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2022.10.19

【2022年全日本女子オープン選手権・特集】優勝に見離された学生時代だが、情熱は消えていなかった! 激闘階級に挑戦する…62kg級・小玉彩天奈(MTX ACADEMY)

 

 2024年パリ・オリンピックへ向け、東京オリンピック・チャンピオンの川井友香子(サントリービバレッジソリューション)と今年の世界チャンピオンの尾﨑野乃香(慶大)の次の激突が注目されている女子62kg級。パリを目指しているのは2人だけではない。

 10月16日に静岡・焼津市で行われた2022年フォーデイズ杯全日本女子オープン選手権の同級で、カデットとジュニアで世界チャンピオンとなった実績を持ち、この春、社会人となった小玉彩天奈(あてな=早大~MTX ACADEMY)が優勝。「パリ・オリンピックに向けて全集中します」と、力強く挑戦を表明した。

 決勝の相手は、小玉と同じく仕事を持ちながら会社の支援のもとで選手活動を続ける岩澤希羽(秋田ノーザンハピネッツ関連記事)。テクニカルフォールは逃したが、9-0の快勝に、「やっと優勝できた、という気持ちです。全国大会で優勝するのは、大学1年生(2018年)のクイーンズカップ以来なんです。シニアでは初めて。久々に表彰台の一番高いところに上がりました」と、感慨深そうに話した。

▲同じような境遇の岩澤希羽(秋田ノーザンハッピネス)との決勝、開始から積極的に攻めた

 組み手が単調になってしまったり、グラウンドで返すべきところで返せなかったりなど課題は多く見つかった。しかし、社会人となり、学生時代とは違った解放感をベースに試合ができ、自分の力を発揮できたことが大きかった。「試合に出ること、正直言って嫌いなんです。極度に緊張してしまうので…。でも、今回はそれがなかったです。一番の弱点を克服できたのかもしれませんね」と振り返った。

カデットとジュニアで世界一を経験

 父・康二さんは国士舘大時代に学生二冠王者に輝き、全日本選手権でも2位まで行った強豪選手。高知県の女子に先鞭をつけたのが小玉だ。高知・高知東高時代の2016年に世界カデット選手権で優勝し、早大へ進んだ2018年には同期入学の須﨑優衣(現キッツ)とともに世界ジュニア選手権を制覇。2019年にはアジア・ジュニア選手権でも勝った。しかし、その後は「優勝」から見離され、2位、3位が続く成績で大学を卒業した。

▲約4年半ぶりに全国タイトルを手にした小玉彩天奈(MTX ACADEMY)

 川井や尾﨑の台頭が華々しかったこともあり、存在が薄くなった感はあるが、卒業するにあたって選手としての情熱は消えていなかった。一方で、「レスリングだけ、という生活はしたくなかった」という気持ちがあり、見つけた就職先が、医療・教育・リハビリ・運動スクールなど総合的にサービスを展開する「MTX ACADEMY」。

 「MOVE=身体を動かす事、心を動かす事を通して、TECH=最新の技術、テクノロジーを活かし、X=無限の可能性へとつなげていく」という想いの下、「身体を動かす」事を通して、自分らしく誇りと自信を持って生きる人を増やす使命を遂行する会社だ。受付業務や電話対応の仕事もあるが、基本はスポーツに関連した業務。社会人としての技能を身につけつつ、アスリートにとってプラスとなることが多い仕事だ。

ネガティブ思考で、緊張するタイプ…その弱点克服に大きく前進

 限りなく“プロ”に近い待遇もありえたようだが、「レスリング以外のことを身につけたい」と要望し、会社の仕事に就かせてもらっている。夕方は母校・早大の練習へ加わるが、会社が今年から中学生のレスリング教室を開いていてマットがあるので、週1回はそこでの練習だ。

 その時は、中学生を相手に技の確認にあてる。「早稲田で(ハイレベルの)実践練習をやり、週1回は中学生相手に教えてもらった技の確認をしています。自分にとって、いい形で練習できていると思います」と言う。

 いい練習環境を得たが、今年はゴールデンウィークに左の肩鎖関節を脱臼し、明治杯全日本選抜選手権はやむなく棄権。しかし、約3週間後の全日本社会人選手権は復活して出場し(2位)、今回の優勝。社会人選手としてエンジンがかかってきた感じだ。「本番は12月(全日本選手権)です。今回優勝したとはいえ、気持ちを切り替えて課題に向き合いたいと思います」と力をこめた。

▲2018年世界ジュニア選手権。早大同期の須﨑優衣(左端)とともに金メダルを持って帰国(右から2人目が小玉)

 自らを「ネガティブ思考で、緊張するタイプ」と分析する。試合前日は寝られず、試合前は不安でいっぱいになる。試合中は、どんなにリードしていても「逆転されるかも」という気持ちに襲われてしまう。ところが、今回はそうした気持ちがあまり出てこなかった。社会人になると、伸び伸びできることで、持っている力をしっかりと発揮する選手は少なくない。

 「不安を力に変えることができたような気がします」。カデットとジュニアで世界一に輝いているだけに、潜在能力は十分。だれが相手でもこの“技術”が出せれば、眠っていた実力を発揮して日本代表を手にすることも不可能ではあるまい。

 早大同期の須﨑と安楽龍馬(nobitel)は、U23世界選手権出場のためスペインに向かった。出発前、頑張るようエールを送られたそうで、逆に「まず私が勝って、2人に流れをつくってあげたい、という気持ちでした」と言う。その思いは達成した。須﨑と安楽が踏ん張り、さらに小玉を後押しすれば、12月にも笑顔が見られるだろう。







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