タイ・シラチャで行われている2024年U20アジア選手権に出場した男子グレコローマン・チームが7月22日、羽田空港に帰国した。「金1・銅2」を獲得して国別対抗得点は5位。昨年の「メダルなし・国別対抗得点8位」を上回る成績を挙げた。ここ数年間は「6位の壁」を破れていなかった。
藤村義コーチ(自衛隊)は、何度か若い世代の遠征に帯同しており、そのたびに「メダルの数はあまり重要視していない。この年代の選手に大切なのは経験」と話し、日本では本格的にグレコローマンに取り組むのが高校生以降であるため結果よりも経験を求めていた。今回は「これまでで一番いい成績でしたね。60kg級の五味(虹登)選手は圧倒的な勝利でした」と、好成績を喜んだ。
3位決定戦で敗れてメダルは逃したが72kg級の曽我部凜太郎(日体大)などは「この世代の選手ではなかなかできていない細かい組み手がしっかりできていた。差して前に出る、というグレコローマンの基礎的な動きがしっかりしていた」と評価し、日本のグレコローマンが少しずつ進歩していることを感じた様子。U15世代のグレコローマンのスタートによって、もっと発展すると予想する。
今回出場した選手はJOCジュニアオリンピック2位の選手。チャンピオンが出場する世界選手権(9月2~8日、スペイン・ポンテベドラ)は、グレコローマンの本場の欧州選手が出てくるが、「期待できると思います」と、さらなる日本グレコローマンの飛躍を望んだ。
60kg級で3試合を無失点で勝ち抜いて優勝した五味虹登(育英大)は「優勝するために行ったので、目標を達成できてよかた」と第一声。 3試合を通じて、必ずしも「自分の思ったレスリングばかりではなかった」とも言う。それでも勝てたのは、いろいろな技を練習して習得中で、「少しずつ(全体の)レベルが上がっているからかな、と思います」と分析した。
昨年はU20世界選手権に出場しており、本来なら今年も世界選手権に出場するべき選手。それを問われると、「そうですね」と苦笑い。勝って当たり前の大会、という声を否定しなかった。昨年の経験があるからか、マットに上がっても「そんなに緊張はしなかった」そうだが、どんな大会であっても、優勝には喜びが伴う。「うれしいことは、うれしいです」と金メダルを持っての帰国を振り返った。
このあとは、8月下旬の全日本学生選手権(インカレ)を含め、「大学の大会は全部勝ちたい」と気を引き締めた。
■63kg級3位・屶網剣勝(拓大)「初の国際大会で銅メダルを取れたことはうれしい。体調はあまりよくなく、本来の自分の動きができなかったのが、準決勝の負けにつながった部分はあります。本来の動きができれば、負ける相手ではなかったかな、とは思います。メダルは何とか持って帰りたかったので、気合を入れ直して3位決定戦は頑張りました。この試合だけが、自分の思い通りに動けた試合で、反省点です。初の国際大会という緊張もありました。このあとは、去年3位だったインカレで優勝できるように頑張りたい」
■67kg級3位・鈴木飛来(育英大)「優勝を目指して行ったので、悔しい気持ちはありますが、メダルを取れて最低限度の成績だったのでホッとしている気持ちもあります。国際大会ということで緊張して体があまり動かず、勝った試合でも自分のレスリングはできませんでした。負けた試合は、自分の攻めの体勢が崩れ、相手に乗られた形になってしまいました。そうした場面でしっかりと取り切る体の使い方が今後の課題。きちんと修正したい。次はインカレです。優勝できるように頑張りたい」