昨年の世界選手権の決勝を争い、アリ・ジェンギズ(トルコ)がダビッド・ロソンツィ(ハンガリー)を破った試合は、世界レスリング連盟(UWW)が著しい誤審を認め、両者優勝に変更された。第1シードと第2シードに分かれたので、両者が闘うとしたら決勝。今度は明白な白黒が望まれる。
2021年東京オリンピック優勝のジャン・ベレニュク(ウクライナ)は、昨年の世界選手権は3位、今年の欧州選手権3位と、世界一を目指せる位置をキープ。戦禍のウクライナに朗報を届けたいところ。優勝すれば、ウクライナ・レスリングで初のオリンピック2度優勝となる。
世界最終予選を通過したラフィク・フセイノフ(アゼルバイジャン)は、2021年と昨年の世界選手権82kg級のチャンピオン。2021年東京オリンピックは77kg級に階級ダウンして3位。今回は階級を上げて出場枠を取った。2階級にわたってのメダル獲得、さらには金メダル獲得なるか。
AIN選手の出場可否にからんで世界最終予選4位ながら、繰り上げで出場が決まったラシャ・ゴバゼ(ジョージア)は2019年の82kg級世界チャンピオン。東京オリンピックは87kg級に上げて出場し(11位)、2021年世界選手権3位、2023年欧州選手権3位と、この階級でもある程度の成績を残している。
以上、だれが優勝してもおかしくない5人の世界王者経験者に加え、今年の欧州選手権でベレニュクを破ったアレクサンダー・コマロフ(セルビア)の台頭も見逃せない。同選手権で優勝し、欧州予選を通過、6月の「ピトラシンスキ国際大会」(ポーランド)でも優勝と好調。ロシア国籍時代の2021年にU23世界選手権を制しており、どこまで伸びているか。
昨年の世界選手権3位のセメン・ノビコフ(ブルガリア)、アジア予選を通過した2023年世界選手権82kg級2位のアリレザ・モフマディピアニ(イラン)、2023年世界選手権5位のヌルスルタン・ツルシノフ(カザフスタン)らが、上位選手を倒して優勝争いに浮上するか。