【2023年世界選手権・展望（14）】櫻井つぐみ（育英大）ら3人の世界チャンピオン経験選手が争う…女子57kg級

（2023年9月16～24日、セルビア・ベオグラード）

　世界一を取ったことのある選手が3人エントリーしている階級。2021年に55kg級で、昨年はこの階級で優勝している第3シードの櫻井つぐみ（育英大）は、今年は国際大会を経験することができなかった。しかし、オリンピック・チャンピオン（金城梨紗子）やアジア・チャンピオン（南條早映）のいる中を勝ち抜いた経験があるので、国際大会のブランクはさほど問題にならないだろう。

　2021年大会優勝のヘレン・マルーリス（米国）は、昨年大会の決勝で櫻井に0－3で敗れており、今年2月の「ザグレブ・オープン」（クロアチア）でポーランド選手に、5月のパンアメリカン選手権ではキューバ選手に、それぞれ敗れるなど、全盛期はすぎたかにも思える。しかし、負傷明けに実施された国内最終予選ではパンアメリカン選手権59kg級優勝の選手に快勝して世界選手権代表へ。オリンピック（2016年リオデジャネイロ大会）を制した実力はあなどれまい。第2シードなので、選手交代がなくシード順が変われなければ、櫻井とマルーリスは準決勝で対戦する組み合わせとなる。

▲オリンピック・チャンピオンの実を見せるか、ヘレン・マルーリス（米国）＝2021年世界選手権

　もう一人の世界一経験者は、59kg級で昨年の欧州選手権と世界選手権を制したアナスタシア・ニチタ（モルドバ）。昨年大会の準決勝で元木咲良を破った選手。今年は59kg級で欧州選手権を制した後、7月のハンガリーでの国際大会で57kg級に参戦。U23アジア選手権優勝のホン・ケシン（中国）を破って優勝。この階級でもやれることを示した。階級を変えたのでノーシード。

　第1シードは、昨年3位で今年の欧州選手権優勝のアリナ・フルシナ（ウクライナ）。昨年の大会では櫻井は2－2のラストポイントによって辛勝した相手。その後のU23世界選手権では南條早映が10－0のテクニカルフォールで圧勝している。相性の問題があるのかもしれない。あなどれない相手であることは間違いない。

　東京オリンピックは第2シードで臨んだオデュナヨ・アデクオロイェ（ナイジェリア）は、2019年銀メダル以来の世界選手権のメダル獲得を目指す。オリンピックのあとは59kg級で闘うことが多かったが、昨年のコモンウエルス大会は57kg級で優勝するなど実力はキープ。2021年東京オリンピック決勝で川井梨紗子と闘って銀メダルのイリナ・クラチキナ（AIN＝ベラルーシ）は、ブランクの間、どの程度実力を維持しているか。

シード選手（8月現在＝最終エントリーで変わる場合があります）

No.1 – Alina HRUSHYNA AKOBIIA（ウクライナ）＝2022年世界選手権3位／2023年欧州選手権優勝
No.2 – Helen MAROULIS（米国）＝2022年世界選手権2位
No.3 – 櫻井つぐみ（日本）＝2022年世界選手権優勝
No.4 – Giullia PENALBER（ブラジル）
No.5 – Laylokhon SOBIROVA（ウズベキスタン）＝2023年アジア選手権2位
No.6 – Anhelina LYSAK（ポーランド）＝2022年世界選手権3位
No.7 – Zhala ALIYEVA（アゼルバイジャン）＝2023年欧州選手権2位
No.8 – Luisa VALVERDE（エクアドル）

エントリー選手（8月現在＝最終エントリーで変わる場合があります）

櫻井つぐみ（日本）
Iryna KURACHKINA (AIN)
Olga KHOROSHAVTSEVA (AIN)
Zhala ALIYEVA (AZE)
Giullia PENALBER (BRA)
Evelina NIKOLOVA (BUL)
Hannah TAYLOR (CAN)
Kexin HONG (CHN)
Andrea GONZALEZ (COL)
Luisa VALVERDE (ECU)
Jacqueline HERNANDEZ (ESA)
Graciela SANCHEZ (ESP)
Mathilde RIVIERE (FRA)
Sandra PARUSZEWSKI (GER)
Rckaela AQUINO (GUM)
Ramona GALAMBOS (HUN)
Aurora RUSSO (ITA)
Ainur ASHIMOVA (KAZ)
Mary NALIAKA (KEN)
Kalmira BILIMBEKOVA (KGZ)
Youngjin KWON (KOR)
Anastasia NICHITA (MDA)
Alma VALENCIA (MEX)
Erdenesuvd BAT ERDENE (MGL)
Odunayo ADEKUOROYE (NGR)
Anhelina LYSAK (POL)
Nes RODRIGUEZ (PUR)
Kateryna ZHYDACHEVSKA (ROU)
Marija IGNJATOVIC (SRB)
Evelina HULTHEN (SWE)
Elvira KAMALOGLU (TUR)
Alina HRUSHYNA AKOBIIA (UKR)
Helen MAROULIS (USA)
SARITA (UWW)
Laylokhon SOBIROVA (UZB)
Betzabeth SARCO (VEN)