(2024年8月8~11日、シャン・ド・マルス・アリーナ)
※UWWサイトからの抜粋
■57kg級・樋口黎(ミキハウス=2大会ぶりのオリンピック出場。前回は銀、今大会は金)「レスリングを楽しめました。これまでのキャリアで、きょうが最高レベルのパフォーマンスだったと思う。素晴らしい大会でした。金メダル獲得までの道のりは決して楽なものではありませんでした。何度も負け、体重が減らなかったこともありました。何度も挫折し、絶望の瞬間もありました。
でも、金メダルを取れる自信はありました。コーチやチームメートが支えてくれたし、多くの人のおかげでこのメダルを獲得できました。 これが自分一人で勝ち取った金メダルだとは、絶対に思いません」
■65kg級・清岡幸大郎(三恵海運=東京オリンピックの乙黒拓斗に続き、この階級で優勝)「ライバル(乙黒)と同じ成績を出さなければならないというプレッシャーがありました。(国内予選で)東京大会のチャンピオンを倒せたことで、運命的なものを感じました。小説の主人公になったような気がします。(表彰台の頂点は)世界で最も美しい景色でした。
(決勝で決め手となった“リンクルホールド”は私の得意技で、一度決めれば何度でも取れる自信があります。一気に終わらせるつもりでしたが、第1ピリオド終了になり、10-1でした。第2ピリオドの最初から攻撃して勝つつもりでしたが、そんなに簡単に終われる相手ではなかった。
(幼なじみの櫻井つぐみが優勝して)彼女は私より先に試合がありました。優勝して私にプレッシャーをかけるように伝え、彼女の優勝をモチベーションに変えました。お互いに強くなり、一緒にオリンピックの夢を見てきました。同じオリンピックでタイトルを獲得できたのは本当に信じられません」
(注)リンクルホールド=アンクルホールドの一種。現プロ格闘家の中村倫也選手が首を相手の両脚に入れる独特の形で多用したことから、「リンクルホールド」と呼ばれるようになった。日本でのみの呼称。
■74kg級:ラザムベク・ジャマロフ(ウズベキスタン=同国で20年ぶりの金メダル)「金メダルへの道は容易ではありませんでした。5試合とも難しい試合でした。以前にも対戦した相手が何人かいます。いずれも簡単に勝つことはできませんでしたが、なんとか勝つことができました。
決勝の相手(高谷大地)は脚の使い方がとても上手なので、それをコントロールして、自分のテクニックで攻めようと考えました。それが私の主な作戦で、私の術中にはめようと試みました」
■86kg級:マゴメド・ラマザノフ(ブルガリア=今年からブルガリア国籍で闘い、優勝候補筆頭と目されたイランのハッサン・ヤズダニチャラティを破って優勝)「私はロシアの小さな町の出身で、家族は私がここに来るために本当に一生懸命働いてくれました。本当に光栄です。家族のために金メダルを獲得しました。神に感謝し、数年前に亡くなった父にこのメダルを捧げたいと思います。父は、私をとても誇りに思ってくれると思います。
(ヤズダニチャラティ-は手術した右肩を再度負傷し、試合中に5度、治療を受けたが)彼はもう一方の腕だけで闘い、素晴らしいファイターでした。ただ、オリンピックはコンディションがいいときにできるとは限らない。それが、このスポーツをとても難しいものにしています。ブルガリアは私の第二の故郷です。この国は、私に世界中の最高のアスリートたちとオリンピックで競う素晴らしい機会を与えてくれました。次のオリンピックに出場できるかどうか分からないので、精神的に本当に大変でした」
■97kg級:アフメド・タジュディノフ(バーレーン=昨年の世界選手権に続き、同国レスリング界から初のオリンピック王者へ)「オリンピックは、どの試合も難しい闘いでした。私は、やり遂げました。一生懸命に練習し、家族、兄弟、そしてトレーニングパートナーが、きょうの私になることを助けてくれました。(決勝のフォール勝ちは)カウンターアタックで、うまく相手をとらえることができました」
■125kg級:ゲノ・ペトリアシビリ(ジョージア=2016年大会の銅、2021年大会の銀を経て金メダル)「過去2回のオリンピックでは優勝できなかったので、今回は本当に勝ちたかった。東京では最後の数秒で負けてしまったことを毎日考えていた。精神的にも肉体的にも本当に辛い日々で、すべてのときが本当に辛かった。今日は勝てた。この瞬間を忘れない。素晴らしい瞬間でした。
(決勝は、いったん12-1になって勝利を喜んだが、相手のチャレンジで10ー1となり試合再開)追い上げられて最後の数秒で10-9になったとき、私は『諦めるな』と自分に言い聞かせました。彼よりも私の方が勝ちたい気持ちが強かったのだと思います」