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2022.10.18

レスリングではできなかったウィニングランに「泣きました」(池田海南江)…2022年世界グラップリング選手権・代表チームが帰国

 

 スペイン・ポンテベドラで行われた2022年世界グラップリング選手権に出場した日本チームが10月17日、羽田空港に帰国した。同じ53kg級に出場した女子2選手(池田海南江=IGLOO、平林るい=SKアカデミー)は、No-Gi(道着なし)とGi(道着あり)の両方で決勝進出を果たし1勝1敗。ともに金メダルと銀メダルを獲得。男子Gi62kg級の米倉大貴(IGLOO)が、日本として9年ぶりに世界一に輝いた。

▲金メダルを取った(左から)平林るい、米倉大貴、池田海南江

 女子でNo-Giを制した池田は「自分のやるべきことをやって取れたメダルなので、よかったな。という気持ちです。ルールが難しい面があり、課題は残っても、納得のいく試合でした」と振り返る。

 新潟・新潟ジュニア~東京・安部学院高~自衛隊でレスリングを続けていた選手(旧姓山田)。2016年全日本選手権3位のほか、国際舞台でも2014年のクリッパン女子国際大会(スウェーデン)で銅メダルを手にしている。オリンピックの夢が断たれたあと、父がやっていたこともあって柔術の道へ進んだ。

 「レスリングは背中をつけてはいけない競技(柔術はそこからの攻撃が多い)。最初は戸惑いがありましたが、今は慣れました」。キャリアは2年。その間に一般自衛隊員と結婚。格闘技の経験はなくとも妻の闘いを応援してくれ、その期待にこたえての世界一だった。

 レスリングでは世界の晴れ舞台に立つことはできなかったが、競技を変えて世界最高峰の舞台に立った。「優勝して、日の丸を持ってマット上をウィニングランしたとき、レスリングで辛かったときや、苦しかったときのことがよみがえってきて、泣いてしまいました。あきらめずに、ここまでやってきてよかったな、と思う瞬間でした」と言う。

 競技は変わったが、「レスリングではできなかった国旗を持って走ることができ、夢がかなったと思いました」と感慨深そう。レスリングほど心拍数が上がる競技ではないので、選手寿命は長い格闘技。「まだ続けていきたいです」と話し、2度目、3度目の世界一を目指す。

▲2016年全日本選手権で3位入賞の池田海南江(右端=当時・山田)

選手団が一致団結し、ジャパン・チームとしての闘い

 Giで優勝した平林は「自分だけの力ではないことを感じました。選手団が一致団結し、ジャパン・チームとしての闘い、という雰囲気がありました。もちろん、日ごろから練習している人たちや友人、家族を思い出すことで落ち着いてやれました。支えてくれた人たちに感謝したいです」と、周囲に感謝の言葉。

 サンボでは世界選手権に出場し、柔道でも国際大会に出場したことがあるが、会場の立派さや音楽を流しての盛り上げなどは経験したことがなく、試合前は緊張したという。しかし、試合が始まると、「自分でも驚くほど落ち着いていました」と笑う。

 決勝で負けたNo-Giは道着なしの闘い。道着を着ない格闘技のキャリアは約1ヶ月で、「つかめるはずのところで、つかめない。極められるはずのところで、極められない。戸惑うことはありました」と言う。一方で、「新鮮さを感じることはありました」と話し、本格的な練習を積んでもう一度挑戦する腹積もりのもよう。

▲スペインから帰国した日本代表チーム

 男子で唯一、金メダルを取った米倉はGiでの優勝。「グラップリング(No-Gi)で優勝できなかった。まさか、という状況で極められた。後悔があります」と、喜びの中に悔しさもある状況。世界レベルの選手との闘いはあまり経験がなく、外国選手の様子を見て慎重に試合を進め、有利なポジションを取ったにもかかわらず、そこから極められてしまったと言う。「私の油断もありましたけど…」

 この初戦黒星があったから翌日のGiでの優勝につながったと思っている。負けの悔しさがあればこその栄冠だが、「柔術(Gi)しか優勝できなかったのは悔しい。グラップリング(No-Gi)で、初戦で負けるとは思っていなかった。両方優勝できるように頑張っていきたい」と、今後の意気込みを果たした。

 白井正良コーチ(ハコビースポーツ1)は「ロシア圏の選手はいませんでしたが、金3・銀2は大きな収穫です」と選手の踏ん張りを評価する一方、「負けた選手は、フィジカルの弱さが鮮明に出た。相手の骨をへし折るくらいの気持ちの強さの切り替えが、両スタイルともにできていなかった」と厳しい評価も口にした。

 選手がルールを熟知していなかった点も今後の課題として挙げた。「だれが見てもポイントになる技をかけなければならない。審判を味方につけ切れなかった。これは強化練習会での指導が足りなかったかもしれない」と、今後の課題として挙げた。

 来年の世界選手権の日程は未定だが、10月21~30日にサウジアラビアで行われる「ワールド・コンバット・ゲームズ」にグラップリングが含まれている(関連記事)。

▲選手の激闘をねぎらう鎌賀秀夫監督(黒ジャージ)と白井正良コーチ(その右)







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