(2023年9月18日、セルビア・ベオグラード/取材=布施鋼治、粟野仁雄)
■湯元進一コーチ(自衛隊=3回戦で乙黒拓斗がハンガリー代表にフォール負けしたことを受けて)「右足のけがの再発と、ドクターに言われました。やはり明治杯(全日本選抜選手権)のときの右足のけがが響きました。練習が足りず、ここまで来てしまったのが、この結果だと思います。(負傷棄権ではない?)フォール負けです。私も足のけがが心配で、フォールを取られたことに気づかず混乱しました。結果として、この状態では続けられないと思いました。(フォールよりけがを心配した?)そうです。乙黒本人と目が合った瞬間も、フォールうんぬんより、けがのことを心配しました。
(立ち上がって試合を続行するように見えたが)私もフォールされていないと感じていました。(通常のフォールの段取りとは違ったことについて)今回の場合、チェアマンが最初に宣告して、そのあとに審判がフォールと言っていました。でも、ああいう状態でのフォールもある。私からは反論したりはしません。受け入れます。(これからは)12月の全日本選手権の出場へ向けて、やりますし、本人もそのつもりでしょう。帰ってけが(の状況を)を見て判断したい」
■男子フリースタイル92kg級・吉田アラシ(日大=3位決定戦で米国選手に0-11のテクニカルスペリオリティ=テクニカルフォール負け)「最初から崩され、よくない試合展開だったと思います。相手のことを意識しすぎて、自分の強みを出せなかった。それが敗因。自分の体力、技術面、いろいろな面がまだ世界ではダメだと感じました。今後、この悔しさを活かしながら練習していこうと思います。
具体的には、構えもそうだし、足を取られてからの処理など、やることはいろいろある。足を取られてからが弱いので、そこからの切り方や返しを練習していきたい。自分の強みである組み手は通用したところもあったので、今後も伸ばしていきたい。(会場に来ていた家族からの激励は)頑張れという言葉とか対戦相手の強いところや、やってくることを教わりました。(3位決定戦の入場時にイラン応援団から声援を受けたことについて)うれしかったです。12月の天皇杯は予定通り行こうと思うけど、(階級の選定は)これから考えようと思います」
■男子フリースタイル97kg級・石黒峻士(新日本プロレス職=初戦で世界選手権での初勝利も、3回戦でイラン選手に敗北)「イランは強いですね。中に入って押された。日本にああいう選手はなかなかいない。ばてました。想定していた圧力とはちょっと違っていた。押しの力は想定の範囲内だったけど、中に入って来られると、いい構えで対抗したつもりでも、浮かせられたり、押し切られたり…。
初戦のウクライナの選手もそんなに弱くはないと思う。自分のレスリングをして勝てたことがすごくうれしい。今回の課題は全力で闘って勝ち切ること。それはできたのかな、と思います。今後はイランのようなタイプにも対抗できるように練習しようと思います」
■女子55kg級・奥野春菜(自衛隊=準決勝でモルドバ選手を4-0で破って決勝進出)「初戦で相手のバッティングを受け、鼻がたぶん折れてしまったと思います。UWWの人に『本当は棄権(ドクターストップ)なんだけど、チャンピオンだから(テーピングを)巻いたら出ていいよ』と言われました。巻いても汗でずれるし、『嫌です』と答えたんですけど、『取れてしまったら、しょうがない』ということで巻いて出ました。
結局、準決勝は(テーピングを)しないで出ました。つけると呼吸もできないし、視界もさえぎられる。耳も聞こえにくくなる。『折れてもいいかな』くらいの気持ちでマットに上がりました。鼻が折れてしまったことはアクシデントなので仕方がない。いい経験だと思って割り切ります。準決勝は相手のパターンに合わせてしまい、なかなかいけなかった」
■女子59kg級・南條早映(東新住建=準々決勝で米国選手に敗れ、敗者復活戦に回れず)「力の差があったと思いました。(途中までリードしていたが)いっぱい、いっぱいでして、自分の攻撃が通用した、というのもなかった。今後のことは、まだちょっと考えていません」