――女性審判員の数も増えていますね。控えも含めて7人が全員女性、というマットもありました。
桑田 日本レスリング界にとって、女性審判員の育成は大きな課題です。昨年12月には、世界レスリング連盟(UWW)の審判インストラクターである小池邦徳審判員のもとで講習会を実施しています。このマットで育った女性審判員が、若い女性審判員を育て、いずれは男女同数にしたい。多くの大会を経験して、将来は日本協会の公認審判員になってくれる人が増える形が理想です。
――今大会の男女比率は、約7:3(32人:13人)でした。
桑田 審判員だけではなく、連盟の理事も、5:5が目標です。女性審判員、役員の積極的な参加を期待します。
――今後の開催地の方向性はいかがでしょうか。
桑田 代々木第1体育館を小学生で使っている競技は、レスリング以外はないそうです。ここは、高校野球で言えば甲子園なわけで、キッズ・レスリングの聖地にしたいという気持ちがあります。参加の利便性を考えた場合、東京開催を中心としたいと思っています。ただ、昨年四日市でやったように、地方で開催しない、というわけではありません。予算が確保されて、きちんとした準備のできる組織(都道府県協会など)が手を挙げてくれれば、考えてはいきます。
――今年の参加料は6,500円で、保護者やクラブ関係者から悲鳴も聞こえました。
桑田 6,500円のうち、500円は日本協会への登録費なので、参加料は6,000円です。基準となったのは、日本協会の他の傘下連盟主管の大会です。JOCジュニアオリンピックが6,000円でやることになり、3月の日本協会の理事会で「傘下連盟でばらばらなのは、おかしい」という話になり、6,000円でそろえることになりました。
――2022年までは4,000円(+登録費500円)、昨年は4,500円(+登録費500円)。4,000円という時期が長かったので、一気に上がった、という印象はあるかと思います。
桑田 傘下連盟で足並みをそろえることと、すべての物価が上がっているので、ご理解をお願いしたい。体育館の使用料以外にも数多くの経費がかかります。冷房は1時間45,000円なので、前日の準備を含めると4日間で200万円近くかかります。開会式では、ビジョンを使ってオリンピック代表選手からの激励メッセージを流しましたが、これも使用料と技術者への必要経費で約50万円、ネット中継で約100万円、それぞれかかります。
――東京のホテル代も高くなっているので、審判員やスタッフの宿泊代などの経費も上がっているのでは?
桑田 昨年までは、試合のあとはリラックスできるようにとシングル部屋でした。今年はツインの部屋でお願いし、経費削減の努力もしています。ホテルは、早く予約すれば手頃なホテルを予約できるので、選手の家族や監督・コーチのためにも、次回大会の開催期日と場所はできるだけ早く知らせるようにしたい。いろいろな努力をしていることを、ぜひとも理解していただきたいと思います。
――かなり以前から連盟が全力を挙げて取り組んできたマナーについて、今回の大会はいかがでしたでしょうか。
桑田 すべてがうまくいっている、とは言い切れませんが、ゴミが残されているケースは圧倒的に少なくなりました。以前はペットボトルの置き去りが目につきました。開会式でクールチョイス(温暖化防止のための方策)宣言をしましたが、マイボトルを持ってくる家族も多くなり、ゴミを出さないという意識は高まっていると思います。環境保全に関する標語コンテストを実施し、環境に対する意識を高めています。
――マナー面では、以前よりも格段に改善されている、ということですね。
桑田 試合前のウォーミングアップ時に、壁コンセントにつながれている電源コードを勝手に取り外し、スマホを充電していたケースがありました。これにより、そこから繋がれていたモニター、パソコン、配信の電源が全て落ちてしまいました。試合進行に影響が出るところでした。電源の無断使用の禁止を徹底しないと、同じケースが起き、試合開始が遅れることもあるでしょう。終了時間も遅れ、帰りの電車や飛行機に乗れない場合も出てきます。大会に参加している人間だけでなく、全国で中継を待っている人にも迷惑をかけるわけです。禁止事項として明文化されています。来年以降、徹底させたいと思います。
――監督やコーチによる暴言、選手への過度な叱責は、いかがでしたでしょうか。
桑田 こちらも、「0」とは言いませんが、かなりよくなっていると思います。それらの行為をスタッフや審判が見つけたら、その場で注意するだけでなく、試合後に呼び出して話しています。暴言・体罰の禁止は浸透していると思います。昔は監督やコーチだけでなく、親が手を上げるケースもありました。スポーツの基本に反しています。子供より親の方が悔しがりますね。負けても、「がんばったな」と励ましてやる親が大半ですが、思い入れが強すぎて、指導を踏み外してしまう保護者もいます。勝つことは大事ですが、教育の場、ということを考えてほしいと思います。
――元バレーボール選手の益子直美さんが「怒らない大会」を提唱して、かなりの時間が経ちますが、キッズ・レスリングは、ことさら「怒らない大会」と銘打たなくとも、極端な叱責はなくなっている、と考えていいでしょうか。
桑田 よくなっています。受ける選手の感じ方にもよりますので、「ひとつもない」とは言えませんが、各クラブの代表の方と信頼関係でやっていきたいと思います。
――コロナ禍を乗り越え、選手数の増加と大会の発展をお祈りします。
《完》