(2024年5月10日、トルコ・イスタンブール / 取材=布施鋼治)
■男子グレコローマン97kg級・仲里優力(佐賀県スポーツ協会)「2012年ロンドン大会の斎川(哲克)さん以来のグレコローマン90㎏台の代表になって、日本の重量級は世界で勝てない、という流れを止めたかった。悔しいです。世界で闘えるようなパワーを、自分はまだ持ち合わせていなかった。前に出るパワーはあるけれど、相手のパワーを止める力とか、爆発的なパワーが劣っていた。
昨日4試合闘って、ちょっと満足している自分もいました。気持ちの切り替えが足りていなかった。先程の試合(3位決定戦)は、明らかに相手にのまれていた。今回初めてシニアの世界(規模の)大会に出場しましたが、周りはみんな僕を知らないので、うまくいっていた面があったと思います。昨日、(途中から)自分の技をみんなすごく警戒していた。徹底して対策されていて、今日も警戒されて自分のいいところを出せずにそのままの流れで終わってしまった。
でも、悔いは残らなかったです。最後はパパパッと終わってしまったけど、自分の実力はこれだったんだな、と思いました。重量級に関していえば、僕も奥村も希望の光になったんじゃないですかね。あきらめている重量級選手が多いですから」
■男子グレコローマン130kg級・奥村総太(自衛隊)「オリンピックのかかった大会なので緊張感を持って挑みました。正直、世界で勝てるとは思っていなかったので、アジア予選が終わったときに、終わったなぁ、という気持ちがあった。世界に出るなら、ひとつ勝てればいいかな、ということを目標にやっていました。ひとつは勝ち、敗者復活戦でも勝てました。(敗者復活戦は)相手の張り手をけっこう食らってしまいましたけど(苦笑)。
全体を振り返ってみたら,自分のレスリングが海外でも通用するようになっている実感がありました。悔しい気持ちもあるけど、この大会は(その面で)よかったかなと思います。(最後の試合について)相手はレジェンドなので、胸を借りるつもりでいきました。年の功の分だけ相手がうまくて、グラウンド技で終わってしまい、課題の部分が明白になりました。そこに取り組んでいかないといけない。
今回は卑屈にならないで試合ができたことも大きかった。『(外国選手に比べると)小さいから何なんだよ』みたいな。体格的なことを気にせずにやっていけた感じがします。世界で闘っていくためには、グラウンドの守りも重要。その一方で、グラウンドの攻めも重要。そのふたつを強化したい。今回はスタンドでの押しだったり、組み手だったりの部分が通用したという実感がある。そこを重点的に伸ばしたい。ロサンゼルス・オリンピックを狙います」