1958年に創部された国士舘大学レスリング部の創部65周年記念式典と祝賀会が2月17日、東京都内の世田谷キャンパスで行われ、約100人のOB・OGのほか、日本協会や大学レスリング界の関係者が集まり、区切りを祝うとともに、今後の発展を祈念した。国士舘大で鍛えて1988年ソウル・オリンピック王者に輝いた韓明愚・韓国協会副会長も出席した。
記念式典の前に物故者へ黙祷し、朝倉利夫部長が国士舘大以外からも多くの人が出席してくれたことに謝辞を述べ、大澤英雄理事長、佐藤圭一学長があいさつ。
続いて日本協会の富山英明会長が祝辞であいさつに立ち、茨城・土浦日大高校3年生のときの1975年に国士舘大を訪れ、レスリング部の練習を見学した思い出を披露。当時の国士舘大は翌年のモントリオール・オリンピックへ向けて燃えており、同オリンピックには6人が代表へ。伊達治一郎氏が金メダルを取ったほか2選手が銅メダル。そうそうたる顔ぶれの練習を見て、「これが大学のレスリングか!と驚いた。これくらいの練習をやらないと駄目なのか、と気が引き締まった」との記憶を話した。
当時のレスリング場はなくなって物置きになっており(現在のレスリング場は多摩校舎にある)、高層の近代的な校舎が立ち並んで当時の面影はなくなっているものの、「30年ぶりに入ったキャンパス。懐かしいです」と話した。
最近、同大学がやや低迷していることに無念の言葉を述べたあと、「何でも波があるもの。いいときもあれば、悪いときもある。諦めずにやれば、必ず復活する」とエールを送り、伝統を引き継いでくれることを望んだ。
大阪から駆けつけた全日本学生連盟の福田耕治会長は「OB、大学関係者、現役選手が頑張って65周年を迎えられたと思います。65周年の重さは、大学関係者の一人としてよく分かります」と、重みのある歴史を賞賛。
少子化の時代になってレスリング人口が減っていることを指摘した同会長は、「やがて大学に波及してくる。こうしたときだからこそ、私達関係者が支えなければならない。歴史のある国士舘大がその課題を克服し、創部100年、150年を目指して頑張ってほしい」と期待した。
同部初の世界選手権代表でもある岡唯勝氏のあいさつのあと、式典の最後に今年度の目黒優太主将が謝辞と今後の発展への決意を述べたあと、祝賀会へ。そこでは福田富昭・日本協会名誉会長が「実は私も国士舘大からスカウトされ、行くつもりでした」と意外な話を披露。日大が特待生として入学金と授業料の免除を申し出てきて、それを受け入れたそうだ。もしかしたら国士舘大でレスリングをやっていたかもしれないだけに、親しみがあると言う。「オリンピック・チャンピオンが出ているチーム。それを誇りとして、発展につなげてほしい」と激励した。
韓国協会の韓明愚副会長は「50年前、18歳のときに国士舘大に最初に来て、お世話になりました。国士舘大のおかげでオリンピックの金メダルが取れました。感謝します。これからも発展することを願っています」と、日本語であいさつした。
1月1日に発生した能登地震に対し、OB・OG会を代表して箕越秀美会長が義援金を石川・志賀高の山下勝氏(1991年卒)に贈呈。復興を願った。