監督 鎌賀秀夫(日本協会)
【役員】
監督 鎌賀秀夫(日本協会)
【コーチ兼選手】
+90kg級 天野雅之(中央大学職員/中央大学卒)
【選手】
70kg級 山田義起(立山商事/日本体育大学卒)
80kg級 阿部宏隆(茨城・水戸市スポーツ少年団/国士舘大学卒)
6月10日(土)~11日(日)にシンガポール・シンガポールシティで行われたビーチ・レスリングの2023年ワールドシリーズ第2戦に出場した日本チームが、6月13日に羽田空港に帰国した。出場した3選手ともに惜しくもメダル獲得には届かなかった。
今大会は、先月のアルゼンチンでの大会の経験や、出発直前に沖山功審判長からルールのアドバイスを受けるなど、しっかりとした準備で試合に臨めた。
会場はシンガポールスポーツハブという体育館や陸上競技場などスポーツ施設と大型ショッピングモールが併設された施設で、そこにあるビーチバレーコートを使って試合は開催された。ビーチレスリングといえども、必ずしも海辺で行われるということではなく、砂場があれば開催できるので、浜辺にこだわらない会場だった。
観客席は一部有料で、屋外テントのオープンな会場ならではの、観客が気軽に見られる環境であった。体育館内とは違い、選手は強い日差しの中の試合となるため熱中症に十分に注意しながら試合に臨まなければならなかった。
阿部宏隆は前回大会2位の結果もあり、他国からの厳しいマークの中で予選を勝ち、決勝リーグまで勝ち上がった。準々決勝では、前回大会で決勝を戦った現在ランキング1位のジョージアの選手に惜敗した。その後3位決定戦ではセネガルの選手に敗れ、メダル獲得には至らなかった。
山田義起は前回大会の悔しさをバネに1ヶ月間のビーチ対応に時間を費やした。その努力もあり、準決勝で中国選手に負けはしたものの試合内容は互角であった。3位決定戦では現在ランキング1位のジョージアの選手に敗れ、惜しくもメダル獲得には至らなかった。
天野雅之は+90kg級への出場のため、体格差が目立つ闘いが多かった。予選では現在ランキング1位の選手と対戦して善戦するなどしたが、惜しくも決勝リーグに進出することはできなかった。
今回、シンガポール在住で、日本のセント・メリーズ・インターナショナルスクール(St. Mary’s International School)高校出身でレスリング経験がある松本龍仁(まつもと・たつひと)さんがボランティアとして日本チームを支えてくれた。
ルールミーティングでは、前回の反省点であるタックルなどの疑問点を再確認でき、言語面や大会会場でのサポートなど、松本さんもチームJapanとして一丸となり試合に臨んでくれたことは大きな力となった。選手達は「すごく親切にしてもらった。たつのおかげで私たちは試合に集中することができた。たつはこのチームJapanの大切な一員だ!」と感謝の意を表した。
■70kg級・山田義起(立山商事)「優勝を目指して今大会に臨みましたが、結果が出ず、悔しいです。ただ、引退して競技から離れていたこともあり、ビーチレスリングを楽しめたのも事実です。鎌賀監督、天野さん、阿部さんとご一緒できたのも、すごくいい思い出になりました。世代の違う先輩方とご一緒し、密な時間を過ごしたことは、ビーチレスリングやもちろんレスリングをしていて宝物となりました。現在の生活環境の中で、ビーチレスリング競技を続けていけるかは分かりませんが、この経験をたくさんの人に伝えていきたいと思います」
■80kg級・阿部宏隆(茨城・水戸市スポーツ少年団)「今回は、前回負けたジョージアの選手に勝つため闘い方を変えて挑みましたが、通用しませんでした。結果だけ見ると前回と同じ負けですが、内容的にはそんなに悪くなかったと思います。このジョージアの選手に勝つことを目標にすれば、自然と強化につながると思うので、引き続き強化していきたいと思います。」
■+90kg級・天野雅之(中央大学職員)「いいところが出せなかったことが悔しい。遠征続きで調子も良く、いい結果を出したいと思いで試合に臨みましたが、ダメでした。ただ、この経験をたくさんの方々に伝えることができるように、日本では自分自身の成長とともに後輩育成に励みたい。自分を応援してくれるたくさんの方々がいてくれてありがたい。目標としてくれている人もいる。感謝とともに、これからもたくさんの人たちと成長し続けたい。どれだけ本気になれるか。本気で続けることで昨日の自分より少し成長できると信じています。応援ありがとうございました」
前回のアルゼンチン大会に続いて臨んだシンガポール大会。出発前に前回の反省点を活かすべく、沖山審判長と選手とのルール確認、そして現地で大会テクニカルディレクターへの再確認を行い、選手たちには正確なルールをインプットさせてに臨ませた。
選手は闘い方には迷いがなく、それぞれの戦術を駆使して戦ってくれました。結果は出ませんでしたが、それぞれ大きく成長してくれ、日本を支えるビーチレスリングのファーストペンギンになってくれたと感じた。
体育館内にビーチレスリングのリングを造って練習する国も現れ、今回初参戦の中国などは、ビーチレスリングへの取り組みが本格化してきたことが大会を通じて感じ取れた。日本もその波に乗り遅れないよう、強化していかなければならないと思う。
オリンピック種目となってから強化をスタートさせるか、それともオリンピックを目指して今から本格的に強化していくか。強化は早ければ早いほど有利で、私は後者であると二大会を見て痛感した。