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2024.03.02

元全日本コーチのセルゲイ・ベログラゾフ氏(ロシア)が3選手とともに来日、国士舘大と自衛隊で練習

 

 1990年代に男子フリースタイルの全日本チーム・コーチを務め、現在は米国ミシガン州在住でサンマリノ選手ほかを指導するセルゲイ・ベログラゾフ・コーチ(ロシア、関連記事が、パリ・オリンピック出場を決めた選手を含む重量級の3選手を連れて来日。2月20日から25日に国士舘大で練習をこなし、そのあと3月2日まで自衛隊で練習を積む。

▲自衛隊の練習に参加したセルゲイ・コーチ(中央)と米国から来日の3選手=提供:国士舘大・和田貴広コーチ

 来日した3選手のうち、オリンピック出場を決めている選手が、米国で生まれ育ったサンマリノ国籍、86kg級のマイルズ・アミン。母の国籍を選択し、2021年東京オリンピック3位へ。昨年の世界選手権でも3位に入賞し、オリンピック連続出場を決めた。今年2月中旬の欧州選手権では2位に入り、パリへ向けて燃えている。

 他に来日したのは、2018・19年に92kg級で世界王者に輝いたジェーデン・コックスと、アレックス・ディエリンジャー。コックスは、左耳の聴力の大部分と右耳の聴力の一部を失っているハンディを乗り越え、ミズーリ大時代の2014~17年に全米大学(NCAA)選手権3度優勝。その間の2016年リオデジャネイロ・オリンピック86kg級で3位に入賞し、そのあと92kg級で世界一に輝いた選手。97kg級でパリ・オリンピックを目指す。

 ディエリンジャーもオクラホマ州立大時代の2014~16年にNCAA選手権を3度制覇し、2019年全米選手権に優勝するなどした。世界選手権の出場はないが、世界レスリング連盟(UWW)のランキング大会を含めたハイレベルの国際大会で数多くの優勝経験を持つ。86kg級で米国のオリンピック国内予選に挑む予定だ。

▲滞在の前半は国士舘大で練習。セルゲイ・コーチ(中央)と右の朝倉利夫部長とは、1987年世界選手権で対戦している。その再現を期待する声もあったが、朝倉部長が辞退=同

「同じ相手や同じタイプの選手とだけ練習していては、実力アップは望めない」

 米国の86・97kg級といえば、ともに世界&オリンピック王者のデービッド・テーラーカイル・スナイダーが頂上に君臨。極めてハイレベルの階級。軽量級の選手が日本の強豪選手を求めて来日するのならともかく、この階級の選手が、なぜ日本なのか?

 セルゲイ・コーチは「同じ相手や同じタイプの選手とだけ練習していては、実力アップは望めない」と言う。また、同じ環境下での練習ではマンネリになってしまう。まったく違う環境のもと、米国選手とは違う体型・スタイルの選手と闘うことも必要と、その効果を説明する。

 2度のオリンピックを含めて世界を8度制した同コーチは、1994~98年に外国人コーチとして日本に滞在。その間、世界トップレベルのテクニックを数多くの選手に伝授し、根性主義が残っていて「スタミナや精神力で勝つ」という風潮のあった日本に、技術を身につけることの重要性を広げた。現在の国士舘大の和田貴広監督に、のちに“ワダ・スペシャル”と名付けられた必殺技を伝授し、1994年アジア大会王者、1995年世界選手権2位に育てた。

▲20数年前のシーンが再現! 国士舘大の和田貴広監督を相手に技術を披露するセルゲイ・コーチ。

 その後、カザフスタンや母国ロシアでコーチを務め、2018年秋からミシガン州の「クリフ・キーン・レスリングクラブ」のコーチへ。そこで前記の選手を指導しており、今回、日本にいたときの教え子である和田監督へ連絡をとって来日。国士舘大で練習したあと、同大学が26日から自衛隊で合宿する予定だったので、帯同して自衛隊で練習を続けている。

どん欲に技術を身につけようとする姿勢がある外国選手

 男子フリースタイル74kg級でパリ・オリンピック代表を内定している高谷大地は、階級は違うものの、思いもかけず世界トップ選手と練習する機会に恵まれた。さすがに通常体重100kgを超えているコックスと組み合うことはないが、86kg級の2選手相手の練習は格好のパワー対策になる。

 「階級は違いますが、世界トップ選手と練習し、行動を見ることで有意義な練習ができています。こうした機会をつくってもらえて、ありがたいです」と感謝。外国選手は短時間に集中して練習するケースが多く、高谷も「そんなに練習しない、というイメージもありましたが、違いますね」と言う。日本選手以上の練習をこなし、「どん欲に技術を身につけようという気持ちを感じます」と、その姿勢から得るものは多かった。

▲セルゲイ・コーチの見守る中、86kg級のマイルズ・アミンと練習する高谷大地

 スパーリングではやられることも多いが、プラスになることも多い。直接練習することのないコックスからも、練習を楽しんでいるふうな前向きな練習姿勢が参考になり、「見ていて楽しくなる。その中でもめりはりをつけていて、そうした練習が強さにつながるのだと思います」と話した。

 86kg級でオリンピック・アジア予選へ挑む石黒隼士にとっても、同じ階級の世界3位の選手は願ってもない練習相手。積極的に挑み、実力アップをはかった。やや張り切りすぎたか、オーバーワークになって29日は軽めの練習となったが、気持ちの盛り上がりという点では、予選へ向けて大きなプラスになったことだろう。

 セルゲイ・コーチは、帯同した3選手だけではなく、自衛隊や国士舘大の日本選手にも、ていねいな指導を展開。和田監督に伝授した“ワダ・スペシャル”も教えるなど、“かつての地”での指導が懐かしそう。来日目的を聞かれて、冗談口調で言って笑った「自分が日本に行きたかったからだよ」という言葉は、100%の冗談ではないようだ。

▲石黒隼士(右)がオリンピック出場を果たせばライバルになる相手。だが、惜しげもなく技術交換をするマイルズ・アミン。中央は自衛隊の乙黒圭祐コーチ

 自衛隊の井上謙二監督は、外国選手の攻撃の瞬発力や防御の粘り強さなどに直接ふれることができ、「だれもが刺激を受けています」と、“思わぬ来客”を歓迎。高谷は4月のアジア選手権には出場せず、国内での練習に集中してオリンピックに挑む予定なので、この機会にしっかりと外国選手との闘い方を学んでくれることを望んだ。

 セルゲイ・コーチからは学生時代(日大)に技術指導を受けており、そのベースをもって2004年アテネ・オリンピックの銅メダルにつなげた。同コーチが日本選手にもていねいに指導してくれるシーンを見て、自らの経験が重なるのだろう、「本当にありがたく、感謝したい」と話し、選手の奮起を期待した。

▲パリ・オリンピック出場を目指すアレックス・デリンジャー。NCAA3度優勝の強豪だ

▲連れてきた選手だけではなく、日本選手にも積極的に指導するセルゲイ・コーチ

▲全体練習終了後も、請われれば技術指導を実施。小川航大(2023年世界選手権61kg級代表)に、和田貴広監督を相手にしてワダ・スペシャルを伝授

 

 

 







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