日本レスリング協会公式サイト
JAPAN WRESTLING FEDERATION
日本レスリング協会公式サイト
2022.12.19

【2022年全日本選手権にかける】日本男子最重量級の“世界王者”が、挑戦者魂で大激戦階級に挑む…男子フリースタイル86kg級・白井達也(日体大)

 昨年の東京オリンピックで、男子グレコローマン77kg級の屋比久翔平(ALSOK)が銅メダルを獲得。日本グレコローマンの最重量級でのメダル獲得となった朗報に続き、今年のU23世界選手権で、あらゆる世代を通じて男子最重量級の世界チャンピオンが誕生。重量級に明るい出来事が続いた。

 快挙を成し遂げたのは、全日本学生選手権で2年連続優勝、男子フリースタイル86kg級の白井達也(日体大)。これまでの79kg級での世界一(2018年世界ジュニア選手権の石黒隼士)を上回る記録となった。

 身長168cmと、86kg級でも小さな部類に入る選手の快挙。欧米の4選手を破っての快挙を「自分のレスリングを貫けたから」と振り返る。骨格では欧米に劣る日本の重量級でも世界でやれる可能性を示すことができたのは、「うれしい気持ちはあります」と、気分は乗っている。

▲自分より大きい選手を相手に4戦全勝、U23世界王者に輝いた白井達也(日体大)=UWWサイトより

 「日本重量級に期待の星誕生-」と書きたいところだが、2022年全日本選手権の同級には、上下の階級から強豪選手の何人かが階級を変更してきて、シニアの世界選手権出場を経験した選手が6人もいる大激戦階級。昨年の世界選手権代表の石黒隼士(自衛隊)には相性が悪く、今年の明治杯全日本選抜選手権では世界選手権代表になった白井勝太(クインテット)に敗れている。厳しい闘いが待っているのが現実だ。

 階級を変更してくる選手の名前を挙げ、「すごいメンバーになりますね」と、思わず笑いが出てしまったが、「混みあっている中で、もまれるのもいいでしょう」と気持ちは前向き。 これだけのメンバーの中での闘いとなれば、U23世界王者になったことによるプレッシャーや気負いは「まったくない」と言うのも当然。チャレンジャーとしての気持ちを貫けるのではないか。

国内の上の階級で勝てなければ、シニアの国際舞台では勝てないことを認識

 自分で分析する持ち味は「防御力」。U23世界選手権でも、脚をさわらせたことは1回だけであり、失点は場外ポイントなど。小さな選手が大きな相手の攻撃をかわすのは、スピードある動きで翻ろうして攻撃を許さないことを想像するが、それだけではない。接近してすき間を作らせず、「攻撃できる距離をなくすこともやっています」と、踏み込む勇気を持っているがゆえの防御力でもあるようだ。

 4試合すべてが6分間闘っての勝利であり、総スコアは12-8。圧勝は少ないが、完敗もしないというスタイル。僅差の勝利であっても、白井の場合は「苦戦の末の勝利」とは限らない。

▲身長差25cmの同僚、伊藤飛未来と練習する白井。連日、大型の外国選手対策ができる環境にいる

 11月の全日本大学選手権は、チーム事情で97kg級に出場。パワーある相手との闘いを試すいい機会に恵まれた。結果は、成長著しい吉田アラシ(日大)に0-5で敗れ、優勝はならなかった。本来より2階級上での闘いであり、負けても落ち込むことはないように思うが、「やはり悔しいです。上の階級でも勝てないようでは、シニアの国際舞台では勝てないのが現実でしょう」と話し、“仕方がない”といった気持ちは微塵もない。

 「体格差を埋められるだけの体力と技術が劣っているのだと思います。フィジカル面を鍛え直し、技術をもっと高めようという気持ちになりました」と、挑む気持ちを持ちづけるための貴重な黒星となった。

ワールドカップで世界トップ選手との闘いを経験

 今月、米国で行われたワールドカップにも出場する機会があり、今度は86kg級の世界のトップ選手を相手にした実戦練習の機会に恵まれた。結果は、イランとカザフスタンの世界トップ選手を相手に、1ポイントも取れない完敗。「最初、浮足立ってしまって大きな技を受けてしまいました。そこから取りにいっても、もう追いつけませんでした」。

 パワーの差があったことは確かだが、日本選手相手では経験したことのない動きもあり、「それに慣れていかないと、この先、勝てないかな、と感じました」という発見もあった。U23世界王者といえども、シニアとは大きな差があるのが現実だ。

▲湯元健一コーチの指導に耳を傾ける白井

 「いつまでも『経験』とは言っていられないですが…」と言うが、同行した前田翔吾コーチ(日本オリンピック委員会/クリナップ)は「現状を知らないと、そこに向かって行くことはできない」と話す。まだ発展途上の選手。落ち込むことなく、「いい経験」と受け止めてステップアップの糧とするべきだろう。

 世界との差を縮めるための練習は、おのずと国内を勝ち抜く練習になるのは言うまでもない。貴重な経験を重ねた“小さな世界王者”の健闘が期待される。

 

 

 

 







2023年世界選手権/激戦の跡
JWF WRESTLERS DATABASE 日本レスリング協会 選手&大会データベース

年別ニュース一覧

サイト内検索


【報道】取材申請について
-------------

● 間違いはご指摘ください
本ホームページ上に掲載されている記録や人名に誤りがある場合は、遠慮なくご指摘ください。調査のうえ善処いたします。 記録は、一度間違うと、後世まで間違ったまま伝わります。正確な記録を残すためにも、ご協力ください。


アスリートの盗撮、写真・動画の悪用、悪質なSNSの投稿は卑劣な行為です。
BIG、totoのご購入はこちら

SPORTS PHARMACIST

JADA HOMEPAGE

フェアプレイで日本を元気に