8月8日からドイツに遠征していた男子グレコローマンの日本代表チームが8月20日深夜、羽田空港に到着した。12~13日にドルトムントで行われた「ドイツ・グランプリ」に出場。67kg級の曽我部京太郎(日体大)が優勝した。そのあと、地元選手らと合宿練習をこなした。
笹本睦監督(日本オリンピック委員会)は、「ドイツ・グランプリ」について「全体的によかった。攻めた中でポイントを取った選手が多かった。草津合宿(7月下旬~8月初め)での追い込みがよかったかな、と思いました」と総括。
しかし、4選手が決勝に進みながら3選手が敗れたことについて(1選手は不戦勝)、「相手も研究していたのでしょう、早めに終わってしまった試合もあった」と無念そう。今後の修正部分とした。一番の課題はやはりグラウンドで、世界選手権までの重要課題として挙げた。
チームの期待度ナンバーワンの文田健一郎(ミキハウス)が、1階級上の63kg級決勝でフランス選手にテクニカルフォール負けを喫したことについては、「ある意味ではよかった。世界のレベルが上がっていて、自分のレスリングが思うようにできなくなりつつあることを知ったと思う。気を引きしめて、世界選手権までに修正してほしい」と望んだ。
合宿は10数ヶ国から約100選手が参加。短期集中練習を午前と午後、3グループに分かれてこなしたと言う。「グラウンド練習が多く、選手はかなり疲れていた。日本とはかなり違う練習だった」と話し、海外がグラウンド練習に力を入れていることを感じたもよう。
世界選手権に初出場する67kg級の曽我部と77kg級の日下尚(三恵海運)の若い選手は、2つのグループの練習に参加して他選手の倍の練習をこなし、「いい経験になったと思います」と振り返った。(注=今大会は、賞状のみでメダルはありませんでした)
■67kg級優勝・曽我部京太郎(日体大)「決勝は不戦勝でした。世界選手権前のせっかくの機会なので、闘いたい気持ちはあった。準決勝までは、自分の持ち味でもある前に出て相手をばてさせてポイントを取ることが、しっかりできたと思う。スタンドの極めや、グランドの攻防で修正部分がまだまだある、と感じました。
(国際大会では5大会連続で3位以内入賞を果たし)世界選手権でも雰囲気に飲まれることはないと思います。ただ、対策されていることは感じます。対策されても勝てる実力を身につけたい。世界選手権で金メダルを取る、という気持ちです」
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■63kg級2位・文田健一郎(ミキハウス)「決勝は、久々にテクカルフォール負けしました。(1階級上であったが)やはり、すごく悔しい。でも、自分の通用することころ、しないところ、などが分かった。世界選手権までに修正する、いいきっかけとなった。(けがの状態は)徐々に回復していて、影響はない。ただ、気持の面ではまだ残っていて、持ち上げるときなどに『怖いな』と思ったりすることはある。それをなくしていきたい。
大会後の合宿でもそうでしたが、全体的にグラウンドを重視していることを感じた。日本は、少なくとも自分は、まだそこまで取り組めていないと思う。あと1ヶ月で突き詰めていきたい」
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■77kg級2位・日下尚(三恵海運)「優勝するつもりで挑んだので、2位という結果になって悔しいです。相手は世界王者経験者ですが、そういう選手に勝たなければ、オリンピックはないと思っている。勝つ気持ちでいました。(34秒でのテクニカルフォール負けは)一本背負いから2回ローリングを受けてしまいました。勢いでもっていかれ、焦ってしまった。自分のレスリングを出す前にやられてしまった感じ。6分間闘えば勝てたかもしれませんが、その前にやられてしまった。
その後の合宿では、外国選手特有の瞬発力やタイミングなどを経験しました。日本では経験できない高いレベルの中で練習し、世界選手権前の準備になりました」
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■87kg級2位・角雅人(自衛隊)「スタンドがうまく回れば、勝つことができる感触を感じた。そこにグラウンドがついていけば、さらに楽に勝てる。修正して世界選手権に向かって行きたい。決勝の相手(2021年82kg級世界5位)は、前に世界選手権で負けたことのある選手です。世界選手権で闘ったときとは別の技を使ってくるなどしてきた。いろいろ工夫しているけど、悪くない形で闘えた。(国際大会の3位以内入賞は2019年3月のダン・コロフ-ニコラ・ペトロフ国際大会以来だが)1位以外は、負けです」