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2023.03.01

【特集】韓国の男子グレコローマン・チームが日体大へ武者修行、復活へ燃える!

▲来日した韓国の男子グレコローマン・チーム

 

(文=布施鋼治)

 韓国の男子グレコローマン・チームが2月19日から24日まで、日体大で合同練習を行った。日体大は1月中旬、韓国の男子フリースタイル・チームのリクエストを受け入れる形で、同大学で合同練習をしていた。

 日体大の松本慎吾監督は「昨日帰国したけど、韓国のLH(韓国土地住宅公社)というチームも、昔、そこの監督が私と合宿や試合をともにしていた関係で連絡があり、ウチで練習していました」と打ち明けた。「こちらもハイシーズンになったら受け入れが難しい。ここ数年、コロナの影響もあって出げいこができなかったので、オフシーズンであれば受け入れたいという思いがありました」

 松本監督は現役時代、日本のグレコローマンが低迷していた頃に、当時、グレコローマンの国際大会で好成績を収めていた韓国が日本からの出げいこを快く受け入れた恩を忘れてはいなかった。

 「今は、両スタイルとも日本の方がレベルは上になった感があるけど、昔お世話になっていますからね」

▲日本選手の“人気の的”だったオリンピック王者のキム・ヒョンウ(金炫雨)

復活に燃えるかつてのグレコローマン強豪国

 2021年東京オリンピックの男子グレコローマンスタイルに出場した韓国代表は2名のみ。いずれもメダルに到達できず、半世紀ぶりにメダル「0」という屈辱を味わった。

 韓国のグレコローマンは、1976年のモントルオール大会以来、必ずメダルを獲っていた強豪国だった。1988年のソウル大会では「金1・銀1・銅3」という好成績を残している。夢をもう一度、ではないが、復活するための強化は急務だといっていい。

 チームに帯同した2000年シドニー大会58㎏級銀メダルのキム・インソプ(金仁燮)コーチは「日本に来る前はキルギスのナショナルチームと3週間ほど一緒に練習していました」と打ち明ける。

 「我々のチームは韓国に留まって自分たちだけで練習するより、積極的に海外に遠征して現地のチームと練習する方が成果を上げられると信じている。現在日本のグレコローマンのレベルは非常に高いので、一緒に汗を流すことで日本の練習方法やテクニックを研究することができる。日体大にとっても、いい刺激になったのではないでしょうか」

▲日本のレベルを体で知ろうとするキム・インソプ(金仁燮)・コーチ

 韓国と日本のグレコローマンの違いについて聞くと、キム・コーチはサッカーに例えて説明した。「日本のグレコローマンは素晴らしいシュート(得点能力)が打てる。一方、韓国は優れたパス(得点に至るまでの過程)ができる。我々がよりよいチームを作り上げるためには、パスのあとの優れたシュートが必要なのです」

「いつもとは違う練習相手なので、刺激が違う」(屋比久翔平)

 韓国チームの中には2012年ロンドン大会の男子グレコローマン66㎏級金メダリストでベテランのキム・ヒョンウ(金炫雨)の姿もあり、屋比久翔平(ALSOK)らとの激しいスパーリングに励んだ。屋比久は「いつもとは違う練習相手なので、刺激が違う」と相好を崩した。

 「ヒョンウ選手とは2017年の世界選手権(フランス・パリ=75㎏級3回戦)で対戦して負けている。当時の勢いは感じなかったけど、相変わらず腕をねちねちと取って自分の形を遂行し続けるというスタイルは変わっていなかった。すごいなと思いました」

▲大勢の選手に見つめられる中での練習

 取材時は韓国チームだけではなく、山梨学院大自衛隊勢も練習に来ていたので、日体大のレスリング場はいつもとは違った熱気と緊張感に包まれていた。

 「レスリング全体の底上げを考えると、合同練習は非常にいいことだと思う。今回、海外勢も含め、こういった練習ができたことは本当によかった」(松本監督)

 日体大には韓国以外の国からも出げいこの打診が来ているという。すでに、下山田(培=元全日本王者)が滞在しているオーストラリアから女子選手が今月から日体大で練習している。昔からつき合いのある台湾からも話がある。「5~6月には大学のつてでオランダの社会人選手もやってくる予定」

 かつて日本レスリングの父・八田一朗は、若いころから国際関係の重要性を説き、外国に簡単に行けない時代であっても海外との積極的な交流を心がけてきていた。日体大の柔軟な方針は八田イズムをしっかりと受け継いでいると言えるのではないだろうか。


《オリンピック王者・キム・ヒョンウ(金炫雨)に次々に挑む新旧・全日本王者》

▲77kg級・屋比久翔平(ALSOK)

▲60kg級・文田健一郎(ミキハウス)

▲67kg級・曽我部京太郎(日体大)

▲87kg級・角雅人(自衛隊)

▲激しい練習が終われば、ご覧の通り







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