7月20日からタイ・シラチャで行われているU20アジア選手権に出場した女子チームが7月23日、羽田空港に帰国した。昨年と同じ3階級を制したものの、銀メダルの数で及ばず、国別対抗得点で3位。再出発へ向かわねばならない結果となった。
工藤佳代子コーチ(自衛隊)は、先だって行われたU15アジア選手権から引き続いての参加。「U15のレベルの高さにびっくり」という衝撃を受けてのU20の試合だった。U15でのインドとの直接対戦は日本が6勝4敗と勝ち越したが、U20では3勝4敗。U15の日本代表選手は自信をもってマットに上がっていたのに対し、U20で負けてしまった選手は「自信を持っていないように見えた」と言う。負けた選手は「この悔しさを持ち帰って所属で練習に役立ててほしい」と望んだ。
両世代とも国別対抗得点はインドの優勝だった。自身の現役のときからインド選手はやりづらさのある選手がいたそうだが、今は特定の選手ではなく「平均して強くなっている」という感触。日本の重量級選手はデフェンスが弱かったそうで、「そこを克服すれば上回ることは可能」と分析した。この世代は、10代中盤の伸び盛りの時期をコロナで練習と試合環境が奪われた選手たち。「そこから再スタートして頑張ってきた。これからが勝負」と、選手の今後の頑張りを望んだ。
2年連続優勝を達成した59kg級の山下叶夢(東洋大)は「うれしいですけど、世界選手権じゃないんだな…、という気持ちの方が強いです」と、アジアの2連覇では満足度は今ひとつ。
4試合中3試合が無失点で、ポイントを取られた試合もテクニカルスペリオリティで快勝続きとも思えるが、「内容は、1試合、1試合が本当にきつくて、たまたま勝てた、という部分が多いです。確実にポイントを取りにいけるように練習していきたい」と言う。
全日本選手権で勝って、世界のタイトルを目指すことを今後の目標に掲げたあと、「四国の勢いが強いので、(香川県出身として)それに乗っかりたい」と、パリ・オリンピックに4選手を送る四国のパワーをエネルギーにしての飛躍を誓った。
■50kg級優勝・小川凜佳(岐阜・中京高)「反省点の方が多いです。準決勝、決勝で接戦になってしまいました。準決勝では先制点を取ったのに、そのあとの攻撃がうまくいかず、ぎりぎりの試合へ。決勝は、相手のペースにのまれてしまいました。次の大会のインターハイまでに課題を克服して優勝したい。(昨年はU17世界選手権で優勝だが)カテゴリーが違うので、海外の選手の体格も力も上になっていました。それでも、ポイントを取らせないように闘ったのがよかったです」
■65kg級優勝・北出桃子(至学館大)「うれしいですけど、去年は世界選手権に出られたのに対し、アジア選手権ということに悔いが残ります。2試合目に1点取られただけで、その試合もテクりましたけど(テクニカルスペリオリティ勝ち)、自分から攻めることがあまりできませんでした。でも、決勝はカウンター攻撃がうまく決まったので、よかったかな、と思います。次はインカレ優勝が目標。来年はU20世界選手権で勝てるように頑張りたい」
■55kg級2位・澤谷ゆな(育英大)「初めての国際大会でメダルを取れたのはうれしいのですけど、優勝を目指していたので、とても悔しいです。決勝(インド戦)は、相手に合わせた部分と、ポイントを取って守りに入ってしまった部分とがありました。得意なプレッシャーをかけるレスリングを出したかった。インド選手に対する怖さはありましたけど、絶対に勝つ、という気持ちは持っていました。1大会ごとに頑張って、来年は世界選手権でのメダルを取りたい」
■53kg級3位・本原理紗(千葉・日体大柏高)「初めての国際大会で緊張してしまいました。メダルが取れてよかった、という気持ちと、負けて悔しい、という気持ちがあります。負けた相手の中国選手は力があって、海外選手の強さを感じました。ただ、気持ち的に負けていることはなかったです。3位決定戦は、何が何でもメダルを取る、という気持ちで闘い、満足いく試合内容でした。1週間後にインターハイがあるので、気を引き締めて頑張っていきたい」