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2024.07.26

2024年パリ・オリンピック/男子フリースタイル65kg級展望(8月10・11日実施)

【日本代表】
清岡 幸大郎(三恵海運)

《略歴》
《JWFデータベース》

《UWWデータベース》
《国際大会成績》
サモア代表 2023年世界王者
エントリー選手

【サモア代表】赤澤岳=《略歴》《JWFデータベース》《UWWデータベース》


世界チャンピオン経験者が4人

 61・70kg級を含めて世界チャンピオン経験者が4人いる階級。4人とも実力をキープしているので、優勝候補と考えられる。もちろん、6月のランキング大会で現役世界王者を破った清岡幸大郎(三恵海運)や、昨年のアジア大会で2022年世界王者を破ったツルガ・ツムルオチル(モンゴル)も同程度の実力と考えられ、ハイレベルでの激しい闘いが展開されそう。

 昨年の世界選手権を制したのイスマイル・ムスカエフ(ハンガリー)は、今年2月の欧州選手権は70kg級に出場して3位。6月のランキング大会は清岡に敗れて5位(前述)。2022年世界王者のラフマン・アモウザドハリリ(イラン)は、アジア大会でツルガ・ツムルオチル(前述=モンゴル)に敗れたが、今年4月のアジア選手権でリベンジ。6月のランキング大会は70kg級でジョージア選手に完敗した。ともに、どう仕上げてくるか。お互いに勝ち上がれば準決勝で対戦する。

▲ハンガリーのフリースタイルでは1948年以来のオリンピック王者を目指すイスマイル・ムスカエフ=2023年世界選手権

リオ3位、東京2位のハジ・アリエフ(アゼルバイジャン)、パリは?

 61kg級で3度世界王者に輝いているハジ・アリエフ(アゼルバイジャン)は、2021年東京オリンピック決勝の乙黒拓斗の相手。その後の世界選手権は2022年5位、2023年は8位と、この階級での世界一はないが、2023年欧州選手権70kg級優勝など実力は十分。2016年リオデジャネイロ大会57kg級3位、東京大会2位ときて、パリで最高のメダルを目指す。

▲3度目のオリンピック出場のハジ・アリエフ(アゼルバイジャン)。3位、2位ときて、パリは?

 世界最終予選で3位となって出場権を獲得したゼイン・レザフォード(米国)は、昨年の世界選手権70kg級の王者。米国ペンシルベニア州立大時代に全米大学(NCAA)選手権を3度制し、最優秀選手に授与されるダン・ホッジ・トロフィーを2度受賞した強豪。2022年世界選手権70kg級決勝では成國大志に完敗しているが、カレッジスタイルからフリースタイルへ移行してキャリアを積み、世界一を経験した現在は、そのとき以上の強さがあると考えられる。

 昨年の世界選手権で2位に躍進して第4シードとなったセバスチャン・リベラ(プエルトリコ)は、米国育ちで、ラトガース大、途中から転校したノースウエスタン大時代には全米大学(NCAA)選手権で2度2位の成績。米国国籍での国際大会出場の経験もある。卒業後は出生地のプエルトリコ国籍で活動。世界選手権は2021年から順に7位、5位、2位と順位を上げている。昨年の決勝はムスカエフ(前述=ハンガリー)にテクニカルスペリオリティで敗れているとはいえ、成長途上の選手だけに注意するべき存在だ。

急成長のバズゲン・テバニャン(アルメニア)

 第1シードとなったバズゲン・テバニャン(アルメニア)は、2022年U23世界選手権優勝を経て昨年の世界選手権は3位の成長株。今年1月の「ザグレブ・オープン」(クロアチア)ではラフマン・アモウザドハリリ(前述=イラン)を破っており、6月のランキング大会は70kg級で2位と実力をつけている。

▲激戦階級の第1シードとなったバズゲン・テバニャン(アルメニア)。同国フリースタイル初のオリンピック王者を目指す=UWWサイトより

 ツルガ・ツムルオチル(モンゴル)は、アジア大会優勝などの実力者。モンゴルの国内予選で敗れて、いったんはパリの道が途絶えたが、アジア予選でモンゴル代表が出場枠獲得に失敗。代わって出た世界最終予選で出場枠を取った。あきらめかけたパリ出場を取り戻し、どんな闘いを展開するか。

 今年の欧州選手権優勝のイスラム・デュダエフ(アルバニア)、昨年の世界選手権5位のマキシム・サクルタン(モルドバ)、欧州予選を勝ち抜いたゴデルジ・ジェビサシビリ(ジョージア)らが、どこまでやるか。

 清岡幸大郎(三恵海運)は、世界大会には初出場だが、東京オリンピック王者の乙黒拓斗を破っての日本代表であり、6月のランキング大会で世界王者を破ったことで、マークされる存在となっていることは間違いない。他国からの研究を上回る強さを見せたいところ。サモア代表として出場する赤澤岳(埼玉・埼玉徳栄高~日大卒)は、アフリカ&オセアニア予選で負った負傷の回復次第と言えよう。ロシアで鍛えた実力をもって、上位を目指したい。

 ノーシードの清岡やゼイン・レザフォード(米国)が、どこに割り振られるかによっても結果が変わってくるだろう。大接戦が予想される階級だ。


清岡幸大郎とエントリー選手の対戦成績

Musukaev, Ismail(ハンガリー)
2024年 I・ポリヤク&J・バルガ大会 7-2 Musukaev, Ismail
Aliev, Haji(アゼルバイジャン)
2024年 I・ポリヤク&J・バルガ大会 2-5 Aliev, Haji
Dudaev, Islam(アルバニア)
2023年 D・コロフ&N・ペトロフ大会 7-6 Dudaev, Islam
Gomez, Austin Klee(メキシコ)
2024年 I・ポリヤク&J・バルガ大会 12-6 Gomez, Austin Klee






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