6月6日(木)~9日(日)にハンガリー・ブダペストで行われる世界レスリング連盟(UWW)のランキング大会「イムレ・ポリヤク&ヤノス・バルガ国際大会」に出場する男子グレコローマン67kg級の曽我部京太郎(ALSOK)と77kg級の日下尚(三恵海運)が6月4日、成田空港から出発した。
昨年秋にオリンピック出場枠を取った日下は、ドイツのブンデスリーガへの参加を含めれば4回目の国際大会。本番前の最後の実戦練習となるが、この間に72・77・82kg級の現前・世界王者を破っており、“世界王者キラー”としてマークされることは間違いない。
しかし、だからといってどう、ということは何もない。今回の成績次第では、現在3位のランキングが1位に上がってオリンピックの第1シード権を取れる可能性もあり、全力で闘うのみ。「世界王者3人を破って勢いはできたかな、と思います。勢いを使って闘い、周囲に嫌な印象を与え、海外でしか得られない収穫を得てきたい」と話す。
1月の「ザグレブ・オープン」(クロアチア)でテクニカルスペリオリティ負けしたゾルタン・レバイ(ハンガリー)が世界最終予選で出場枠を取り、この大会にも出てくる。ザグレブでは、試合のあと日本のアニメ「呪術廻戦」に出てくる領域展開のポーズをされたと言う。「日本選手相手に、日本のアニメのポーズをされてはたまらない。今度は勝って、自分がポーズをしてきます」とリベンジを誓った。
エントリーの中には、昨年の世界選手権での曽我部の試合中にペットボトル投げ入れで試合を邪魔し、出場停止の処分を受けているモハマダリ・ゲラエイ(イラン)の名前もあった(関連記事)。間違いなのか、処分が短縮されたのか分からないが、日下が世界選手権で勝った相手であり、今回も闘う気は十分。闘うことになったら、「チーム四国の弟分(曽我部)の試合を邪魔したヤツをぶっ倒してきます。正義を見せてやります」と気合を入れた。
曽我部は4月のパリ・オリンピック・アジア予選で出場枠を取った。勝つことが何よりも大事な予選と違い、いろいろ試す実戦と思われたが、「優勝が大前提」ときっぱり。その中で、「いま取り組んでいることを確認したい。オリンピックに出場する選手も多く出ているので、分析もしたい」と言う。
世界王者のルイス・オルタ・サンチェス(キューバ)もエントリーしており、「肌で強さを感じてみたい」と話す。世界選手権でアクシデント(前述)はあったものの、負けてしまったモハマドレザ・ゲラエイ(イラン)へのリベンジの気持ちも十分だ。
笹本睦コーチ(日本オリンピック委員会)は「日下は研究される側になった。外国がどの程度研究して対策を立てているかを見極め、対応を考えたい。(アジア予選で出場枠を取った)曽我部はヨーロッパの強い選手とどこまでできるかを見てきたい」と言う。「ある程度手の内を隠すか?」という問いに、「隠しようがないでしょ。ありのままを出させます」と苦笑い。
大会のあと、ハンガリーに残って地元選手ほかとの合宿に参加する予定で、「リフト技など日本ではなかなか経験できない攻防をしっかり強化してきたい」と話した。
男子フリースタイルの選手は、すでに現地入りしている。
6月6日(木) 男子フリースタイル57・61・65・70・79・97・125kg級
7日(金) 男子フリースタイル74・86・92kg級/女子50・53・57・59・72kg級
8日(土) 女子 55・62・65・68・76kg級/男子グレコローマン60・63・130kg級
9日(日) 男子グレコローマン55・67・72・77・82・87・97kg級)
※いずれも1日で1回戦~決勝を実施
【男子フリースタイル・コーチ】湯元進一(自衛隊)、湯元健一(日体大教)
【男子グレコローマン・コーチ】笹本睦(日本オリンピック委員会)
【トレーナー】野呂賢二(JSC業務委託)、【帯同審判員】本田原明(自衛隊)
【男子フリースタイル選手】
▼57kg級 樋口黎(ミキハウス)
▼65kg級 清岡幸大郎(三恵海運)
▼86kg級 石黒隼士(自衛隊)
【男子グレコローマン選手】
▼67kg級 曽我部京太郎(ALSOK)
▼77kg級 日下尚(三恵海運)