1月10日(木)からクロアチア・ザグレブで行われる世界レスリング連盟(UWW)のランキング大会「ザグレブ・オープン」に出場する男女3選手が1月8日、成田空港から出発した。女子50kg級の須﨑優衣(キッツ)と同62kg級の元木咲良(育英大)は昨年の優勝に続く参加、男子グレコローマン77kg級の日下尚(三恵海運)は昨年の負傷棄権の雪辱を期す大会となる。
須﨑は「パリ・オリンピックのある2024年の最初の大会。勝負の1年になるので、絶対に優勝して、オリンピック2連覇へ向けていいスタートを切りたい」と言う。向かうところ敵なしの快進撃を続けているが、課題がないわけではない。「世界選手権のあと、取り組んできたことがどこまでできるのか、試せるのが楽しみです」とのテーマを持つ。
「オリンピックに出そうな選手もけっこうエントリーしている。挑戦者の気持ちで闘い、圧勝でしっかり勝ちたい」と、内容にもこだわって挑むことを話した。
元木は「いろいろと試したい」との思いからの出場決意。昨年のこの大会が62kg級での国際戦デビューで、ビリャナ・デュドバ(ブルガリア)やグレース・ブレン(ノルウェー)らの強豪を破って優勝した。しかし、両選手とも元木と同じで59kg級で実績をつくっていた選手。階級アップして日が経った今大会が本当の勝負となるだろう。
何よりも、昨年の世界選手権決勝で苦杯を喫したアイスルー・チニベコワ(キルギス)がエントリーしている。「一番やりたい相手なんですけど…」と前置きしながら、まだいろいろ試す段階だからか、何が何でもこの大会で闘いたい、というわけではなさそう。しかし、反対のブロックになったとしても、お互いに勝ち進めば闘うことになる。その場合は「結果にこだわらず、内容を追求したい」と話し、パリで勝つための闘いを求める。
62kg級の国際大会には「慣れた、とは言いがたい」と言う。「自分のレスリングがどこまで通じるか確かめたい」と話し、自身の実力を見極めることを課題に掲げた。
日下は、昨年の大会は初戦の最中に右ひじを負傷し、途中棄権という苦い思い出がある。今大会に臨むにあたって、「右ひじの魂を拾いに行ってきます」と第一声。昨年のリベンジを果たして、「優勝します」ときっぱり宣言した。
昨年、この大会や7月のドイツ・グランプリなど国際舞台での闘いの経験を生かして世界選手権の銅メダルを手にしただけに、多くの試合をこなして経験を積みたい気持ちは強い。オリンピック・イヤーを迎えて72kg級や82kg級から強豪選手が階級変更しており、よけい、いろんなタイプの選手との闘いを経験したいようだ。
女子の金浜良ヘッドコーチ(サントリー)は「自分の力を出せば2人とも優勝できる。コンディションを整えるサポートをしっかりしたい」と言う。世界チャンピオンとの再戦もありうる元木に対しては、「ここでやっておけば、勝っても負けても次の対策が立てられる。闘っておくことがいい経験になる」と話し、対戦を望んだ。
男子グレコローマンの笹本睦ヘッドコーチ(日本オリンピック委員会)は、ランキング大会であってオリンピックでのシード権との絡みも出てくる大会だが、日下に対しては「経験を積む大会だと思います。自分のレスリングをやって、強化してきたことがどこまで通じるかを試してほしい」と話した。
世界選手権で銅メダルを取った一方で、研究される立場になったのも事実。「周囲からの研究に対して、どう対応するかの大会になる」と話し、オリンピックへ向けての準備のために今大会で多くの経験をしてくれることを望んだ。
1月11日(木)女子50kg級
12日(金)女子62kg級 / 男子グレコローマン77kg級
【女子コーチ】金浜良(サントリー)、志土地翔大(ジェイテクト)
【男子グレコローマン・コーチ】笹本睦(日本オリンピック委員会)
【トレーナー】野呂賢二(JSC)
【選手】
▼女子50kg級 須﨑優衣(キッツ)
▼女子62kg級 元木咲良(育英大)
▼男子グレコローマン77kg級 日下尚(三恵海運)