【日本代表】 尾﨑野乃香(慶大) 《略歴》 《JWFデータベース》 《UWWデータベース》 《国際大会成績》 |
2023年世界女王 | エントリー選手 | |
昨年、初の世界一に輝いたブセ・トスン(トルコ)、72kg級で2022・23年に世界一になったアミート・エロル(米国)、62・65kg級で2年連続世界一の尾﨑野乃香(慶大)と、3人の現役世界チャンピオンがそろった階級。昨年の世界選手権の2~3位の3選手もいる。最後に手が上がるのは、だれか。
72kg級と68kg級を行ったり来たりしていたトスンは、さほど目立った選手ではなかったが、2023年欧州選手権72kg級2位を経て、同年の世界選手権で優勝。前年世界2位の石井亜海をテクニカルスペリオリティで破って波に乗った。この優勝が自信となったのか、今年2月の欧州選手権と6月のUWWランキング大会で連続優勝と好調。
同国の76kg級に2022年世界チャンピオンのヤセミン・アダーがいて、競い合えるのも強みだ。
エロルと尾﨑は、68kg級での国際大会の経験が少ないので、未知数の部分が多い。尾﨑は今年4月のアジア選手権で、世界選手権2位のデルゲルマン・エンフサイハン(モンゴル)にテクニカルスペリオリティで勝っている。エロルは国内予選で世界5位のエンマ・ブルンティルに2連勝し、パンアメリカン予選も勝ち抜いての代表権獲得。
ともに、この階級でも世界トップレベルにいるのは間違いないが、欧州の選手との試合がどうか。やってみなければ分からないのが現状だ。エロルは2022年世界選手権72kg級の2回戦でトスンと闘い、フォール勝ちしている。一方、シニア68kg級での初の大会となった今年4月のパンアメリカン予選では、ブラジルの選手に開始30秒、四つ組みからのそり投げを受けて4点を先制されている。つけいる隙はあるはずだ。
2人に共通するのが、オリンピックで勝てば須﨑優衣に続く「世界のグランドスラム」(4世代の世界チャンピオン+オリンピック優勝)を達成すること(関連記事)。お互いにノーシードなので、闘うとしたら、どのラウンドになるか分からないが、意地と意地がぶつかりあう闘いとなることは必至だ。
エロルが優勝すれば、「20歳7ヶ月」での優勝となり、2016年リオデジャネイロ大会でカイル・スナイダー(男子フリースタイル97kg級)が記録した「20歳9ヶ月」の米国最年少のオリンピック・チャンピオンを更新する。
世界2位のエンフサイハン(前述)、同3位のクンバ・ラロック(フランス)とイリナ・リンガシ(モルドバ)、2021年世界選手権優勝のメーリム・ジュマナザロワ(キルギス)も、優勝候補の一角を占めるだろう。ラロックは2021年U23世界選手権で優勝しており、女子レスリング発祥国フランスの意地をかけて挑んでくるはず。リンガシも2021年に20歳で65kg級世界チャンピオンとなり、昨年もU23世界選手権65kg級を制している。
だが、よりマークするとしたら、アジア予選を勝ち抜いたパク・ソルグム(北朝鮮)であり、世界最終予選を勝ち抜いたキャリアのあるゾウ・フェン(中国=周鳳)だ。
パク・ソルグムは予選の初戦でニシャ・ダヒヤ(インド)に不覚を喫しながら、ノルディック方式に助けられ、2021年世界チャンピオンのジュマナザロワ(キルギス=前述)とアジア大会優勝のゾウ・フェン(中国=前述)を破っての代表権獲得。
昨年のアジア大会・女子で北朝鮮の旋風が吹き荒れたのは記憶に新しく、62kg級に出場した尾﨑もムン・ヒョンギョンに敗れた。パク・ソルグムはアジア予選以外の情報が全くないだけに、試合展開が読みづらい。2005年11月2日生まれの18歳。若いゆえに、ここ数ヶ月で大きく成長している可能性もある。
ゾウ・フェン(中国=前述)はパク・ソルグムに敗れてアジア予選を勝ち抜けなかったが、世界予選をしっかり勝って3度目のオリンピック出場。今年1月の「ザグレブ・オープン」(クロアチア)では世界チャンピオンのトスン(前述)にテクニカルスペリオリティ勝ちしての優勝。あなどれない存在となる。
アジア予選でパク・ソルグム(前述)を破ったニシャ・ダヒヤ(インド=前述)は、くじ運に恵まれての世界予選通過の面もあるが、躍進しているインドの選手として注意が必要。
2021年東京オリンピックの決勝で敗れたブレッシング・オボルデュデュ(ナイジェリア)は、アフリカ女子初のオリンピック・チャンピオンを目指す。ただ、2021年からの世界選手権は8位、15位、13位で、ピークは過ぎているか。
Enkhsaikhan, Delgermann(モンゴル) | |||||
2024年 | アジア選手権 | ○ | VSU、1:27=10-0 | ● | Enkhsaikhan, Delgermann |
・2022年世界選手権72kg級を「18歳9ヶ月」で制覇=男女を通じた米国の最年少世界チャンピオン(従来は2014年に男子フリースタイル97kg級を制したカイル・スナイダーの「19歳9ヶ月」)=米国協会調べ、以下同じ
・10代で2度のシニア世界チャンピオン=男女を通じて米国初
・2022年にU20・U23・シニアの世界選手権制覇=男女を通じて米国初
・2023年も3世代の世界選手権を制し、2年連続で同一年の世界3代タイトル獲得=男女を通じて米国初
・10代にして4世代の世界選手権制覇=男女を通じて米国初
(2021年カデット・ジュニア/2022年シニア・U23)
・4世代で8度の世界一=男女を通じて米国初
(2021年カデット・ジュニア/2022年ジュニア・シニア・U23/2023年U20・シニア・U23)
(注)「カデット」「ジュニア」は、2022年から「U17」「U20」に変更されています
※国際大会の成績は40勝1敗(2019年世界カデット選手権準決勝で中井ほのかに1-3で黒星)
※最も僅差だった試合は、2022年世界選手権での古市雅子戦で3-2
※最もポイントを取られたのが、今年2月のパンアメリカン大会予選のタミレス・マルチンズ(ブラジル)戦。4点を先制された(最後は10-4の勝利)。
《アミート・エロルの国際大会40勝1敗》
【2024年パリ・オリンピック・パンアメリカン予選】=優勝(9選手出場)
準決勝 ○[10-4]Martins Machado, Thamires(ブラジル) ※決勝は実施せず
2回戦 ○[VSU、3:52=12-1]Sterling Martinez, Brenda Elizabeth(キューバ)
1回戦 BYE
【2023年U23世界選手権(72 kg級)】=優勝(14選手出場)
決 勝 ○[VSU、0:21=10-0]Jyoti Berwal(インド)
準決勝 ○[5-0]Wiktoria Choluj(ポーランド)
2回戦 ○[フォール、0:18=4-0]Viktoryia Radzkova(AIN)
1回戦 ○[フォール、0:18=4-0]Zaineb Sghaier(チュニジア)
【2023年シニア世界選手権(72 kg級)】=優勝(18選手出場)
決 勝 ○[8-2]Davaanasan Ankh Amar(モンゴル)
準決勝 ○[VSU、5:24=12-2]Kendra Dacher(フランス)
3回戦 ○[6-0]森川美和(日本)
2回戦 ○[7-0]Nesrin Bas(トルコ)
1回戦 BYE
【2023年U20世界選手権(72 kg級)】=優勝(18選手出場)
決 勝 ○[VSU、1:46=11-0]Bukrenaz Sert(トルコ)
準決勝 ○[VSU、4:30=10-0]藤倉優花(日本)
2回戦 ○[フォール、1:40=5-0]Patrycja Cuber(ポーランド)
1回戦 ○[VSU、0:18=10-0]Tastanbek Shamshiyabanu(カザフスタン)
【2023年パンアメリカン選手権(72kg級)】=優勝(5選手出場)
リーグ戦5回戦 BYE
リーグ戦4回戦 ○[VSU、1:31=10-0] Diaz Martinez, Isidora Romina Manuela(チリ)
リーグ戦3回戦 ○[VSU、2:26=10-0]Mosquera Parra, Luisa Fernanda(コロンビア)
リーグ戦2回戦 ○[VSU、2:19=10-0]Charamba Santos Hora, Meiriele(ブラジル)
リーグ戦1回戦 ○[フォール、1:49=6-0] Mulkay, Katie Nichole(カナダ)
【2022年ワールドカップ(団体戦=72kg級)】
予選1回戦 ○[5-0]Qiandegenchagan(中国)
【2022年U23世界選手権(72 kg級)】=優勝(11選手出場)
決 勝 ○[VSU、4:12=11-0]Wiktoria Chołuj(ポーランド)
準決勝 ○[フォール、0:34=4-0]Larisa Nițu(ルーマニア)
1回戦 ○[フォール、5:30=13-2]Kendra Dacher(フランス)
【2022年シニア世界選手権(72 kg級)】=優勝(15選手出場)
決 勝 ○[VSU、1:12=10-0]Zhamila Bakbergenova(カザフスタン)
準決勝 ○[3-2]古市雅子(日本)
2回戦 ○[フォール、0:39=4-0]Buse Tosun(トルコ)
1回戦 ○[VSU、1:45=10-0]Anastasiya Alpyeyeva(ウクライナ)
【2022年U20世界選手権(72 kg級)】=優勝(12選手出場)
決 勝 ○[VSU、2:07=10-0]Anastassiya Panassovich(カザフスタン)
準決勝 ○[VSU、2:22=12-1]Reetika Reetika(インド)
2回戦 ○[VSU、1:45=10-0]Zsofia Virag(ハンガリー)
1回戦 ○[フォール、1:34=9-0]Zaineb Sghaier(チュニジア)
【2021年ジュニア(現U20)世界選手権(68 kg級)】=優勝(8選手出場)
決 勝 ○[VSU、1:50=10-0]Elizaveta Petliakova(ロシア)
準決勝 ○[VSU、1:24=11-0]Molnar Zsuzsanna(スロバキア)
1回戦 ○[VSU、2:11=10-0]Arju Arju(インド)
【2021年カデット(現U17)世界選手権(69 kg級)】=優勝(14選手出場)
決 勝 ○[フォール、1:55=10-0]Yevhenii Siedykh(ウクライナ)
準決勝 ○[フォール、0:54=12-0]Viktoryia Radzkova(ベラルーシ)
2回戦 ○[VSU、0:50=10-0]Barbara Sere(ルーマニア)
1回戦 BYE
【2019年カデット(現U17)世界選手権(69kg級)】=3位(18選手出場)
3決戦 ○[VSU、1:43=10-0]Sghaier, Zaineb(チュニジア)
準決勝 ●[1-3]中井ほのか(日本)
3回戦 ○[VSU、1:31=10-0]Ujfalvi, Lili(ハンガリー)
2回戦 ○[VSU、2:00=12-0]Pok, Karolina(ウクライナ)
1回戦 BYE
【2018年U15パンアメリカン選手権(66kg級)】.=優勝(2選手出場)
決 勝 ○[ ? ]Ortega Munoz, Jezabel(メキシコ)