2024年パリ・オリンピックでは、前人未踏の5連覇を達成した男子グレコローマン130kg級のミハイン・ロペス(キューバ)が、試合後にマット上でシューズを脱ぎ、引退の意思を表明した。試合後のマット上でシューズを脱ぐのは、決められているわけではないが、最低でも3位決定戦までいった世界トップ選手に認められる“特権”。
1回戦で負けて、この儀式をする選手は見かけない。敗者復活戦の可能性があるうえ、次々に試合が行われるので、できる雰囲気ではない。敗者復活戦で負けたときに行う選手はときたまいて、2021年世界選手権では下山田培(男子グレコローマン67kg級)が行った。
今大会は、ロペス以外にも下記の選手がマット上でシューズを脱いだ。
■男子グレコローマン87kg級3位:ジャン・ベレニュク(ウクライナ)=オリンピック3度出場、2016年オリンピック2位、2021年東京オリンピック優勝、2024年パリ・オリンピック3位、世界選手権優勝2回、欧州選手権・大会優勝3回
■男子グレコローマン130kg級5位:サバ・シャリアティ(アゼルバイジャン)オリンピック2度出場、2016年オリンピック3位
■男子グレコローマン97kg級5位:ルスタム・アサカロフ(ウズベキスタン)=2015年世界選手権2位、2018年アジア大会2位、2013・15・18年アジア選手権優勝
■男子フリースタイル125kg級3位:タハ・アクグエル(トルコ)=オリンピック4度出場、2016年オリンピック優勝、世界選手権優勝3度、欧州選手権優勝10回
■男子フリースタイル125kg級5位・アヤル・ラザレフ(キルギス)=オリンピック3度出場、2023年アジア大会3位、2015年アジア選手権優勝
その他、今大会は2回戦で敗れたが、2021年東京オリンピック決勝で乙黒拓斗と決勝を闘ったハジ・アリエフ(アゼルバイジャン)も自身のインスタグラムでマットを去ることを表明した。2016年リオデジャネイロ・オリンピックでは銅メダルを獲得し、世界選手権の61kg級で3度優勝している。
「親愛なる同胞の皆様、私にとって長年にわたり、何度も頂点に国旗を掲げ、国歌を聞くことができたことは大変光栄でした。私の勝利は、私個人の功績だけではなく、アゼルバイジャン国民全体の勝利でもあります。 これまで私をサポートしてくれたすべての人に感謝したい」と綴った。
他にも、今大会をもってマットを去る選手もいることが予想される。寂しい一方、新旧交代は当然の流れ。その勇姿はファンの脳裏に永久に刻まれることだろう。