いに負けてしまった。人生、こんな悔しいことはないです」

 技術面や肉体面より、己の精神的な弱さがもどかしくて仕方がない様子。池畑は7月初めにバーレーンで行われたU20アジア選手権で、躍進しているインド選手に勝ち、決勝ではシニア大会でも活躍していたカザフスタン選手にテクニカルフォールで快勝。2019年のU15アジア選手権(台湾)に続き、U20のアジアも制した期待のホープ。高校最後の夏だった。

 「キャプテンだったのに、こんな成績で…。先生やみんなに申しわけない」と再びうなだれた。

 大会の少し前に肩を痛めた。しかし、「不安はあったけれども、ベストに持っていけないのも弱さです」と言い訳にしない。

3姉妹で世界を目指すレスリング一家

 順当に勝てば、昨年準優勝のビャンバスレン・フウラン(愛知・至学館)と決勝で当たるはずだった。昨年、池畑は、1年生で出てきた佐々木すず(東京・安部学院)に敗れ5位だった。

どん底の気持ちの中でも、礼儀正しく取材を受けてくれた池畑。「自分との闘いに勝てなかった」と自己分析

 今回負けた小野とは、何度か対戦していた。「クイーンズカップ決勝でも勝っていたのに」。

 絶対に優勝すると臨んだ大会だった。池畑に勝った小野は勢いでフウランも破った。 
 
 高級住宅街にある芦屋学園高校のレスリング部は、世界一に輝いたこともある坂本涼子さんが指導する。池畑は高校での練習が終われば、その足で父・耕造さんが主催する兵庫県猪名川町の「猪名川レスリングクラブ」で汗を流す。今大会では妹・葉菜も53kg級に出場した。中学生の笑菜(芦屋学園中)も、姉たちに負けじと頑張る「レスリング三姉妹」である。

 美しい涙を流し切った後、池畑は「10月の全日本女子オープンは優勝を目指します」と、最後にはしっかりと顔を上げた。







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