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2023.02.26

【特集】20数年ぶりに実現した日体大と山梨学院大の合同練習、ハイレベルの切磋琢磨で世界を目指す!

 

 学生レスリングの頂点を争う2チームが団結。ハイレベルの切磋琢磨で、お互いの実力アップを目指した。

 2月22日の午前と午後、日体大の練習に山梨学院大が参加。これまで、あまり例のなかった学生二強による合同練習が行われた。山梨学院大からはカザフスタンからの留学生(アビレイ・ソビィット)、日体大にはパキスタン出身のOB選手(アビッド・ハルーン=プロレスリング・ノア)がいて、グレコローマンには、19日からオリンピック王者を含めた韓国ナショナルチームが参加中。さらに、強敵を求めて自衛隊選手の姿があり、国際合宿を思わせる雰囲気のもと、熱の入った練習が展開された。

 競技人口が限られているレスリングでは、他チームの練習に参加する出げいこや、数チームがまとまって合宿することは珍しいことではない。だが、競い合うためか、手の内を明かしたくないためか、頂点を目指すチームが合同練習することは、あまりない。まして、日体大と山梨学院大は距離が離れており、山梨学院大の小幡邦彦監督の記憶によると、合同練習は自分の学生時代以来、20数年間、やっていないと言う。

▲20数年ぶりに実現した日体大と山梨学院大の合同練習

世界で勝つために必要なトップチームの切磋琢磨

 今回は、山梨学院大からの申し入れで実現した。昨年の東日本学生リーグ戦は日体大に敗れて優勝を逃し、全日本大学選手権でも日体大に続く2位。しかし、リーグ戦は1勝差で優勝を逃した惜敗で、全日本大学選手権では下級生3選手が優勝と、今後につながる内容。紙一重を乗り越えるため、あえて敵の懐に飛び込んだ。

 男子フリースタイル57kg級国体王者の小野正之助(山梨学院大)が日体大OBで全日本王者の樋口黎(ミキハウス)に挑み、青柳善の輔主将(山梨学院大)髙橋海大(日体大)とのJOC杯王者同士の闘いを展開(青柳は65kg級、高橋は70kg級。その後、ともに階級アップ)。

▲57kg級全日本王者の樋口黎(左、日体大OB=ミキハウス)に挑む小野正之助(山梨学院大)

 男子フリースタイル74kg級の2021年世界選手権代表の佐藤匡記(山梨学院大)は、昨年の79kg級世界選手権代表の髙橋夢大(日体大=現在は86kg級)に挑み、全日本大学グレコローマン選手権王者の谷崎大造(山梨学院大)は、グレコローマン専門の日体大選手に挑戦した。

 合同練習を申し入れた山梨学院大の小幡監督は「強化のため、新しいことをやる必要があると思った」と、その動機を話す。全日本合宿では、所属を超えた全日本トップ選手同士が切磋琢磨するが、全日本チーム入りを目指す発展途上の選手にもそうした機会が必要との思いからの行動。朝6時半に大学のある甲府市を出発し、日体大選手の胸を借りた。

▲グレコローマンの大学王者・谷崎大造(山梨学院大)は、グレコローマン専門選手に挑む

日体大が山梨へ行く可能性も口にする松本慎吾監督

 日体大の練習には世界を目指すOB選手が多く参加していることも、合同練習を申し出た理由。日体大の松本慎吾監督は、ことあるごとに「国内で勝つことが目標ではない。世界で勝つことが目標」と口にしているが、「その気持ちは山梨学院大も同じです」と話し、世界で闘っている選手に接することによってモチベーションを高める狙いもある。練習を見て、「緊張感のあるいい練習ができていたと思います」と振り返った。

 小幡監督の申し出を快諾した松本監督は、受け入れるだけでなく、日体大が甲府まで行って練習する可能性も口にする。世界で勝てる選手を育成するには、「いろんなタイプの選手と闘い、ハイレベルの環境と意識の中で練習することが必要」と話す。少子化によって競技人口が減りつつある現状だからこそ、なおのことチームの枠を取り払っての練習が必要と考えている。今回、いくつかの大学へ練習参加を呼びかけており、1選手が応じて参加予定だったという(体調不良で断念)。

 「他チームに研究されたら困る」といった考えはなく、だれの挑戦でも真っ正面から受けて立つ“横綱相撲”は、大学のグランドスラムを達成したチームにふさわしい姿勢。門戸開放と切磋琢磨から学生全体のレベルを上げて行こう、という気持ちがにじみ出ていた。

▲昨年のJOC杯王者同士の激しい闘い。青柳善の輔(左=山梨学院大)と髙橋海大(日体大)

「機会があれば、何度もでもやりたい」と両チーム主将

 新チームを率いる山梨学院大・青柳善の輔主将は団体戦優勝の奪還のほか、約1ヶ月後に迫ったアジア選手権優勝という目標を持ち、日体大・清岡幸大郎主将は団体戦グランドスラムの継続とパリ・オリンピック予選を勝ち抜くことを目標としている。申し合わせたように「必要な練習」「機会があれば、何度もでもやりたい」と口にした。

 合同練習によって、手の内を盗まれるかもしれない点についても同じような考え。青柳主将が「そんなことを考えていて、勝てる相手じゃありません。持っているものすべてを出し、身になる練習ができたと思います」と言えば、清岡主将は「自分たちが目指すところは国内ではない。合同練習の中で実力を高め合うことが必要」と話し、それぞれ全開モードで打ち込んだ。

 時を同じくして、千葉・館山の慶大合宿所に、防大、東大、東海大、東農大、国際武道大の二部リーグのチームが集まり、合同合宿が行われている。コロナ禍の間、どの大学も他大学との交流が禁止され、「自チームだけの練習ではダメだ」との思いが、チーム間の垣根を低くしているのかもしれない。制限が緩和されたことで、今後は多くの大学が団結してレベルアップを目指すのではないか。学生界の覇権を争う2チームの“合体”は、その流れに拍車をかけることになるだろう。

 学生レスリング界の団結と発展が期待される。

▲5月の東日本学生リーグ戦での健闘を誓う山梨学院大・青柳善の輔主将(左)と日体大・清岡幸大郎主将。練習後は和やかなムードだったが…

▲髙橋夢大(左=日体大)と佐藤匡記(山梨学院大)の世界選手権代表同士の激しいスパーリング

▲アビッド・ハルーン(左=日体大OB)とアビレイ・ソビィット(山梨学院大)の“パキスタンとカザフスタンの闘い”も実現







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