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2022.10.07

【2022年栃木国体・特集】女子レスリングの歴史に新たなページが始まる! 地方在住の岩澤希羽(秋田・秋田ノーザンハピネッツ)が殊勲の2勝をマーク

 

 栃木国体の第1日、女子62kg級で世界選手権出場の経験もある全日本のトップ選手が相次いで破れる波乱があった。敗れたのは、昨年の全日本選手権65kg級2位の源平彩南(愛知・アイシン)と同62kg級2位の類家直美(青森・至学館大)

 殊勲の白星を挙げたのは、昨年の全日本選手権(62kg級)は初戦敗退だった岩澤希羽(秋田・秋田ノーザンハピネッツ)。源平が世界3位、類家がアジア女王という国際舞台での実績を持っているのに対し、至学館大時代は学生のタイトルは1個も手にできず、国際舞台での実績も持っていない。唯一、脚光を浴びたのが2019年明治杯全日本選抜選手権での決勝進出だ(敗れて2位)。

▲地方在住の社会人女子選手の期待の星となるか、岩澤希羽(秋田・ノーザンハピネッツ)=撮影・矢吹建夫

 大学を卒業し、故郷・秋田で選手活動を続行。会社の支援は受けているが、社業もこなしながらの練習。周囲に全日本トップ選手もいないので、環境的に実力を維持するのが精いっぱいでは、と思えるが、逆に実力をアップさせた形。

 結果として、第2日の初戦で昨年の世界選手権57kg級3位の南條早映(兵庫・東新住建)にフォール負けして5位に終わったが、今大会の殊勲の2勝で確かな手ごたえを感じ、「地方在住の社会人」という立場で、さらに上を目指す気持ちが高まった。

世界3位(南條早映)相手の負けは悔しいが、気持ちは上向いた!

 初戦の相手の源平は大学の先輩であり、自身が学生時代の2018年に世界3位になった選手。当時は相手にもされない実力差があった。第1ピリオドはさすがにリードを許してしまったが、セコンドからの「手を出せ」という声に後押しされて相手の動きを止めることができ、カウンターなどで逆転を引き寄せた。「思い切って最後まであきらめずにいきました」という気持ちがよかった。

 続く大学の後輩の類家との試合もラスト10秒くらいの逆転勝利だった。テークダウンを取って1点差にしたとき、「残り時間を見て、スタンドになったら逆転できないと思った。ローリングにいくしかなかった」という瞬時の判断が、見事なローリングにつながった。

▲強豪2人を破り、昨年の世界選手権銅メダリスト、南條早映(兵庫・東新住建)に挑んだ岩澤=撮影・矢吹建夫

 敗れた相手の南條も大学の後輩。「練習ではいつもやられていました。どこまでできるかな、と思って全力で臨みましたが…。思ったようなレスリングができませんでした」と悔しさを表した。南條は57kg級の選手なので、自分の方がパワーがあると感じていたようだが、「予想以上にパワーをつけていた。悔しいです」と振り返った。

 ただ、「まだ、できる」という気持ちにはなった。「今月、全日本女子オープン選手権があるので、そこで優勝を目指したい。全日本選手権出場の権利を取りたい」と気持ちが上向いた。

プロ・バスケットボール・チームの社員としてレスリング活動を続行

 昨年3月に大学を卒業し、母の故郷である秋田でプロバスケットボール・Bリーグを運営する会社に就職してレスリングを続けた。

秋田ノーザンハピネッツ
秋田県内初のプロスポーツ・チームとして、2009年1月に創立。プロバスケットボール・リーグの再編に伴い、2016年からBリーグに所属。チーム名の「ハピネッツ」は、「みんなが幸せを共有できるように」という願いからの名称。秋田のラグビーチーム「秋田ノーザンブレッツ」の「ノーザン」を組み合わせ、「ノーザンハピネッツ」となった。同じ名を共有することで、共に地域の人々に愛されるチームを作り、秋田を全国に発信する思いが込められている。

 午前中は社業をこなし、夕方は秋田商業高校の練習に加わって汗を流す毎日。周りに全日本トップ選手がずらりといる大学時代と練習環境は変わった。

 しかし、バスケットボールの会社だけに、専門のトレーナーの指導を受けられる恩恵がある。「ウエートトレーニングを見てくれるので、パワーや瞬発力、スピードは鍛えられていると思います」。

▲成長著しい南條早映(青)には敗れたが、確かな手ごたえを感じた国体となった=撮影・矢吹建夫

 さらに、多くの社会人選手が口にするように「会社の支援にこたえたい」という思いがあり、秋田商業高校には女子選手もいて、その一人の佐藤杏樹が7月のU17世界選手権(イタリア)で優勝、女子をこの地にしっかり根付かせたい気持ちも、向上心につながっているようだ。

「地方在住選手の見本になってほしい」…秋田県・織山昭仁監督

 秋田商高で岩澤を指導している今大会の秋田県・織山昭仁監督(秋田市消防本部=同高コーチ)は「高校生が相手とはいえ、男子選手との練習の中でパワーをつけたのが大きいと思います。会社の支援、女子選手の見本になりたいという思いなども、周囲にトップ選手がいない中で実力をアップさせた要因だと思います」と分析する。

 「強豪チームを離れたことで、葛藤(かっとう=どちらをとるか迷う状態)があったと思います」と思う一方、メダルを逃したとはいえ強豪2人を破ったことで「自信をつけ、上を目指す気持ちが強くなったのではないでしょうか」と期待する。

▲2019年全日本選抜選手権59kg級決勝のマットで闘う岩澤。この舞台を再び目指す!

 大学を卒業した女子選手で世界への飛躍を目指す場合は、レスリングに専念させてくれる“プロ”の会社や組織のお世話になるのが、これまでの慣例。Uターン就職した場合、第一線での選手活動を終えて指導の道に回るのが普通だった。

 「地方在住でもできる、という見本になってほしいですね」と織山監督。同高から女子のU17世界チャンピオンが誕生したのは、「岩澤選手が来てくれ、その影響であり、一緒に練習したことが大きかった」と振り返る。地方でも全日本トップ選手が生まれ、地元選手を指導するようになれば、女子のさらなる強化と普及につながるはず。

 地方で頑張る岩澤に、変わらぬ情熱を持ち続けて世界への飛躍を目指してほしいと思う人は、少なくないだろう。秋田から、女子レスリングの新たな1ページが刻まれる-。







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