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2024.08.28

【特集】レスリングのメジャー化へ向けて選手が決起! 選手の熱き思いは具現化されるか

 

(文・撮影=布施鋼治)

 イベント会場は人でごった返していた。8月25日、東京・駒沢屋内球技場エントランス付近で行なわれた「8.25パリ・オリンピック代表選手握手会&撮影イベント」は、大盛況のうちに幕を閉じた。

▲約500人のファンが集まったオリンピック・メダリストの握手会&撮影イベント

 出席者は男子フリースタイル57㎏級の樋口黎(ミキハウス)、同65㎏級の清岡幸大郎(三恵海運)、同74㎏級の高谷大地(自衛隊)、男子グレコローマン77㎏級の日下尚(三恵海運)、女子57㎏級の櫻井つぐみ(育英大助手)、同62㎏級の元木咲良(同)という6人のパリ・オリンピック・メダリスト。

 フライトの遅延で、日下だけ到着が1時間ほど遅れたが、オリンピック後初となる6人のメダリストが勢ぞろいしただけに、当日11時半に整理券を配布した時点では242組、その後並んだ人を含めると270組ものファンが集まった。

 ざっと数えただけでも500人以上。ファン層は老若男女を問わなかったが、話を聞いてみるとキッズ・レスラーや女性ファンが多数見受けられたく。

 「最初は誰も来ないんじゃないかと不安になったけど、本当にたくさんの人が来てくれた。オリンピックでこんなに私たちのことを知ってもらえているということを考えたらすごくうれしくなりました」(元木)

▲キッズ選手だけでなく、あらゆる世代のファンが集まった

周囲は「疲れたでしょう」と思うかもしれないが、「元気をもらえる!」

 この日のファンサービスは前もってサインした色紙を渡したり、横一列に並んだ選手たちの前に並んでもらって握手するというアイドルのサイン&握手会の形式ではなく、6人と一緒に写真に収まったり、その場で一枚の色紙に全員のサインを書くという丁寧な対応で、密にファンたちと接した。メダリストにとっては2時間以上休憩なしの対応となったが、みな終始笑顔だった。

 「こういうイベントをやると、周囲は『疲れたでしょう』と思うかもしれないけど、ファンが来てくれることで自分たちも元気をもらえるし、オリンピックの影響力にあらためて気づかされる。これ一回で終わらせず、できるだけ定期的なイベントにしていきたい」(清岡)

 清岡だけではない。みなオリンピックの影響力は肌で感じている様子だった。

 「オリンピックはテレビで放送していることもあって、世界選手権で優勝したときとは周囲の対応が全然違う。みんなが知ってくれている。握手しただけでアイドルと会うみたいに喜んでくれる。最初は『本当にうれしいのかな?』と思ったりもしたけど、もっと頑張りたいと思いました」(櫻井)

▲休みなしでサインと撮影に打ち込んだ約2時間。もちろん無報酬のボランティア、レスリングの人気獲得の思いからの行動だ

日本のお家芸と言われている割には注目されない“もどかしさ”

 今回のイベントの仕掛け人は、「選手」たち。パリでは13人の出場選手中11人がメダルを獲得。そのうち8人が「金」という他競技と比べてもずば抜けた好成績ながら、日本国内ではいまだマイナー競技の立場に甘んじており、このチャンスを逃す手はないと決起した。

 今回の日本代表の中では最年長で発起人となった高谷は主張する。

 「レスラーの賞味期限は短い。オリンピックは4年に一度だけど、数週間もしたら、もう新しいニュースに取って代わられる。そうなると、レスリングそのものが陰っていく。レスリングは日本のお家芸と言われている割には(普段)注目されていないし、特別なサポートがあるわけでもない。だったら賞味期限をできるだけ長くできるように、まず一歩踏み出さないといけない。それで今回の代表に声をかけたら、みんな同じ気持ちだった」

▲金メダリストに囲まれての記念撮影は、一生の思い出になることだろう

 樋口は「何か自分たちにできることがあれば、手伝って協力していきたい」と前置きしながら、「こういうイベントを企画するのは僕ら選手じゃないと思う」と訴えた。「協会が主体でやっていかなければならないと思う。オリンピックで金メダルを取るか取らないかという瀬戸際で闘っていたアスリートが、こういうことまでやらなければならない状況は残念に思えてしまう」

 サイン&撮影会後の会見は、とにかくレスリングを盛り上げたいという熱い本音が飛び交っていた。日下は言う。「先程、富山(英明)会長と話す機会があったんですけど、自分たちの意見を出せば、上の方もどんどんやっていきたいという話をいただきました。これから積極的にアクションしていきます」

 メダリストたちはパリでのメダルラッシュを一過性のものではなく、競技としての普及や人気の定着に結びつけようとしている。彼らの熱き思いは具現化されるのか。

▲レスリングの知名度アップに努力するアマレス太郎も参加


ファンの声

 ■一番に並んだ55歳の男性公務員「今日は10時過ぎから並んでいました。インスタで案内があって、メダリストの方も来られるということで来ました。パリ・オリンピックで一番印象に残っているのは、文田さんと鏡さんです。今日は一緒に写真を撮ってもらいうれしかったけど、ちょっと恥ずかしかった」

 ■9歳の小3女子「清岡幸大郎さんのファンだったので来ました。リンクルホールドが好きなので。わたしもレスリングを3年くらいやっています。わたしも将来はオリンピックの舞台に立ちたい」

 ■85歳の男性「元日本チャンピオンの三田寺(由香)先生から教えてもらってきました。いま先生が教えているフィットネスクラブに行っています。パリ・オリンピックでは重量級の鏡さんと軽量級の藤波さんが、仲が良かったことが印象深いですね。わたしは1990年代からレスリングを見ています。時間はたくさんあるし、今日は来てよかったです」

 ■母と一緒にやってきた、静岡県相良高1年の女子「清岡選手とつぐみ選手に会いたくて。(片道)2時間ほどかけて来ました。清岡選手は顔がイケメンなところがいいです。つぐみ選手はかわいいところが好き。来てよかった。自分も高1からレスリングをやっています。今日サインしてもらったTシャツは練習用に買ったものですけど、飾るかもしれません。もう一枚同じものがあるので」

 ■イラン・レスリングクラブに所属する小5女子「サインをもらって記念写真を撮ってもらいにきました。一番欲しかったのは樋口黎さんのサインです。実際に会えてうれしかったです。強いところが好き。目標はオリンピック出場です」

 ■ワセダ・クラブでレスリングに励む小5女子「樋口さんのファンです。実際に生で見たら、すごく迫力がありました。メダルに触らせてもらいました。めっちゃ重たかったです」







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