――岡村さんがゴルフ専念するきっかけは?
岡村 小学校2年生のときからゴルフもやって、中学になると大会も増えてくるし、どちらかに絞った方がいいかな、と思いました。
松本 なんでゴルフを選んだんですか?
岡村 う~ん…。ゴルフの方が楽しかったんですかね(笑)。
松本 「だっぺクラブ」の人たちは、どんな反応でした?
岡村 「ゴルフで活躍できるように」って、快く送り出してくれました。ありがたかったです。
松本 近くにゴルフができる環境があったんですね。
岡村 近くに練習場もコースもあります。
松本 いい環境ですね。
――松本さんは、中学からは柔道に専念ですか。
松本 そうですね。きっかけは特になかったです。元々が柔道の道場だったので、レスリングは自然消滅という感じでした。
岡村 中学では週6回の練習ですか?
松本 週7日です(笑)。
岡村 週7日!
松本 正月もお盆もでしたね。先生が風邪をひいたり病気になったりすると練習が休みになるから、毎日、呪いをかけていました(2人で大笑い)。レスリングやゴルフは、週どのくらい練習やっていましたか?
岡村 小学校のときはレスリングが週3回あって…
松本 週3回? それで全国大会4連覇?
岡村 力だけだったんですよ。練習は夜7時ころからでして、学校が終わってそれまでの時間、ゴルフの練習場に行っていたんです。土日はゴルフのコースへ出ていました。
松本 毎日じゃん(笑)。でも、週3回のレスリングの練習で全国チャンピオンか…(笑)。
――柔道に専念されてから、レスリング選手との交流は?
松本 めちゃくちゃありますよ。柔道とレスリングは合同練習したこともありますし、親交は深いです。ロンドンとリオデジャネイロのオリンピックでは、柔道とレスリングは同じ会場。最初に柔道やって、そのあとレスリング。会場内でレスリング選手に会うと、タックル仕掛けたりしました。でも、本能的にかわしてくるんです。無理だと思って、そこでやめてて。試合前にケガするわけにはいかないですよ(笑)。
――吉田沙保里選手にもタックルを仕掛けた?
松本 沙保里さんは、2012年の年初めに柔道とレスリングで合同練習したときの方が印象深いです。頭と頭をくっつけて押し合いしたんですけど…。
岡村 首の強化じゃないでしょうか。
松本 そうだと思います。強くて、まじで岩が突っ込んできたと思ったくらいです。むち打ち症みたいになって、その合宿では、そのあと練習できなかったんです。沙保里さんの首、ずっと呪っていました(笑)。レスリング選手の首の強さは、普通じゃないですよ。
岡村 レスリング選手、首は鍛えていますよね。
松本 伊調馨さんとは、ゴムチューブを使っての練習が印象に残っています。張ってあるチューブを飛び越して、くぐって、という練習ですけど、それだけでもきつい練習でしょ。伊調さんは、なぜか私のときに(持っているチューブを)低くするんですよ(笑)。「はい、カオリちゃ~ん(薫=伊調と同じ「かおり」と読む)、頑張って~」とか何とか言って…。頑張れる高さじゃなかったですよ(笑)。追い込んでもらいましたね。でも、呪っています(笑)。
――松本さんはゴルフというスポーツにどんなイメージがありますか?
松本 めっちゃ怖いスポーツ! ゴルフのコースの中にある池から巨大なワニが出てくる映像を見て、それから怖いスポーツって思ったんですよ(笑)。
岡村 自然の中でやるスポーツですから、いろんな動物が出てきますよ。
松本 鳥が急に目の前を飛んでいくこともあるでしょう。
岡村 ありますね。カラスがボールを持っていってしまうこともありました。ヘビも出ますし(笑)。
松本 ワニに遭ったことは?
岡村 それはないです(笑)。海外のことですね。たまに聞きます。池ポチャしたら、もうあきらめた方がいいです。
松本 ゴルフの体の動かし方は、正直、よく分からないですよ。他のスポーツは柔道と共通するところもあって、何となく分かりますけど、ゴルフは違いますね。動きをよく見てもよく分からない。今度、ぜひ教えてほしいです。
――実際にやられるんですか?
松本 最近始めて、頑張っているんです。打ちっぱなしの練習場に2回行きました。でも、収穫ゼロ(笑)。他の人のコーチをしている指導員の動きをじっと見ていたんですけど、何も分からなかった(笑)。
岡村 自分では教わってないんですか?
松本 教わってないです。(他人の指導をするコーチの技を盗み見する)やばいヤツだ、って思われたかな(笑)。
岡村 それだと、何をしたらいいか分からないんじゃないですか? ゴルフはグリップの持ち方とか、構えとかが一番大事で、そこを間違えてしまうと全部が狂ってしまうと思います。
松本 収穫ゼロでよかった。収穫があったら、かえって間違ったまま進んでしまっていましたね。
――趣味でもっとしっかりやってみたい、という気持ちはあるのですか?
松本 あります。アスリート仲間で、ゴルフをやる人がけっこういます。吉田沙保里さんもそうです。狩野舞子さん(バレーボール)とか。実は地元(石川県)で、「松本薫杯」というゴルフの大会をやりたい、という話もありまして、やりたいんですよ。
岡村 私も、吉田沙保里さんと一緒にゴルフをしたことがあります。足腰が強いので、体の軸がぶれないですよね。飛距離も出ますし。
――岡村さんは、柔道にはどんなイメージがありますか?
岡村 投げる、投げられる、という印象ですね。レスリングの試合で、柔道をやっていた選手とやったこともありますけど、投げられて負けました。やはり、投げるスポーツというイメージですね。柔道の選手とは闘いたくない、という気持ちを持っていました。
松本 投げられて負けた記憶があれば、そうですよね。
――ロンドン・オリンピックでの松本さんの試合の印象に残っていますか?
岡村 中学3年の時です。すごく印象に残っています。この人こそ勝負師だ、という感じで。
松本 怖い人がいる、って思ったんでしょ?
岡村 いえ、かっこいい、と思いました。強い選手になりたい、と思っていましたので、あこがれました。
――松本さんはレスリング時代から眼光が鋭かったですか?
松本 レスリングをやっていたのは小学生時代ですよ。そんな小学生、いないですよ(笑)。かわいかったで~す(笑)。あれ(眼光の鋭さ)は世界に出るようになってからですね。