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2022.08.20

【2022年全日本学生選手権・特集】1階級上で快勝! 世界選手権前の最後の実戦練習で弾みをつけた女子53kg級・藤波朱理(日体大)

 

 9月10日から始まる2022年世界選手権(セルビア・ベオグラード)を前に、女子53kg級代表の藤波朱理(日体大)が全日本学生選手権(インカレ)の55kg級に出場。3試合を圧勝で勝ち上がり、最高の仕上がりぶりを見せた。

世界選手権前の最後の実戦で、3試合を圧勝して優勝した藤波朱理(日体大)=撮影・保高幸子

 藤波は「グラウンドの詰めや、相手へのプレッシャーを意識してやりました。課題も残ったけど、よくなってきているところもあります」と試合を振り返るとともに、「世界選手権までに、そういった細かいところを修正していきたい」と、次の大舞台へ向けての思いを話した。

 決勝の相手は、4月のアジア選手権(モンゴル)の55kg級チャンピオンの今井佑海(日大)。藤波も53kg級で優勝しているので、1階級上のアジア・チャンピオンへの挑戦だった。さすがに、簡単には攻撃できない相手。それでも、「(世界での闘いでは)こういうこともありうる」と慌てることはなかった。

 距離を詰めて追い込み、「(相手に)タックルに入らせる」という状況をつくり出し、カウンター攻撃で活路を見い出しての勝利。「攻撃できなかったという反省はありますが、逆に考えれば、相手に入らせるレスリングができたことは、評価できると思います」と振り返った。

インカレ史上初! 約40人の報道陣が来場

 この日の駒沢体育館には、報道記者とカメラマンが大挙して押しかけ、その数は約40人。全日本学生連盟の役員が「インカレ史上最高の取材者数だと思います。経験がないので、どんなふうに取材してもらっていいのか分からないです」と苦笑する状況。それでも、世界V2、そして2024年パリ・オリンピックでの優勝を目指す藤波に気負いは全く感じられなかった。

アジア・チャンピオン同士の対戦となった決勝、カウンターに活路を見いだして勝った藤波(青)=撮影・保高幸子

 初戦から得意のアンクルホールドを爆発させ、世界女王らしい闘いぶり。それでも、「疲れてくると、うまくかからなくなっていました。修正しなければならないことですね」と、快勝の中にも反省点を見つけ課題とした。

 4月のジュニアクイーンズカップ53kg級でも優勝しており、前日からブルガリアで始まったU20世界選手権の代表権はあったが、辞退しての国内大会出場だった。その理由を問われると、「53kgに落とすことの負担や、移動に費やす時間などを考えると、国内でしっかり強化して世界選手権を目指すことがいいと思いました。練習と試合は違います。(国内で)試合に出ることで、課題をあらためて見つけたかった」と答えた。

 53kg級ではなく55kg級に出場したのは、減量が続くのを避けることと、「1階級上の選手のパワーを感じることで課題を見つけるため」と説明。実際に闘ってみて、53kg級の選手よりはパワーを感じたそうで、外国選手のパワーに対抗するためにも、いい経験となったようだ。ただ、「大きな差はなかったですね」とも話し、今の自分の体力でもパワー負けはしない感触はあったようだ。

阿部詩との“世界女王同士の交流練習”が実現するか

決勝はフォール勝ち。この勢いを世界選手権へつなげられるか=撮影・保高幸子

 日体大に進学し、「周りにオリンピックに出ている選手が多くいます」と刺激されることは多い。日体大OGで体操部の村上茉愛コーチ(東京オリンピック代表)のほか、東京オリンピック柔道の女子52kg級金メダリストの阿部詩選手(日体大4年)らと交流する機会があり、「ああいうふうになりたい、という人が身近にいるのはうれしい。詩さんは本当に負けず嫌いなんですね」と話す。

 目標でもあり、負けず嫌いという共通項がある阿部選手は、レスリングの練習に興味を持っているようで、世界選手権のあとには練習することがあるかもしれないと言う。柔道の世界選手権は10月(ウズベキスタン)で、阿部選手は52kg級に出場する。世界女王同士の練習となる可能性は十分だろう。

 いろんな刺激を受けながら臨む2度目の世界選手権。「もう1ヶ月を切っている。しっかり調整して、必ず優勝したい」と気を引き締めた。







2023年世界選手権/激戦の跡
JWF WRESTLERS DATABASE 日本レスリング協会 選手&大会データベース

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