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2023.01.01

【2022年全日本選手権・特集】約1年4ヶ月ぶりのマット、パリへ向けて動き出した!…男子フリースタイル65kg級・乙黒拓斗(自衛隊)

 

(文=布施鋼治)

 絶対王者が帰ってきた。2022年全日本選手権の最終日。男子フリースタイル65㎏級決勝は、乙黒拓斗(自衛隊)がU23世界選手権3位の安楽龍馬(nobitel)を4-0で撃破。初戦の2回戦と準決勝を合わせ、全3試合を無失点というパーフェクトな内容で優勝した。

▲決勝も失点を許さず、安定した実力を発揮した乙黒拓斗(自衛隊)=撮影・矢吹建夫

 「守備(防御)には結構自信があったので、その結果、無失点になったんだと思います。ただ、そこにこだわっていたわけではない」

 東京オリンピックで悲願の金メダルを獲得すると、乙黒はマットから離れた。一言で表現すると、“燃えつき症候群”と言えるか。

 「それまでは東京オリンピックが(最大の)目標だったので、金メダルを取ってからの喪失感は相当きつかったです」

燃え尽きたあとのブランク…、悪い方向には向かわなかった

 レスリングをやりたいという気持ちが一切なくなった。練習を一切断ったわけではなかったが、乙黒は自らの身をマットからあえて遠ざけた。「レスリングが楽しくなかったというか、『普通の生活がしたい』という思いで過ごしていました。1年くらいは遠ざかっていましたね」

 本格的なマット練習の再開は今年10月くらいになってからのことだった。「緊張感を持って実戦形式でやっていました」

 1年4ヶ月に及ぶブランクについて水を向けると、乙黒は「ブランクといっても、特にそれが悪い方向に向かったわけではない」と答えた。「おかげで(練習を再開したら)しっかりと集中することができた」

▲相手のすきを突いて一気に攻め込む闘いは健在だった(写真は準決勝の荻野海志戦)=撮影・矢吹建夫

 サバンナで獲物を狩るチータやピューマを彷彿(ほうふつ)させる緩急のついた、どう猛なレスリングは健在だった。静かに見合っていたと思ったら、いきなり突っかけ、ぐいぐいと攻め込む。そのアタックを切ろうとしても、攻めのしつっこさは尋常ではない。相手は、最終的に捕まってしまう。

やっていくうちに“ゾクゾク感”がよみがえってきた

 決勝で乙黒に完敗を喫した安楽は唇をかんだ。「乙黒選手はカウンターがうまくて、スピードもあるタイプ。その面で対峙しても勝負にならない。だから、むやみに攻めすぎず、相手の穴を探しながら闘っていた。でも、(そうすることで)逆に考えすぎてしまった」

 対照的に、乙黒の方は試合が進むにつれ、レスリングの楽しさを久しぶりに謳歌していた。

 「久しぶりの大会だったので、やっていくうちにだんだんと緊張感がなくなり、心がゾクゾクする感じになっていきました」

▲この激闘から約1年4ヶ月、日本のエースがパリへ向けて動き出した

 乙黒は、今大会のテーマに「しっかりと勝ち切ること」を揚げていたが、そのコミットメント(公約、誓約)をしっかりと果たしたことになる。「(優勝した直後なので)まだよく分からないけど、勝てたことが一番よかった」

 2023年の展望について、乙黒は「まずはコーチと相談してから」と明言を避けたが、2024年のパリ・オリンピックに向けて動き出したことは確か。日本男子フリースタイルの至宝から目が離せない。







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