トルコ・イスタンブールで行われたU17世界選手権に出場した女子チームが8月6日、羽田空港に帰国した。8階級で決勝に進み、6階級を制した成績だった。
齋藤ほのか監督(東京・安部学院高)は「インターハイ直後の出発で、5人は自宅に帰らずにトルコへ向かっており、減量などで大変だったと思う」と振り返りつつ、キャプテンの尾西選手がチームをしっかりまとめ、盛り上げてくれ、チーム一丸となってハンディを乗り越えて臨めたことがよかった」と言う。
8大会連続の団体優勝の勝因を「チームワーク」と強調し、優勝できなかった選手を含めて「攻める、という目標は十分に達成できた」と語気を強めた。7月のU20アジア選手権で団体優勝を逃していただけに、「この優勝でU20、シニア、U23の世界選手権へつなげられたと思います」と話した。
日本代表チームの帯同は初めての高ノ山美香コーチ(旧姓長沼=岐阜・岐阜工高教)は、至学館大時代の2010・11年にこの大会に出場しており(当時は「ジュニア」)、ルーマニアで行われた11年大会で優勝の実績を持つ。その他にも豊富な国際大会出場の経験があるが、「会場の雰囲気が、自分が出たときとは全く違いました。オリンピックと言っていいほどの盛り上げがありました」と時代の流れを感じたと言う。
それだけに、「選手は緊張して力を出せないかも」と思ったそうだが、そんなことはなく、普通に闘っていたので、「強い選手の集まりだな」と実感。「所属に戻って強化し、さらに強くなれる選手だと思います」と振り返った。男子の試合を見ることもできて学ぶことも多く、「今後の指導に生かしたいです」と話した。
チームを支えた53kg級の尾西桜主将(埼玉・埼玉栄高)は「去年は決勝で負けて悔しい思いをしました。その借りは、同じ舞台で返す、と強く思っていました。ここまでの頑張りが報われてよかったです」と、5試合無失点の優勝を振り返る。昨年は緊張してしまい、自分のレスリングがまったくできなかったそうで、その反省を生かしての優勝に満足そう。
3回戦の米国戦のみ6-0の判定勝ちだが、フォールの体勢に追い込むなどし、「相手に何もやらせずに攻めた試合でした」と、快勝だったことを強調した。次の目標として、すぐにやってくる東アジア・ユース大会(モンゴル)の優勝を挙げるとともに、12月の全日本選手権への出場資格をほぼ手中にしているので、「そこで優勝したいです」と、日本一奪取を掲げた。
57kg級で2年連続優勝の内田颯夏(東京・JOCエリートアカデミー/東京・帝京高)は「うれしい気持ちでいっぱいです。3回戦のインド戦でポイントを取られて焦りが出ましたけど、絶対に優勝する、という気持ちが出て、勝つことができました」と振り返る。
5試合中4試合は無失点のテクニカルフォールで、インド選手のみ判定(8-4)。インド選手は力があって、タックルに入ってくるし、入っても切られることが多く、攻守ともに強かったと言う。「攻守ともに強かった。今後、(インドは)強くなると思います」と話し、勝ってかぶとの緒を締めた。
■40kg級優勝・阿久津こはる(福島・ふたば未来学園中)「うれしい気持ちと、親やコーチの方々への感謝の気持ちでいっぱいです。日本の大会よりは緊張しなかったですが、決勝の相手のインドは、力は日本選手より強く、技術も高いので少し緊張しました。自分からどんどん攻めることができて、よかったです。このあと全日本女子オープン選手権と全国中学選抜選手権に優勝し、また国際大会に出たいです」
■46kg級優勝・升田夏実(京都・海洋高)「去年はU17アジア選手権でインドに負けて2位でした。今年は世界選手権に出ることができ、決勝の相手が(選手は違うが)インド選手。去年はインド選手にボコボコにされて、日本チーム全体もやられていたので、嫌な気持ちはありましたが、しっかりポイントを取る気持ちで向かって行き、勝ててよかったです。来年はU20世代になるので、国際大会出場は難しくなると思いますが、出られるように頑張りたい」
■49kg級優勝・小川凜佳(岐阜・中京高)「優勝する気で臨みましたが、本当に優勝できるとは思っていなかったので、うれしいです。決勝の前はとても緊張していて、焦りもあったと思いますけど、今まで練習してきたことを出すつもりで頑張りました。監督やコーチの励ましを思い出して、落ち着いてできたと思います。このあとは東アジア・ユース大会です。いい成績を出したい」
■65kg級優勝・吉田千沙都(三重・一志クラブ)「去年は2位で終わってしまい、今年は絶対に優勝、という気持ちだったので、とてもうれしいです。みんながどんどん勝っていって、その流れをつなぎたい、という気持ちがよかったです。(決勝の相手はU17欧州チャンピオンだが)特に強いとは思わなかったです。すぐに東アジア・ユース大会がやってくるので、そこでも頑張りたい」